#61 ガルグイユの企み
宇宙警察の3人は、宇宙船でパトロールをしていた最中、バザラジア星から奇妙な電波を受信した。惑星バザラジア。緑色の肌を持つ、爬虫類のような凶悪な宇宙ギャングが牛耳っている惑星だ。そのバザラジア星で怪しい動きが見えるというのだ。宇宙警察の3人は、宇宙商人に変装して惑星バザラジアへと向かった。
マクア帝国の支配者ガルグイユは、バザラジア星に他の宇宙人を集めて、秘密会議を行っていた。
クジャクジャ星の支配者・マスターピーコックや、惑星ローカスの長であるザ・ローカス。マドウマ星人の現支配者・クイーン・ファングも居た。他にも150種の惑星の代表が現れた。ガルグイユは自ら席を立ち、本題を言った。
「お集りの諸君。我々は宇宙を制する為にここにいる。諸君が宇宙を統一できぬ理由は何だと思う?」
クジャクジャ星人マスター・ピーコックが言った。
「皆が同じ方向を向かぬからさ」
ガルグイユはニヤリと笑みを浮かべた。
「その通り!我々は己の利益だけを求め、今まで協力をしてこなかった」
マドウマ星人のクイーン・ファングが、垂れ下がった三日月型の角を上下に動かしながら、丸い複眼をうごめかせた。
「協力と言われましても、我々は本来は敵対関係。利害の一致は不可能なはず。」
バザラジア星人のギャングの長・ランペットも、鋭い歯をガチガチ鳴らした。
「その通りだ。ここにいる星人共は皆、お前を嫌っているぜ。本来は同盟など組まない」
ガルグイユは笑みを崩さぬまま、5つの指輪を着けた5本指を、他の宇宙人たちに見せた。すると、150種族の代表全員の顔色が変わる。
ルミナス星人の長が、ガルグイユの指輪を見て言った。
「そ、それは……12の指輪の内の5つ!それは宇宙の命運を左右する、指輪!12の指輪を手にした者は、どんな願いでも叶えられるという……」
ガルグイユは指輪を着けた拳を掲げ、他の宇宙人たちに見せびらかした。
「12の指輪の内、4つをピンク・スコーピオンが持っている!我々が手にすれば、宇宙は我らのものだ!」
宇宙警察の3人は、会議室の外の壁から会議内容を録音していた。バザラジア星で録音した会議内容を、宇宙警察本局へ送信しようとした。しかし2人のバザラジア星人の衛兵に、宇宙警察は見つかってしまった。ビームを放つ衛兵。
宇宙警察はバザラジア星人のビームライフルに敗れ、3人とも息絶えた。宇宙警察本局へ転送しようとした会議内容のデータは、そのままバザラジア星に残された……
その2週間後。惑星ケラケラでの救助活動を終え、スコーピオン号は宇宙空間を航行していた。操縦室にマイクが来た。マイクはアリーヤに訊いた。
「指輪を探すのか?」
「うん」
「……宇宙の他のやつらも指輪を狙ってる。ここに刺客が来なかったのが不思議なくらいだ」
「危険ってことでしょ?分かってる」
「お前は100人あまりを率いる救助隊の隊長だ。」
アリーヤがマイクの顔を見た。
「みんなを危険にさらすなってこと?」
「逆だ。みんな危険を承知で宇宙に出ている。俺らを信頼して、手足のように使ってくれ」
マイクはそれだけ言うと、黙った。アリーヤはさっそくマイクにお使いを頼んだ。
「それじゃあさ、今日1日エンジェルのお世話、頼むよ」
「はっ!?ネコの世話かよ」
「予行演習だと思ってよ。あの子、引っかいたりはしないから」
マイクは顔をしかめた。
「何の予行演習だ?」
アリーヤはマイクの目を覗き込んだ。
「マイクのことを信頼してるから頼めるんだよ!レベッカにも手伝わせていいから」
「レベッカはお前の命令でキャスリーンの世話中だ」
「あ、そうだった。じゃ、エンジェルのお世話の仕方はホノカかローラに聞いてよ」
「スズキ・ホノカとローラ・ルメールか……」
「そうそう!あの2人、エンジェルのお世話に慣れてるから!よろしく!」
操縦室からトボトボと出ていくイトウ・マイク・リデル。操縦席にいるメイティン、カテリナ、ヴィナ隊員がクスクスと笑った。ヴィナ隊員は笑いながら言った。
「アリーヤ隊長もイジワルですね!」
「え、なんで?」
「イトウ・マイクはアリーヤ隊長を心配してくれてるんですよ?」
「分かってるよ?」
メイティン隊員が口を挟んだ。
「ま、それは良いとして、ジェイソン・クランストン隊員の別動隊が、もうすぐ帰って来るとの連絡がありました。ビリー・スコット隊員の隊も同様です。どうします?前にセリアが言ってたゴーン銀河へ行きますか?」
アリーヤが笑った。
「いい考えだね!ジェイソン隊とビリー隊が合流したら、ゴーン銀河に行こう。指輪の反応があるかもしれない!」
リーフ・フライが貸してくれたアーラヴォルノの秘宝・星見の珠玉。これを持つ者は、星脈の流れを読み、指輪の所在を感じ取れるという。
「指輪が近くにある星は不幸になるって、リーフは言ってた。早く回収してあげないとね。宇宙全域の平和のためにも」
ジェイソン隊が帰って来た。スコーピオン号ではガラマ星人リド率いる待機班が、船体後部でジェイソン隊を待っていた。ジェイソン隊員たちが船体後部へたどり着き、小型シャトルから出て来た。ジェイソンはあたりを見回した。
「ビリーの隊はどこだ?」
リドが答えた。
「まだ帰って来てないよ。宇宙は広いんだから」
「それは残念だ。お別れのキスしかしてないよ」
「じきに帰って来るさ。アリーヤもあんたらカップルを応援してるよ。」
「隊長が?そりゃうれしいね」
ビリー隊の帰りを待ったが、帰ってこない。アリーヤは変だと思った。宇宙の広さは知ってるが、それほど遠い銀河にお使いに出したわけじゃない。向こうの惑星で、トラブルに遭っていたら大変だ。と、その時、スコーピオン号のレーダーが警告音を鳴らす。アリーヤはヴィナに訊く。
「救助依頼?」
ヴィナは青ざめて言った。
「違います!バザラジア星の艦隊と、マクア星の艦隊、計600、こちらに向かって進行しています!」
星見の珠玉を持ったアリーヤは、マクア星艦隊の後方に、指輪の存在を5つ感じ取った。ガルグイユが、艦隊の旗艦の椅子にもたれて笑っていた。
つづく




