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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
22/25

#22 知らない声

挿絵(By みてみん)

「あついわねぇ、この星は。いつ頃に帰れるかしら」

宇宙船内の一室で、トムはゼリー状の宇宙食を食べながら、仲間とグチをこぼした。

トムが窓越しに惑星マジロの地表を見下ろすと、あたりには大きさ約3メートル程の丸い物体がたくさんあった。

「ねぇ、あれは何よ」

「知らねえよ、おれたちは整備士だ。早く帰って次の整備をやらねえと」

トム以外の整備士2人は、オウル・コロニーにある仕事場に戻りたいようだ。

アリーヤとコアは、オウル・コロニーへの帰り方を話し合っていた。

すると、空から2機の戦闘機のような物体が迫ってくるのを、アリーヤとコアは察知した。

「オリオンの戦闘機だ」

アリーヤは宇宙船を、マジロ星の巨大な岩陰に隠していたが、戦闘機はそれを最初から見抜いていたように、アリーヤの船への攻撃を開始した。

「こっちの位置が特定されてる、何で?」

アリーヤは困惑したが、戦闘機の光線は次々に、アリーヤの船に命中した。

「このままでは船は壊れてしまう、別の場所へ避難だ!」

コアがそう言うと、アリーヤは船を離陸させる。

「戦闘機なんてやっつけちまえよ」

ブリトニーが文句をいった。

「人殺しなんてできないよ!」

大きめの声で返事をするアリーヤ。船は猛スピードでマジロ星の北側へ向かった。


「何だ、あの者達は」

「この星の平和を乱されては困る」


ふと、アリーヤは誰かの声を聞いた。知らない声だ。

「ねぇ、だれか喋った?」

アリーヤはブリトニーやガブリエラにたずねるが、2人は否定した。


一方、宇宙にいるデッド・オリオン軍の宇宙船。2087のナンバーを持つオリオンの司令官は、宇宙船内部の部屋でくつろいでいた。

「失礼します、2087」

彼の部下が入ってきた。

「敵の位置は把握ずみです。総攻撃をすれば倒せます」

「まあそう慌てるな。オリオン基地に戻りたいその気持ちは分かるが、1つ重要な事が判明していない」

「それは何でしょう?」

「船だよ」

「船?」

「船は船だよ。我々が追っているあの宇宙船。あれはレジスタンスの物ではない。長年、地球人の船を見てきたが、あんな怪獣じみた船は見たことが無い」

「連中の新兵器かもしれません」

「そうかな?外見だけの問題なら済むのだが、あの宇宙船の行動はどうも怪しい」

「他の星の文明に、地球人の協力者がいると?」

「可能性の話だが、そうかもしれん。そこも詳しく調べろ。あの宇宙船は破壊せず、捕獲するのだ」


オリオン軍が話をしていた頃、アリーヤは追手の戦闘機の攻撃にいら立っていた。

「戦いたくないのにっ!」

宇宙船は敵の攻撃を避けるが、戦闘機は船に攻撃を撃ち続ける。

「これでもくらえっ!」

怒りが頂点に達したアリーヤは、船の後方から光線を放った。5発撃った内の2発が、2機の戦闘機のうちの1機に命中し、その1機は墜落した。アリーヤが次の攻撃の準備をすると、彼女の宇宙船はほのかにピンク色に光った為、異変を察知したもう1機の敵は引き返して行った。

「やったぞ、アリーヤ!少し待っててくれ」

「どこへいくの?コア」

「オリオンの戦闘機乗りを捕獲するのさ」

コアはアリーヤにそう言うと、船の外へ出て行った。環境適応スーツを着たアリーヤも外へ出て、コアを見送ると、マジロ星に転がる2メートルから3メートル程の丸い物体が、ここにも20個ほどある事に目を向けた。


「君たちは誰かね」


アリーヤはその声を聞いた。正確に言うと、その声を脳で感じ取った。

「何のためにここへ来た?」

アリーヤの脳内へ響き渡る謎の声。彼女が丸い物体の近くへ来ると、その物体は開き、変形し、大きな宇宙アルマジロの姿になった。

「今のはあなた達の声?」

アリーヤは訊ねる。

「我々はマジロ星人だ。君たちは何者かね」

「アリーヤです」

「どこの星から来たのかね」

「地球です」

”地球”の返答に反応したのか、マジロ星人達はどよめいた。

「地球だと?惑星マジロの平和を乱されては困る!我々は平和に暮らしたいのだ!」

宇宙アルマジロの姿に変形したマジロ星人達は口々に言った。

一方、コアは、アリーヤが撃墜したオリオンの戦闘機へ違づき、敵兵の生存を確認し手錠をかけた後、オリオン側のデータを得るべく戦闘機全体のスキャンを始めた。

一方のデッド・オリオン。2087は、帰還した兵士の話を聞いていた。

「それで、宇宙船がピンク色に光ったから、退避したと」

「は、そうなります」

「まあいい、宇宙船が捕獲できればそれでいい。敵に総攻撃を仕掛けるぞ」

そして一方、アリーヤの船へコアが戻って来た。

「デッド・オリオン兵を1人捕まえたぞ。敵戦闘機のデータも手に入れた。あと、兵士から聞いたのだが、こちらの宇宙船に、発信機入りのペイント弾が張り付いているらしい」

「それでこっちの位置が分かるんだね」

アリーヤはそう言うと、マジロ星人たちに視線を向けた。

「私たちは戦いに来たわけじゃありません。敵に攻撃されたから、逃げてきたんです」

アリーヤはそう言い、一番近くの距離にいる、マジロ星人の目を見た。

つづく

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