表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不器用な善意は、世界を再構築するAIに選ばれた 秘密結社ARK 世界征服の物語  作者: My little world
第ニ章 暁商店街

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
63/114

第三章 第八幕 会議

ある夜。拠点に全員が集まっていた。

庄屋がノートPCを開いた。「……優作さん、一つ、いいですか」

「なんだ」

「ARKから、面白い情報が来ています」

全員が庄屋を見た。

「長崎の養殖業者です。村上雄二、五十四歳。十年以上、タイの養殖をやってきた。でも——」庄屋は少し間を置いた。「海水温の上昇で全滅した。サメに網を食い破られて全滅した。二度、全滅しています」

拠点が、静かになった。

「1億2000万の設備投資をしています。借金です。今、やめようとしています」

影山が言った。「……それは、大変っすね」

「大変どころじゃないよ」庄屋が続けた。「でも——この人の廃棄コストが、問題で」

真壁が口を開いた。「廃棄コスト?」

「死んだ魚の処理費用です。養殖をやっていると、必ず出る。それが経営を圧迫している」

優作はノートPCの画面を見た。「……ARK」

『はい』

「村上さんの廃棄量は」

『毎年、約四十トンです』

里美が「四十トン」と呟いた。

「その死んだ魚を——」優作は少し間を置いた。「肥料にしたい」

全員が優作を見た。凛が口を開いた。「……魚の肥料、ですか」

「そうだ。有機肥料として優秀だ。吉田さんの野菜が甘かった理由も、実はここにあるかもしれない」

真壁が静かに言った。「……優作さん」

「なんだ」

「それだけじゃないですよね」

優作は少し間を置いた。「……養殖を、陸上でやり直してほしい」

沈黙。

真壁が立ち上がった。「ちょっと待ってください」

「なんだ」

「水産業は農業より法的な問題が複雑です。漁業権、水質管理、食品衛生法——クリアしなければならない問題が山積みです」

「知っている」

「知っていて——」「お前がなんとかしてくれるんだろう?」

真壁は少し間を置いた。「……私のことを買い被りすぎです」

真壁は椅子に戻った。「……で、陸上養殖の資金計画は、どうするつもりですか」

「また国を巻き込む必要がある」

「国ですか?」

「新しい補助金の枠組みを作る必要がある。そのために、政治家が必要だ」

真壁は少し間を置いた。「……心当たりがあるんですか」

「今ARKが調べている」

『はい』『……坂本一馬、副官房長官。農林水産畑一筋。高知県出身』

凛が口を開いた。「……信用できる人ですか」

「まだ分からない」

「分からないのに、動くんですか」

「動いてみなければ、分からない」

凛は少し間を置いた。「……誰が村上さんに会いに行くんですか」

優作は庄屋を見た。「俺と庄屋で行く」

庄屋は少し間を置いた。「……俺ですか」

「お前はGLで水産の流通も見てきた」

「まあ、そうですけど」

「それと——」「……酒が強いから」

庄屋は少し間を置いた。「それが理由ですか」

「半分は」

「半分?」

「お前が必要だからだ」

庄屋の目が、わずかに赤くなった。「……それ、もっと早く言ってください」

影山が「また言った」と笑った。瀬戸も笑った。

里美がホワイトボードに向かった。マーカーを手に取る。「暁水産——検討中」と書いた。それから優作を見た。「検討中、まだ決定じゃないですね」

「ああ」

「真壁さんが法的な枠組みを作ってから、正式に動く」

「ああ」

「約束ですよ」

「約束だ」

真壁が静かに言った。「……一週間、時間をください」

「任せる」

「その間に、法的な問題を整理します」

「頼む」

真壁はノートPCを開いた。「それから——」「……村上さんに会う前に、私も資料を作ります。手ぶらで行くより、数字を持っていった方がいい」

優作は頷いた。「ありがとう」

真壁は少し間を置いた。「……優作さん」

「なんだ」

「次から、先に相談してください」

「わかった」

庄屋が小声で影山に言った。「……真壁、ちょっと怒ってる?」影山が小声で返した。「当たり前じゃないっすか」

拠点に、笑いが起きた。真壁だけは笑わなかった。でも——口元が、わずかに緩んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ