表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
125/125

第124話 行先は不明

「招かれざる扉って何?」


 アイシャの質問は当然の事で、説明をした修一も正確には理解していない。

 ただ、この扉のお陰で国を救う事が出来たのは間違いではない。

 勇者の時の修一やピンスじゃないと気が付かなかった理由は不明だが、もしそういう条件だったら、歴代の魔王も気が付いていないだろう。

 もしも気が付いたとしても開きはしない。

 確かに封印しておきたい代物だし、今は隠蔽魔法が施されていた事にも気が付いている。誰が何の為に設置したのか、もしくは最初から存在していて、利用していたのか、その方が謎である。


「ベルディナンドに行く扉がこんな所に有ったんですね」

「やっぱり先生は何でも知ってるなあ……」

「利用した事は有りませんよ。私は実力でベルディナンドに行きましたから」


 修一がドン引きしている。

 そもそも、あの世界は異空間と言っても過言ではないくらいの別世界で、行き方が有る事も知らない。ただ、この世界と繋がりが有るから行き来出来るのだ。

 それを聞いていたアイシャがドヤ顔をしている。


「ですが、目的地は扉によって変わった筈ですが」

「そうさ、俺達もその扉を利用して世界樹にも行けたからな」

「利用したというか、使わないと行けない気がしたんだよねー」

「ただの予感めいたモノでも聖女なら間違いないですか」

「あっ、ニセモノだからねー」


 能力は一級の聖女そのものなのだが、ピンスは偽物である事に拘りが有るようで直ぐ否定してくる。


「ただ、それが同じ扉なのかどうかは関係ないんだ」

「だよねー……あんな戦争しているところに行きたかったワケじゃなかったしー」

「詳しく」


 修一の意味の伝わりにくい説明と、ピンスの感情の説明を聞いて、先生は苦労しながらも解読していた。そこで解った事と言えば……。


「目的を持たない者が入っても弾き出される。それはスケルトンで証明されました」


 実験の為にシェリィのたんこぶが三個になっている。

 可愛そうだから撫でとくわね。


「誰か生きている者で実験できませんし……封印ですかね?」


 こんな何処に行くか分からないドアなんて使えたモノではない。


「これ、俺達が入ったら今度は何処へ行くんだろうな?」

「多分……家かなぁ?」

「なんだそりゃ」

「分んないけどソコに住む事になると思う」


 聖女の勘と言うとまた面倒になりそうですので、ココは無視。


「駄目よ、もっと働いてもらうんだから」


 魔王様が代わりにツッコんでくれました。

 まだ帰さないという決意の表れですね。

 解ります。


「では封印で」


 ピシャッとシャットアウト。

 ついでに結界と魔王印を付けて貰いました。

 これで城が壊れても封印は解けません。

 って、この偽聖女は何やってるんです?


「痛いの痛いのトンデケー」


 スケルトン達が輝きましたが見た目に変化は有りません。


「なんか体が軽くなった気がする」

「身体がズレないし動きやすい……」


 スケルトン達が嬉しそうにスキップしています。

 なんです……コレ。


「肉体も戻ったら楽しs……」


 スキップしていたスケルトンが着地と同時に足元から体が崩れました。

 効果が切れたようです。

 シェリィが直していますが、一時的にも効果が有るのは率直に驚きましたね。

 こんなバカな事は試しませんでしたから。


「でも少し面白い事が解りましたね」

「えぇ……回復魔法は苦手なので気が付きませんでした」

「聖女の能力ですよね、これは」

「聖女じゃないってばー!!」


 プンスコしてますけど、聖女の力が有ればそこら辺のガイコツをスケルトンとして使役した上に肉体を与える事が可能って事ですよね。

 普通に大問題なのですけど。


「そーいえば、先生もスケルトンだったのになんで肉体が有るの?」

「私の場合は魔核のおカゲも有りますが、呪いによって死ねないのと、記憶を持っている事ですね」

「私は運が良かったです。先生に選んでいただなければあのまま塵に成っていたでしょうし……」


 シェリィの場合は本当に運が良かったです。

 特に記憶が保存されていた事で復活もし易かったですし。


「誰にでも肉体が与えられる訳じゃないんだー?」

「そうでなければ死者を復活させて無敵の軍団を作りますよ」

「スケルトンはどうなんだ?」

「意識が有るようで実は半分くらい有りません。自由に動いているようで、あれはシェリィの命令が有ってその行動の範囲内を実行しているに過ぎません……という事はシェリィは腕を上げましたね?」


 エヘッて照れてるシェリィが可愛すぎるんだけど。

 お母さんに似てるから狡い。

 抱き付いちゃおっと。


「なんか、急に子供になるな……」

「別にいーでしょ、まだ子供だもん」

「それはそうか」


 急に納得していますが、やる事も急に無くなった気がします。

 何をしていたんでしたっけ……?


「って言うか、俺が探しているのはコレじゃないぞ」

「え、違うの?」

「これなら頑張れば勇者じゃなくても見付けるだろ」

「そう言われるとそうですね。ただ、この扉だけでも凄い発見ですが」

「巧妙に隠されたモノが他に有るのですね」


 今度は修一の後を付いて歩く。

 水の流れる通路がこんな場所にも有ったなんて。

 ペンを持つスケルトンが紙を持つスケルトンと協力して地図を書いている。

 覗き込んだら線が凄い事になってるし、部屋数は多いし、扉が有るだけでどこにも続いていな通路も有るし、階段も螺旋状に伸びてると思わせてただのトイレだったし。


「ホゥディが飽きずに城を探索している理由が解かったわ」

「この先はどうなってるのか……」

「これは本格的に城内地図の作成チームを結成するべきですかね?」

「あー、良いんじゃないかな。ホゥディがリーダーで兵士とスケルトンを……」


 マリアとアイシャが相談しながら歩いていて、先行する修一の姿を見失った。

 ただ、通路はまっすぐなので、そのまま進むとまた広場に出た。


「どこよ、ココ」

「あー、兎獣人がいっぱいいるー!!」


 兎獣人の村に続く裏口の通路。

 私達を見てもなんとも思うことも無く、何時も通りに畑を耕している。

 畑にいない他の者達は励んでいるか子育てをしているのが普通らしい。

 そして、兎獣人以外の者達もココに住んでいて、上手く共存出来ているようだ。

 ……出来てるよね?


「あれ……ま、魔王様?」


 一組の男女がアイシャに気が付いて慌てて駆け寄ってくる。


「こんな大勢で、何か有りましたか?」


 アイシャは魔王で、二人は一般人。

 こんな口を聞いて言い訳が無いがココでは許されている。


「道に迷ったのよ。修一の後を付いて歩いてたんだけど」

「アイツ……ああ、ギデオン殿ですか」

「何かこの辺りに普通の人じゃ見付けられないような隠し部屋ってある?」


 突然の質問に答えられる訳も無く、この先は兎獣人とカラーが棲んでいる村が有るだけで、他は旧メイガスの街から引っ越してきた移民達の町が有る。

 今は巨大農園を作造り上げていて、リンゴジュースの生産地もここだ。

 答えられない代わりに搾りたてのリンゴジュースを飲む事になって、農園にある休憩所に集まる事になった。


「おいしーーーーいっ」


 ピンスとアイシャが大喜びでグビグビ飲んでいる。

 アイシャの二倍ぐらいの大きさのリンゴジュースの樽が沢山あるので遠慮なしにカブのみ。


「あれこれマーボゥのように飾り立てて宣伝したら、思った以上に売れまして」


 ジョンはこの農園の責任者で、元々は街の責任者だったが、色々有って街とも村とも名乗らず、農園に住み込みで働く者になった。

 妻にレテが居るが、子供はいない。

 たまにミィとホゥディが遊びに来てリンゴジュースを飲んでいるのも初めて知った。

 子供が出来たみたいで嬉しいんだろうな。


「城と森の間にこんなモノを造ってたのか、凄いな」


 アップルパイを食べながら周囲を観察している修一は、水が湧いて出る小さな泉のような池を見て思い出したようだった。


「……ココに小さな家が無かったか?」


 アイシャもシェリィもマリアも知らない。


「隠れ家みたいで別荘に良いってハニエルが言ってた気がする……」


 美味しくて止められない止まらないアップルパイを一気に口に詰め込み、モグモグ頬を動かしながら湧き水の目の前まで進む。


「あった、これだ」


 修一が拳で何かを叩いている。

 全く見えないし、触れないと存在に気が付かないが、そこに何かある事に気が付いた時、周囲に変化が起きた。


「今、小屋が突然現れたよね?」

「え……えぇ……これって……隠れ家のような……」


 窓の無い物置のような小屋。

 扉は一つで、殆どが蔓草で覆われている。

 開くのは簡単だった様で、軋む音は響くことなく扉は崩れて壊れた。


「カギとか封印とかないのか」

「有りましたけど、あなたが解除しましたよ。気が付いて行ないのですか?」


 勇者ではない修一にそんな能力は無い。

 有るとすればそこに居る偽聖女のほうだろう。


「で、モグモグ、何が、もぐもぐ、あるの、モグモグ」


 興味は有るが食べるのを止めないアイシャが近寄ってきて中を覗く。

 修一とピンスも覗き込む。


「………武器?」


 マリアが気が付いた。

 それは修一が見ても同意見だろう。


「歴代の勇者が魔王に挑んだ時に使用された武器ですね、数十本も有るのはそれだけ歴代の魔王が戦った証でもありますが」

「太陽の剣と同レベルか、それ以上のモノがあるな……」

「……有りますね」

「なら、このまま封印だな」


 その言葉にアイシャが軽く驚く。


「欲しがると思ったのに」

「こんな危険なモノが人伝に渡ってみろ、奪い合いになるだけじゃないぞ。悪事に使用される事も有るだろうし、俺みたいに勇者に祭り上げられて利用される事も有るだろう。そして最悪なのは、武器を手にしただけで強く成ったつもりになる馬鹿どもだ」

「同感ですね」


 マリアが修一に同意した事で決定した。


「これも封印だな。出来ればもっと地下深くに。可能なら溶岩帯に沈めたい」

「以前に修ちゃんが気が付いたのはなんで?」

「ココにある武器の何個かは勇者の力に反応すると思う。今の俺では判らんが」

「呪われた武器も混ざっていますね」

「……なら取り出せないようにしましょ」


 アイシャが魔法を発動させ、小屋の横に縦長の深い穴を作るべく呪文を唱えた。


「ミニサンブレイクッ!!」


 一筋の光が地面から真っ直ぐ空に向かって伸び、その光の筋が消えると穴が出来ていた。


「魔王様、見事な魔力制御です」

「えへへー」


 そこからマリアとピンスのタプル封印でガチガチに固めた小屋を、修一が蹴り飛ばして丸ごとその穴に落とし、小一時間かけて石やら土やら、手近なモノで埋める。

 売ればかなりの金額になるとはいえ、存在しているだけで危険なモノならあっさりと棄てる。それが出来るマリアと修一に驚かされるのは他の面々である。


「……太陽の剣ってかなり凄いモノよね?」

「これは勇者の時の半分の力も出せないから問題ない」

「そうなの?」

「勇者の魔力を籠める事で真の力を発揮できるモノです、私が作ったレプリカは真の力を発揮する前の通常状態ですので、こちらも問題ないのです」


 なんとなく納得できないアイシャだったが、先生がそう言うのなら、という事でこの件を終わらせるのであった。


「骨折り損とは言わないけど、お金になるモノが欲しかったわ」


 と言う愚痴をこぼして………。







※おまけ



「招かれざる扉ってい言うワリには利用価値あるよね?

「元々は入ると生きて帰れない扉だったんです

「へー……

「使えるのなら利用価値は有るのですけど……

「自由に行きたいところに行けないんじゃ意味無いだろ

「だよねーっ

「あなた達は決められそうですけどね……

「やっぱり封印してよかったわ


  

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

ブクマ いいね 感想 レビュー お待ちしております

宜しくお願いしますm(_"_)m

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ