厄介な頭痛と妖精
後書きも読んだ方が分かりやすいかと、思います。
レイシアは前に体験した頭を掻き乱すような痛みに呑み込まれていた。
(此処は…銀行?そうだ…私。入金しに来たんだった。でも…なんで縛られてるんだ?)
「そうか!銀行強盗…」
「黙っとけ!」
銃を持った男組が銃弾を一発、天井に撃ち込んだ。
「ひっ、うぅ…ぅ…」
周りの女性達は恐怖のせいか、声を押し殺して泣いている。
ある1人の男性が恐怖を顧みずに銀行強盗をした男達の方に走って行った。
理由は分からない。だが、その男性の恋人であろう女性が持病持ちなのか、呼吸困難になっていることは理解出来た。
男性は一秒でも早く、終わらせたかったんだろう。
だけれど、銀行強盗をした男達はその男性を笑いながら銃弾を撃ちつけた。
銃弾は男性の頭を見事に撃ち抜いて、即死。
その男性の恋人であろう女性は、目の前で起こった悲劇に声を出して泣いた。
私は、頭に血が登ったんだと思う。
その男達に叫んだ。
『……人の命を…何だと思ってるんだ!』
当然、私も撃たれた。だが、肩を撃たれただけで、然程重傷ではなかった。
そこまでで、また激しい頭痛が襲って来た。
*****
レイシアが目を覚ますと、大地の妖精ジェミーとウジュン。水の妖精アーシュ。火の妖精ルイスとそして、風の妖精リーフがレイシアの顔を覗いていた。
《シアちゃん、シアちゃん…ごめんね。こんなんじゃ全然お詫びにはならないけど、この塔に来た人の子の傷は治したから…》
リーフはレイシアが目を覚ますやいなや、レイシアとは目も合わせれない想いで謝った。だが、レイシアには今一伝わらなかった。
「…………は?」
レイシアの発した一言だけが静かな夜に響く。
リーフは挫けずにこれから頑張ることを告げる。
《今度からは、もっと大事に出来るように努力するから…怒らないで》
レイシアはリーフの言っている意味が分からなかった。
それも当然のことだ。何故なら、先程言った言葉はレイシアが無意識に言った言葉。レイシアは覚えていないどころか、何かを言った記憶もないのだ。
「…別に何も怒ってないけど?」
頭の上に疑問符を乗っけて、小首を傾げる。
《……ありがとう》
いつも、お礼や謝ったりしないリーフがお辞儀をすることにレイシアは大袈裟に身震いして見せた。
「気持ち悪い奴だな…」
そのままレイシアは、リーフの頭に手を置きわしゃわしゃと撫でまくった。
「そういえば、さっきの人達は?」
レイシアはキョロキョロと外を見渡すが見当たらない。
《村に返して来た》
「へぇ~優しいんだね」
(私なら絶対そんなこと出来ないや、ほっとくね。死んでも赤の他人だから何とも思わないし。偉いなぁ、さすが妖精。)
レイシアは無意識だった言葉を言う前に、聞いたリーフの言葉もすっかりと頭の隅には置いていなかった。
此処で今日起きた出来事は幕を閉じる。
リーフはレイシアに怒られたことが切っ掛けとなり、森の仕掛けを解いた。
ただ、泉と食べ物は隠したままだが。
これが後に、塔を出る結果を生んでしまうとは…レイシアは思っても見なかった。
出た妖精の紹介です
風の妖精:リーフ
白い羽
クリーム色の髪
銀の目
風使い
打たれに弱い
ショタ系
素直じゃない
チャン付けで呼ぶ
シアちゃん?シアちゃんはね、凄く芯のしっかりとした子だよ。
それに、僕を気遣ってくれる優しい子。
赤の他人に対して、そんなにも優しい気持ちを持ってるなんて…うるってきちゃった。
シアちゃんが倒れてから、これまでの罪滅ぼしって訳にはいかないけど、いつの間にか倒れてる人の子達を村に返した。
怪我を治したのはジェミー。
みんなも進んで協力してくれたんだ。
僕は、シアちゃんの好きなように生きればいいって思ってる。
だから、もしシアちゃんがこの塔を出る機会があったなら、僕は何も言わない。
お節介はやくけどね!絶対に着いていく!
次はハーネス達をピックアップ!
リーフの中でレイシアの好感度が急上昇。
レイシア…最低人間です。
こんな主人公でもいいって方は、これからも読んでくださると嬉しいです。