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2026.7.21.

心理カウンセリング記録

ファイル番号: R-2026-0720-01

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所属機関: 青森県立天沪中央病院 臨床心理科

記録種別: 初回心理介入逐語記録(Verbatim)

患者氏名: 鈴木 彩乃(Suzuki Ayano)

年齢/性別: 17歳 / 女

学校学年: 天沪市立高等学校 二年B組

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事故発生日: 2026年7月18日

カウンセリング実施日: 2026年7月21日 13:00 - 13:50

担当カウンセラー: 田中 陽子(臨床心理士)


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【会话记录】


田中: 鈴木さん、初めまして。田中と申します。臨床心理士です。

彩乃: ……はい。

田中: 来てくれてありがとう。今日は正式な治療ではなくて、まずはお話ししてみて、今の気持ちや状態を少し知りたいなと思っています。よろしいですか?

彩乃: ……はい。

田中: 体の方で何か気になることはありますか?頭痛とか。

彩乃: ……

田中: 鈴木さん?

彩乃: ……頭が……ちょっとだけ……でも大丈夫です。

田中: わかりました。もししんどくなったら、いつでも止めていいですからね。無理しなくて大丈夫です。ゆっくりいきましょう。

彩乃: ……ありがとうございます。


田中: 事故があってから、約二日経ちましたね。この二日間、どのように過ごしていましたか? 眠れていますか?

彩乃: 寝て……ます……たぶん……よくわからないです。寝たような気もするし、寝てないような気もするし。お母さんが、夜中に突然起き上がってるって言ってました……でも覚えてないです。

田中: 自分で起きたことは覚えていない?

彩乃: はい。……で、気づいたら……もう明るくなってて。間のことは何も覚えてないです。

田中: 昼間は? 家で何かしてましたか?

彩乃: ………

田中: 彩乃さん?

彩乃: あ……すみません。今……カーテンが動いたなと思って……何でもないです。昼間は……部屋にいました。横になってました。スマホも見るのが怖くて。お母さんがテレビを消してくれて。家の中が静かで……静かすぎて。

田中: スマホを見るのが怖いのは、事故に関連する情報を見てしまうかもしれないからですか?

彩乃: ……はい。ツイッターで……たくさんの人が言ってるみたいで。友達からもメッセージが来てます。一つも開けてないです。

田中: それらのメッセージは、見なくても大丈夫ですよ。彩乃さんが今それに向き合う必要はありません。今はご自身の状態が一番大切です。


彩乃: ……優奈……優奈のお母さんは……どうなってるんですか。

田中: そちらについては私にはわかりかねます。佐々木さんのご家族に連絡を取りたいと思っていますか?

彩乃: ……わからないです。連絡したいような……したくないような。怖いです。お母さんに聞かれるのが怖いんです……あの日、何があったのかって……でも私も何が起きたのかわからないんです。本当にわからないんです。私ただ……スマホを持ってて……それで……

田中: 大丈夫です。今は話さなくてもいいですよ。話せる時が来たら、その時に話せばいいのですから。

彩乃: ……


田中: 彩乃さん、事故が起きる前に、佐々木さんと何か特別なやりとりはありましたか? 話したくないことは話さなくて大丈夫です。ご自身で決めてください。

彩乃: 特別な……やりとり?

田中: はい。例えばその日、二人で出かけている時や、道中、何か話していましたか?

彩乃: ……

田中: 大丈夫です。話さなくてもいいですよ。

彩乃: 私たち……ちょっと喧嘩しました。

田中: 喧嘩?

彩乃: はい。すごくつまらないことで。本当に……つまらないことです。映画を観たいって言って、私がそれはもう観たって言ったら、じゃあ自分一人で行くって言って、私はじゃあ行ってくればって……そういう。本当に小さなことです。


田中: その時はどこにいましたか?

彩乃: 駅で……電車を待ってる時です。優奈の顔が曇って。私が……じゃあ観に行こうよ、別にいいよって言ったんです。優奈はいいって言って。それから二人とも黙り込んで。電車に乗っても……ずっと話さなかったです。

田中: じゃあ、どうやってあの踏切のところに行ったんですか?

彩乃: 電車を降りて……歩いていくうちに……どっちが先に言い出したか覚えてないです。多分、優奈だったと思います。「ねえ、あっちの山、きれいだね」って……私が「じゃあ写真撮ろうか」って……それで……

田中: それで線路の中に入っていったんですね。

彩乃: ……はい。優奈が先に入っていきました。「彩乃、撮って」って……笑ってました。本当に笑ってたんです。だから私も……撮りました。さっきまで喧嘩してたのに……優奈は笑ってた。


田中: その時、彩乃さんは楽しいと思いましたか?

彩乃: ……

田中: 彩乃さん?

彩乃: わからないです。あの時……自分が何を感じていたのかわからないです。楽しかったような……まだ怒ってたような。不思議だなって思ってました。さっきまで怒ってたのに、なんで笑ってるんだろうって。それで……それで……

田中: それで?

彩乃: スマホを構えて……ファインダーに優奈が映ってて……枕木の上に立ってて……振り返って……何か言ったような気がするんです……でも列車の音が大きすぎて……聞こえなかった……


田中: 彩乃さん、今、震えていますね。ちょっと休みましょうか?

彩乃: ……いえ……私……大丈夫です。話したいです。ちゃんと言いたいです。

田中: わかりました。でも、私の目を見て、ゆっくり呼吸をしましょう。吸って――吐いて――はい。今、どうですか?

彩乃: ……ちょっとめまいがします。

田中: では、少しお水を飲みましょう。

彩乃: …………ありがとうございます。


田中: 話題を変えましょうか? 事故の日の話ばかりしなくても大丈夫ですから。

彩乃: ……はい。

田中: 彩乃さんと佐々木さんは、いつから知り合ったんですか?

彩乃: ……中学一年生の時です。同じ部活で。優奈は……初めて私に話しかけてくれた人です。

田中: 佐々木さんはどんな人でしたか?

彩乃: ……優しい人です。時々、急に不機嫌になることもあったけど……でもいつも先に謝ってくれました。自分のせいじゃなくても……「ごめんね」って言ってました。なんで謝るのって聞いたら……「彩乃に嫌われたくないから」って。


田中: 佐々木さんは、彩乃さんとの関係をとても大切にしていたんですね。

彩乃: ……はい。でも最近……「どうせ誰も私のことなんか好きにならない」って、よく言ってました。私は……ただの甘えだと思ってました。ちゃんと聞いてあげなかった。

田中: そう言っている時、彩乃さんはどう返していましたか?

彩乃: ……「考えすぎだよ」って言ってました。そしたら……優奈はそれ以上言わなくなりました。もっと……聞いてあげればよかったのに。

田中: 佐々木さんは最近、何か不安に感じることがあったのでしょうか? 何か気づいたことはありましたか?

彩乃: ……

田中: 話しづらければ、無理に話さなくても大丈夫ですよ。

彩乃: 優奈には……弟がいるんです。今年中学生になった弟で、成績がすごく良くて。お母さんが電話の度に「弟くんがまた一番だった」「先生に褒められた」って言ってて……それで優奈に「あなたはどうなの?」って聞くんです。優奈は「別に」って……

田中: そのことを彩乃さんに話してくれたんですね?

彩乃: はい……何度も言ってました。「私なんて、親には弟がいればそれで十分なんだって」って。私が「そんなことないよ、お母さんもお父さんも優奈のことちゃんと愛してるよ」って言ったら……優奈が笑ったんです……あの笑い方……今思い返すと……あの笑い方……

田中: どんな笑い方でしたか?

彩乃: まるで……「彩乃にはわからないよ」っていうような笑い方です。でも本当にわからなかったんです。ただ……気分が落ちてるだけだと思ってました。そのうち治るって。私も昔、落ち込んだことがあったけど、そのうち治ったから。だから優奈も同じだと思ってました。でも……でも優奈はあの日、笑ってたんです。線路の上に立った時、本当に笑ってたんです。あんなに辛かったのに。


田中: 彩乃さん、佐々木さんはあの日、あなたと一緒に出かけることを選び、あなたの前で笑うことを選びました。それはもしかしたら、彼女なりの信頼の示し方だったかもしれません。「もう大丈夫」という意味ではなく、「あなたに見せてもいい」という意味で。

彩乃: ……でも……私があの写真を撮ったから……スマホを構えて……シャッターを押したから……もし私が……

田中: 彩乃さん、聞いてください。あの列車は、あなたがシャッターを押したから来たわけではありません。あなたは、友達なら誰でもすることをしただけです。友達の写真を撮ってあげた。それだけです。あなたは何も悪くない。


彩乃: …………

田中: …………

彩乃: …………すみません……ティッシュ……ありがとうございます。

田中: 謝らなくていいですよ。泣くのは普通のことです。好きなだけ泣いていいんですから。

彩乃: ……昨日……夢を見ました。夢の中で優奈が線路に立ってて……「彩乃、撮れた?」って言ったんです。私が「撮れたよ」って言ったら……優奈が笑いました。それで……優奈が消えました。


田中: その夢の中の優奈さんは、どんな表情でしたか?

彩乃: ……笑ってました。本当に笑ってました。あの日と同じように。……なんで……なんで優奈はまだ笑ってるんですか……

田中: 彩乃さんは、夢の中の彼女にどんな表情でいてほしいと思いますか?

彩乃: ……わからないです。……でも……笑っててほしくないです。

田中: 笑っていてほしくない?

彩乃: だって……優奈が笑ってると……私は大丈夫だと思ってしまうから。優奈が笑ってると……考えなくなってしまうから。泣いてくれたらよかったのに……泣いてくれたら……私は……(声が詰まる)……抱きしめてあげられたのに。でも私は何もできなかった。だって優奈が笑ってたから。だから私……


田中: 今日はそろそろお時間です。彩乃さん、また来週、同じ時間に来ていただけますか?

彩乃: ……はい。

田中: それまでの間、もし特にしんどくなったら、いつでも病院に電話してください。心理科に取り次ぐようにしておきます。


【记录结束】


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【カウンセリング評価】


患者は現在、急性ストレス障害(ASD)の初期状態にあると判断される。主な症状として、解離性記憶欠損(夜間の覚醒エピソードの記憶喪失)、回避行動(スマホの閲覧を避ける)、反復的侵入映像(事故現場のフラッシュバック)、情緒不安定および言語の途切れの頻度が高いことが観察された。故人に言及する際には、苦笑いと哭泣が交互に現れており、未処理の両価的な悲哀(矛盾性哀傷)が示唆される。


リスク判定: 現時点では直接的な自傷傾向の表明は見られないが、「もしあの時」といった反芻思考が認められるため、継続的な観察が必要である。


次回予定: 2026年7月28日 10:00、同所にて。保護者には、夜間の患者の睡眠状態の観察を依頼する。夢遊や強い夜驚が認められた場合には、直ちに当院へ連絡するよう指示済み。


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記録者: 田中 陽子

署名: 田中陽子


日付: 2026年7月21日

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