表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
4/22

#4 廃墟

挿絵(By みてみん)


前回のあらすじ。


惑星ブルームにピクニックへ来ていたセリア、リリイ、エドナ。危機に会ったセリアを助けたアリーヤは、リリイにごちそうしてもらい、自身のカメラで写真を撮り、その写真を記念に手渡す。夜、エドナが謎の宇宙人にさらわれ、エドナを助けに行くアリーヤ。しかし、アリーヤもその宇宙人に捕まってしまう。


「私はリーフ・フライ。アーラヴォルノ族のヒ…いや、誇り高き戦士だ」

「エドナを返して!」

リーフ・フライと名乗った謎の宇宙人。

全身が緑色で、3つの角と、黄色い大きな目をしている。手には特殊な形をした刀を持っているが、彼女はなぜ、エドナをさらったのか?


アリーヤはたずねる。

「なぜ、エドナをさらったの?」

「我々アーラヴォルノは戦闘民族だ。私は権力争いに一度敗れ、この星に逃げてきた。しかし宇宙船が壊れ、食料も尽きたのだ。この娘と交換だ。そちらの食料を全て貰おうか」

リーフ・フライはアリーヤの手をひき、エドナが閉じ込められている部屋へと連れて行く。エドナは部屋の地べたに寝そべっている。

気を失っているようだ。

アリーヤはリーフ・フライが腕に装着している特殊な形状の刀に心底おびえながらも、声をふりしぼった。

「私は今、食料はもっていません。ですが、この一件は平和的に解決させます。」

リーフがたずねる。

「平和とはなんだ?それは食べられるのか?」

アリーヤは答える。

「平和は食べ物じゃない。でも、必要なものだよ」

リーフはため息をついた。

「食べられるもので無いなら意味は無い。帰って貰おうか」

刀を揺らすリーフ。

アリーヤはリーフに言った。

「あなたが今欲しいのは食べ物なんだね。でも、それを理由にエドナを犠牲にして良いワケがない!それに、リリイやセリア達から食料を貰ったって、直ぐに底を尽いちゃうよ!ピクニック用の分量しか無いんだし!」

「交渉決裂だ、帰れ!」

リーフはいらだちを覚えているようだ。

アリーヤは叫ぶ。

「話を聞いて!例え食料が来ても、それがあなたの体に合うかわかんないでしょ!リリイたちが持ってるのは地球人に合う食料なんだし!」

「ええい、まだ言うか!私は気が短いのだぞ!」

リーフは言い返す。

アリーヤは激怒した。

「この分からず屋!」

その瞬間、アリーヤの持つカメラがピンク色に光り輝く。


「また!?」


とまどうアリーヤ。

遠い森にあるアリーヤの宇宙船が、天高く舞い上がり、物凄い勢いで大空を飛び立った。

同じ時刻、リリイは青い夜空から、怪獣が鳴くようなけたたましい鳴き声をきいた。

「あれは何!?」

リリイが指さす方向には、空を横切るアリーヤの宇宙船の姿があった。それは動物のサソリの怪獣ように見え、らんらんと光るピンク色の鋭い目のようなヘッドライトがある。その怪獣のような宇宙船は、暗い森の奥から出現し、リーフとアリーヤ達のいる廃墟にたどり着き、リーフをそのピンクに輝くライトで威嚇した。


その様子にたじろぐリーフとアリーヤ。

アリーヤはびっくりし、その場で転んでしまった。と、同時に宇宙船は機能を停止し、その場の空中に静止した。

「何者か知らんが、邪魔はさせんぞ!」

するとアリーヤのズボンのポケットから、1つの実がこぼれ落ちる。

アリーヤは森で拾った毒の実を、ズボンのポケットに入れたままだった事を忘れていた。

紫色の5センチ程の実を、手に取るリーフ。

「なんだ、食べられるものがあるでは無いか!これを貰っていくぞ!」

アリーヤはそれに気づき、リーフを止めようとする。

「ちょっとまってよ!その実はダメ!毒があるの!」

リーフはそれを信用せず、その場で実をかじった。

リリイは、アリーヤ、エドナの安否を心配しながら、その場を動けずにいた。1時間が経過しようとしていた。

すると、遠くの森から声が聞こえた。

エドナが手をふっている。

「おおーい!」

「エドナ!無事だったのね!アリーヤは?」

エドナのすぐ後ろで、瀕死状態のリーフ・フライをかかえ歩いてくるアリーヤ。

「リリイ!解毒剤を用意して!じゃないと、この人が死んじゃう!」

それを聞いたリリイとセリア。リリイはアリーヤにたずねる。

「アリーヤ、それ、エドナをさらった宇宙人でしょ!?」

セリアも反発する。

「ほっときなさいよ、そんなヤツ!」

セリアの反発に、アリーヤも反論する。

「ううん、放っておけない!たとえ私たちと違う宇宙の民族でも、同じ命だもん!お願い、リーフ・フライを助けて!」


セリア、リリイ、エドナは下を向いた。

「どうしたの……?」

アリーヤは3人にたずねた。

リリイが口を開いた。

「解毒剤は、無いのよ」

「無い?……無いって、どういうこと?」

「私たち、ピクニックに来ただけだから、医療用具はコロニーに置いてきたの」

「じゃあ、この人は……リーフ・フライは助からないの?」




「助かるよ」




ふと、背後から女性の声が聞こえる。

アリーヤ達が振り向くと、そこには70歳ぐらいの、白髪のあるアフリカ系女性が立っている。その人物は、リーフ・フライやアリーヤの所へ歩いて来ると、小さな瓶に入ったオレンジ色の液体を取り出した。

「これを飲ませれば、よくなるよ。」

「あの、あなたは……?」 

アリーヤはたずねる。

「あたしはモヨ。あんたが入った廃墟の持ち主さ。」

モヨと名乗る女性は、アリーヤに言った。

アリーヤは驚きを隠せない。

「早くしな!その子を助けたいんだろ?」

モヨはそう言って瓶を手渡す。

2日後、セリア、リリイ、エドナとの別れがやって来た。スペースコロニーから来た宇宙船に乗った3人は、アリーヤに手をふる。

「3人とも、元気でね!」

「アリーヤこそ!」



3人と別れた後、アリーヤはモヨにお礼を言った。

「ありがとうございます、ウペンド・モヨ。なんとお礼を言ったら良いか……」

「そんな事はいいさ、それより、1人で勝手に、廃墟に入らない事だ。友達がさらわれたら警察を呼びな。勇気と無謀は違うからね。あと、あたしの土地に置き去りにしている、変な宇宙船も回収しとくれ。あれはあんたのだろ?」

モヨはにこやかに言った。

しばらくして……


アリーヤは自身の宇宙船に乗って、旅をする事にした。

「ところで、この近くにエデン・コロニーっていう宇宙住宅街や商店街があって、そこで食料が調達出来るって!リーフ・フライさん!」

「エデン・コロニーか。聞いたことがある。その街には、天下の剣豪であるイトウ・マイクがいるという。そいつを仲間にすれば良い。」

「そうと決まれば出発だね!みんなを笑顔にするために!」


アリーヤは宇宙船を出発させた。

一方、別の場所では……


 5人の子どもが、宇宙をさまよっていた。

その5人は、宇宙船に乗っていた。

5人の子どもは、見知らぬ惑星にたどり着いた。

1人の宇宙人が、5人を家に迎え入れた。

宇宙人は言った。


「あなた達を、地球からさらって来た人達は、もうすぐここへ来るでしょう。」


5人のうち、1人が訊いた。

「何でそんな事がわかるんだよ」

宇宙人は答えた。

「この星は、あなた達をさらって来た人達の領土だからです。だから逃げなさい。」

また1人が訊いた。

「どこへ逃げればいいの?」

宇宙人は、夕日を指して答えた。

「あの夕日の方角へ行きなさい。レジスタンスがいます。そのレジスタンスの名は、クレッセント。」

「変な名だな」

最初の1人が言った。

「なぜそう思いますか?」

宇宙人は訊いた。

「夕日の方角にあるのに、名前がクレッセントだとよ。おかしいな」

宇宙人は、5人に変装するように言い、5人はその惑星に合う衣装に着替えた。

5人が宇宙人の家を出て、しばらくすると、

1人が家の方角へ振り向いた。








家は無くなっていた。




「ホントに奇妙な星だな」




最初の1人が言った。すると……




「おれさ、地球に帰りたいのよ」

車椅子に乗った、1人の少女が言った。


「地球にさ、ケンカ別れした幼馴染がいるんだ」

「だれだよ、そいつ」

もう一人が訊いた。







「アリーヤ・カルティエさ」



つづく……

©2023MizushibaRoku

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ