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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
2/22

#2 夢

「きみの夢は何だ?」

「写真家になることだよ」

「どうしてきみは……写真家を目指す?」


アリーヤはとある惑星で目を覚ました。うす暗い青空、そして砂漠が広がっている。

「うわあ、ここはどこ?天国にしちゃ、殺風景なトコ……」

「ママやコアは無事?」

すると、アリーヤの手元にあるスマホに、メッセージが1件入っている。

発信者名はエヴァルドとある。

「エヴァルド……!」

彼女はメッセージを読んだ。

「ピンクの光・指し示す場所に、君は行くべきだ。そこにきっと、希望があるから。」

メッセージはそこで終わっていた。

「ピンクの光?」

何の事か分からない。そう思ったアリーヤは、自身のカメラのレンズから光がもれている事に気づいた。ピンク色の光である。

そのピンク色の光は、地平線の彼方を指し示した。

アリーヤ「この光の、事?」

彼女は地平線の向こうへと歩き出した。

アリーヤが歩いていると、やがて地平線の向こうに、緑が生い茂る森が見えた。

「この森の中?」

彼女は恐る恐る、森に足を踏み入れた。ピンクの光の指し示す通りに森を進んでいくと、洞窟に突き当たった。

「どうしよう、これは何かの罠じゃない?」

そう考えながらも、彼女は洞窟へ入って行った。洞窟の中は薄ら明るく、やがて彼女は洞窟の突き当たりまで導かれた。そこには家ほどの巨大な丸い石のかたまりがあり、鋭い目のような突起物が2つ見えた。その両目の真ん中のピンク色の宝石に、アリーヤのカメラのピンクの光が当たっていた。

「この石が、キボウ?」

そう呟いた瞬間、彼女の身体は光り輝き、カメラと共に丸い石像の内部へと吸い込まれて行った。

暗闇の中で1人しゃがみ込むアリーヤ。


暗闇で、ぼんやりと、アリーヤの家が見える。リビングのテーブルに、2人の親が座り、小さいころのアリーヤに向けて、こちらへ来るよう促している。2人の間の席へ座るアリーヤ。紺色服の父親が、小さなアリーヤに問いかける。

「どうしてきみは、写真家を目指すんだ?」

戸惑うアリーヤ。彼女があたりを見回すと、そこはリビングでは無く、父の個室だった。誰もいない、電気もつかないその部屋で、ほこりをかぶったアルバムを見つける。どこかの国の戦場だろうか、アルバムの写真20枚には、11年も前の日付が記録されている。泥道を走る戦車は、敵に狙いを定めているところか。ある写真では子どもが泣き、またある写真では逃げ惑う人々が写されていた。部屋に閃光が走る。

爆発音と共に、家は崩れ落ちた。暗闇を走るアリーヤ。何かにつまずき、それを拾いあげると、それは小さなペンダントだった。

「アリーヤ」

誰かの呼び声がする。

「私は、私の夢は……」

声を振り絞るアリーヤ。


「みんなの笑顔を、守ります!」


カメラはまた光り出す。アリーヤのカメラの光は、カメラ本体を離れ、彼女の頭上に舞い上がると、あたりを照らして行った。そこは宇宙船の操縦席だった。

「何、ここ……」

戸惑うアリーヤをよそに、外壁の石像は音を立てて崩れて行った。それは、動物のサソリを模したような、ピンクの光を放つ宇宙船だった。と共に、アリーヤのカメラから声が聞こえてきた。女性の声だ。

「この宇宙船にたどり着いたアリーヤ・カルティエ。あなたは、こことは別の銀河を救った勇者です。ここの宇宙にはまだ、デッドオリオンなどの魔の手が差し迫っています。今一度、アリーヤ・カルティエのその手で、この宇宙をお救い下さい!……」

音声はそこで途切れた。アリーヤはカメラを見ながら立ちつくした。

「カメラが喋った……ちょっとまって!勇者ってどゆこと!?宇宙を救えって?もう何がどうなってんのぉー!?」

アリーヤの問いに、カメラは答えなかった。

「そっかあ、私は宇宙犯罪者に立ち向かったりして、宇宙を救えたんだ。よかったぁ

……ま、帰れないんですけどね。ええい!どうせ帰れなくなったんだ、こっちの宇宙も救ってやるよ!やりますよ!そうと決まれば発進だね!そこら辺の操縦席、いじっちゃおう!」

アリーヤは、操縦席の機械をがむしゃらにいじり始めた。


つづく……


挿絵(By みてみん)


※このお話は2021-10月に、ブログに投稿していたものです。

©2023MizushibaRoku

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