第二章 第七十五話 秘匿~隠された歴史~
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「一つだけ話を聞かせて。かつて時空神と呼ばれたグラハム神の話を」
ヒナタがそうハクとフブキに伝えると二人はとても驚いた顔をした。
グランには何のことかさっぱりわからなかったが、二人は何の話か分かったようだ。
「まさかヒナタ様がそのことを知っているとは思わなかったのだ」
「我らでさえ、神域図書館を使用するまで知らなかったぐらいですのに」
「時空神グラハムってどういうことなんだ?聞いたことない神様の名前だ」
グランは聞いたことのない神々の名前にとても驚いていた。
グラハムという言葉には聞き覚えがあったがまさか本当に実在する神だったとは思いもしなかった。
グランが驚いていると表情を険しくしたハクとフブキがこちらを見ていた。
「……主様、念のため遮音魔法をお願いします。このことは他言無用で」
「了解。遮音魔法」
「かつてこの世界の神々は十一柱だったのだ。しかし時空神グラハムが何十年も前に世界を破滅へと導こうとしたのだ」
「グラハムは自身の持つ権能クロノスによって世界の歴史を改変、破壊し更に空間をゆがめ、外界から災厄をもたらそうとしたのです。そのことを知った創造神様はグラハムを止めようとしました。しかしグラハムはすでに強大な力を身に着けており、すでに討伐が不可能な域にいました」
「どうやら創造神様が放った神代魔法 天雷を完全に防いだみたいなのだ。神代魔法とは防御不能、介入不能の魔法であるが、それを防いだということは空間ごと切り抜いて別空間に保管していたのだろうな」
「最終的には十柱の神々が全員で協力して封印したみたいなのですが、封印と同時に世界に大規模な認識阻害魔法がかけられました。その魔法の影響で世界的には自然災害が多かったぐらいの認識になっています」
「結局最後は封印で終わったのか……」
「ということで今の話からグランはいくつか聞いたことのある単語が出てきたと思う」
「そうだね。グラハム神にクロノス、そして神代魔法あたりかな」
グランは聞き覚えのある言葉に驚きながらも自身の中で疑問に思っていたことが繋がっていく感覚を覚えていた。
「うん。まずグラハムから。これに関してはグラハム教の進行している神と同じもの。なんでグラハム教の人間がこのことを知っているのかはわからないけど……。そしてクロノス。これはグランが時空王に進化する前に持っていた技能の名前。グランの魂は昨日朝比奈陽翔と、グラン・レア・ベルセリアの魂の二つから成り立っているという話をしたけれど、本当はそれに加えてグラハムの魂の一部も混じっている。ただ自我はないから安心していい。そして最後に神代魔法はあなたたちが地球での死因となったもの。おそらくグラハムが封印されてから空間が暴走して、地球に道が開けてしまったんだと思う」
「そうだったのか……。だから時空魔法の固有技能も最初から完成度が高かったんだ」
「ヒナタ様の理論で行くと主様は固有技能が合計7つ持てるということになりませんか?」
「フブキ賢い。流石は神獣。グランは合計で7つの技能が持てる。また神格を有しているから固有技能が権能に進化した場合はまた変わってくる」
「やはりグラン様は規格外なのだ!」
「あとはグラン次第だけど、多分グランは精霊神として覚醒していくと思う。はじめは時空神の覚醒ルートが一番可能性が高かったんだけど、私と霊約を結んだから……」
「まあそれについては多分なるようになると思うよ。僕の事情は分かったよ。でも神々の思惑っていうのは?」
「それに関しては完全に憶測にしかならないけど、今グラハムの封印が緩んでいる。そのせいで世界的に影響が出てる。だからその対抗策として同じ時空系統の力を持つグランを強化して、グラハムを討伐しようとしているのかなと思ってた」
「まさしくその憶測は正しいぞ。久しいな精霊皇よ……今はヒナタであったか」
「あなたは!?どうやってここへ!?」
グランは自身が創り出した空間に突然現れた人物に驚いた。
そこにいたのはなんと創造神タパスであった。
ハクとフブキは驚きすぎたのか心ここにあらずといった状況であった。
「久しぶりじゃのグランよ。まさか、わしもこちら側へこれるとは思ってもみなかったわい」
「今のグランは半神。ここが神域になっていてもおかしくはない」
「確かにそうじゃの。ところで先ほどの推測だが、少し間違えているところがあるの」
「間違い?」
「うむ。まずグランが持てる固有技能は7つではない。そもそも半神とはいえ神の領域に立ち入ったものが人族の常識に当てはまるはずがないのじゃ。ただわしら神としても不思議なのじゃが、グランは保持できる固有技能の上限数がないみたいなんじゃ。いくら神とはいえ、際限なく様々な技能を身に着けられるわけじゃないのでな。権能についても現段階では不明じゃが、かなり強力な権能になるとみておる」
「上限数がない!?」
「確かにそれは神だとしてもありえない……」
「そしてグラハムの封印じゃな。あれはわしら十柱の神々が力を合わせて行使したものじゃ。さらにグランの魂にグラハムの魂を混ぜた際、使用したのは奴の技能や権能の情報が記されている部分のみで、奴の力のほとんどをグランへと継承させた。そのためここ最近の世界情勢における不安定さはグラハムの封印が緩んでいることによる影響ではないと考えておる」
「でもグラハム教の人間や、ほかの人間からグラハムの魔力残滓が感じられた。ほかにもグラハムの持っていた時空系の能力じゃないと説明がつかない事象が世界では起こっている」
「そこなんじゃ。わしらがどんなに調べても、議論を重ねても結論が出なかった。ひとまず封印のほうは強化したのじゃが、それでも変わらなかったことからグラハムが原因でないと思ったのじゃが」
「もしかして、グラハムはタパス様たちに封印される前に、自身の力の一部や分身体を時空魔法で非難させていたのではないでしょうか」
「その可能性はありうるな。じゃが時空魔法関連となるとサノヤスが詳しいかもしれんが……」
「それに関しては私が調べてみる。仮にも精霊皇だし、何より……グランがいるから」
「僕もヒナタに協力するよ!一緒に調べてみよう!」
「そなたも成長したな、ヒナタよ。昔はあんなに周りにも興味がなくて……」
「今はその話はしなくていい!まったく……」
「じゃあこちらでも調べてみるが、頼んだぞ!」
「はい!お任せください!」
「ん、任せて」
「一つだけ忠告しておくのじゃ。もし調べているうちにグラハムと遭遇したら倒してしまったほうがいい。今回わしらには奴を討伐するだけの力がなかった。じゃが、グランなら奴と戦っても勝つことができるじゃろう。それに奴は腐っても神じゃ。一度死んでもまたそのうちよみがえるじゃろうて」
「わかりました!」
「すまぬなグラン、ヒナタよ。頼んだぞ!」
タパスがいなくなりしばらくするとハクとフブキがようやく戻ってきた。
「……はっ!今こちらに創造神様がいらっしゃったような……」
「気のせいですよ、旦那様。ええ、きっと気のせいですとも」
その後、グランとヒナタ、ハク、フブキは情報を共有し、今後の動きを確認するのであった。
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