月の破滅の序曲・・・。セツナと老婆の薄汚い欲望と裏切り・・・。
また、小分けにして書いております・・・。
今回は前回からの続きです。
セツナの身勝手さと残忍さが露呈する・・・そんなエピソードになります。
セツナは・・・毎回・・・女性に対して非情な態度だった。
だが、この国の「しきたり」のせいもあってか・・・。
周りの女性たちは・・・皆従順であり、彼の言うことを黙って聞き、
ほとんどの女性たちは・・・堕胎することに同意していた・・・。
多分、相手の女性たちも・・・自らが罪にかけられるのを・・・。
恐れていたから・・・罪から逃れたかったのであろう・・・。
しかし・・・。
リクとの縁談が決まり、もう火遊びは終わったんだとばかりに
あっさりと彼は、リクと結婚してしまう・・・。
そう・・・キチンと専属の占い師に頼んで「婚礼の儀式」を
整えてもらい、皆から祝福されながら・・・穏やかに・・・
今までの罪など・・・「無かったこと」にしてしまうかの様に・・・。
だが・・・。
そのうちに相手の1人の女性が声を荒げてしまう・・・。
「その男を罰してください!!!私は・・・婚礼の儀も
あげていないのに・・・。彼との間に・・・子供がいるのです!!
その男を罰して!!断罪してください!!私も直ぐに後を追う覚悟です!!
子供もろとも・・・!!「死」を覚悟しております!!!」
彼に歯向かう様にそう声高に叫んでいた女性・・・。
許せなかったのだろう・・・。セツナの事を・・・。
ざわつく群衆・・・。
セツナは顔面蒼白になり・・・必死で誤解だと叫び出す・・・。
その光景は・・・愚かで・・・哀れなものであった・・・。
「その女が嘘をついているんだろう!!俺がそんな事をする筈がないっ!!
俺には・・・今こうして・・・縁を結んで貰った・・・大事な・・・
「嫁」がいるのに・・・!!「妻」がいるのに!!!そんな事を・・・!!
俺はしていないんだ!!!断じてしていないんだ!!彼女の妄言だ!!
そうだ!!俺の子だとどうして分かる?!!大方、他の男の子供だろう!!
俺は無実だ!!・・・死にたくないっ!!!助けてくれっ!!!」
泣きながら許しを乞う姿は・・・。とても愚かで醜く・・・冷淡で哀れだった。
「断罪して!!あの人を・・・!!お願いします!!断罪してぇぇぇ・・・!!」
泣き崩れるその女は・・・必死に・・・周りの人に助けを求める様に・・・
すがる様な思いでまるで「復讐」の様なお願いをする・・・。
「この国の掟を・・・破った・・・。禁忌を破った者は・・・。
裁判にかけねばならない・・・。分かるな・・・?セツナ・・・。
この女も・・・諸共・・・厳重に処罰を・・・下す・・・。
覚悟はいいな・・・?!牢獄に投獄してしまえ!!!!!」
皆がワーッ!と一斉にセツナを取り囲み、助けを求める
その哀れで罪深い男を・・・投獄した・・・。
相手の女も覚悟はできているとばかりに連行された・・・。
「助けてくれっ!!!死にたくないっ!!!!!」
その様子を・・・遠くから・・・キリは・・・ただ見ていた・・・。
「とんでもない男に引っかかったんだな・・・君は・・・。
俺でも呆れる程だ・・・。そいつは・・・自分の事しか考えていない。
君は・・・何で・・・そんな「男」を庇っているというんだ?!」
叱責する様に咎める様に・・・アキトは・・・ついキリを責めた。
「・・・そんな男でも・・・最初は・・・愛していたからだよ・・・。
愚かだろう・・・?馬鹿げていると笑うだろう?自分でも・・・。
どれほどまでに自分が愚かかということは・・・重々分かっている・・・。
だが・・・私の罪は・・・これだけではないんだよ・・・。」
「いや、君は・・・この時点では「罪」等背負ってはいないだろう!!
自分を何故・・・そこまで・・・責める・・・?!!何故だ・・・。」
「罪は・・・これからだ・・・。これからなんだ・・・。」
牢獄に投獄されているセツナに・・・。
キリは・・・会いに訪ねた・・・。
「お前に・・・話がある・・・。」
「死にたくないんだ・・・。助けてくれ・・・キリ・・・。」
ぶつぶつと独り言の様に身勝手なまでに彼女に助けを求め続ける・・・。
「実は・・・私にも・・・隠し事があった・・・。
本当は・・・私にも・・・お前との間に・・・子供が産まれている・・・。
娘だよ・・・。お前の・・・・・・。」
ゾッとする様な表情になるセツナは絶望した・・・。
「君まで・・・俺を・・・裏切るというのか・・・。
君だけは・・・俺を・・・信じてくれていたのに・・・。
愛してくれていたのに・・・。俺は・・・こんなになってても・・・。
君の事だけは・・・本当に・・・愛していたと・・・・・
言うのに・・・・・・・・・・・。」
その言葉だけは・・・そこだけは「事実」だった様だ・・・。
苦しそうに嘆きの言葉を・・・静かに口にする・・・。
その様子を黙って見ていたキリは・・・覚悟が出来ていた・・・。
「・・・一緒に逃げよう・・・?セツナ・・・。
私は・・・。お前を死なせたくなどない・・・。
・・・だから・・・この国を・・・滅ぼしてしまう覚悟が・・・。
私にはある・・・。こんな下らないしきたりが在る所為で、
お前が・・・死ななくてはならないと・・・言うのなら・・・。
いっそ・・・この国を・・・全てを・・・滅ぼしてしまおう・・・?
そして・・・ユイト・・・お前の娘と私の3人で・・・滅んだ後に・・・
一緒に3人で・・・何処か遠い星に・・・逃げてしまおう・・・?」
その言葉を聞いた時、セツナは・・・
衝撃を受けつつも・・・その案を承諾する・・・。
キリは気が付いていなかったが・・・。
その時のセツナの顔は・・・もう・・・以前の穏やかなものでは
とてもなく、残忍で冷酷で・・・卑劣な笑みだった・・・。
「これで・・・自分は助かるんだ。」と・・・何処までも・・・
自分本位な・・・誰の事も顧みない・・・卑劣な思いでいっぱいだった。
「そうして・・・。私は・・・あの時・・・。
全てを欺く様に・・・。占い師の老婆に・・・。
頼み込んだ・・・。まじないで・・・。この国を・・・
「滅ぼしてほしい」と・・・・・・・。」
そう・・・その占い師とは・・・婚礼の儀をあげるときに
決まって縁を結んでくれる・・・専属の占い師・・・。
その占い師は実は月の国の者ではなく、他の惑星から
「奴隷」の様に連れてこられた・・・上っ面だけ月の者に
媚びを売るだけの・・・薄汚い心の老婆だった・・・。
「その願い・・・喜んでお請け致しますよ・・・。フォフォフォ。」
そう、その老婆こそ・・・。
何時でも他者の心の弱みにつけこんでは「悪に染め上げる」・・・
他人を陥れることしか考えていない・・・あの・・・
エリナちゃんたちを利用していた老婆の妖精の真の姿だったのだ・・・。
真実は淡々と語られていく・・・。
月の国の破滅の始まりは・・・。
歪んだセツナの欲望から・・・始まっていた・・・。
そして、滅亡へと・・・繋がるのです・・・。
次回辺りにこのエピソードは完結します・・・。(最終回という意味ではなく)
真実のエピソードが終焉になるのです・・・。




