第十六章 最終幕 新世界
暁研究所。
赤井は、風香の返事を待っていた。
無理かもしれない。それでも自分の人生を前に進めたかった。
その時、風香のスマホが鳴った。
「ちょっと待って」
風香はスマホの画面を見て電話に出た。
「もしもし、ダニエル、今どこにいるの?」
風香は突然のダニエルからの電話にうろたえた。
そして――風香は赤井に告げた。
「ごめんなさい。今ちょっと立て込んでるから、また後で返事をしてもいいですか?」
赤井はそれを聞いて、チャンスがあるのか、ないのか、分からなかった。
それでも無理やり笑顔を作った。
「また来るから」
赤井は肩を落として帰って行った。
風香は赤井の背中を見送り、息を吐いた。
風香は、アフリカからの電話に驚いていた。
「で、何の用?」
キランバ村。学校。
ダニエルは、今アフリカの学校で教師をしていることを伝えた。
「だが、子供たちが誰も学校に来ないんだ」
「どういうこと?」
ダニエルは子供たちには家庭での仕事があり、勉強出来ない状態であると伝えた。
「……」
「私にどうしてほしいの?」
「君が量産型のロボットを開発しているのは知っている」
「私の村でデータ取得のためにロボットを貸し出してくれないか?」
ダニエルはこの村の学校は、優作達が寄贈したものだということも伝えた。
風香は眉間に皺を寄せた。
「農作業なんて、いくらなんでも難しいと思う。メンテナンスはどうするの?」
風香がそう言うと、ダニエルはこう伝えた。
「風香、だがこれは必要な実験だと思わないか? これが実現すればほぼARKの理想の世界を作ることができる」
風香は思考の中に沈んで行った。




