郁哉と日和①
あれから数年経ち……あたしは一人暮らしをしていた。
「日和、差し入れ、買ってきたよ。」
「あ、匠……ありがと。」
匠が心配してちょくちょく来てくれる。
「鈴原くんから連絡は?」
「んー……。」
郁哉とは4人で話し合ったあの後からまともに会っていない。
郁哉が学校休むことが多く、単位が足らず中退。
「鈴原くんのこと好き?」
「……それすら良くわからない。好きって言うのが、どんなのか。」
「そうだよなぁ。結局小春ちゃんも鈴原くんのことが好きで、追っかけてたけど。」
「そうなのよね。小春ってばアピールしまくり。
郁哉とは……自然消滅かも知れない。」
「え」
「電話、この間かけたの。そしたら"おかけになった番号は現在使われておりません。"って言われて……。」
「番号変えちゃったのかー……。」
「そうみたい。郁哉……」
「でもさ、日和も小春ちゃんに"今度はあんたが痛い目見る番よ"って言った割には何もしないことに驚いた。」
「あぁ、あれね、小春になにをしたら痛い目見るか分からなくて何もしてない。」
「あれじゃない。鈴原くんと連絡取れないことに痛い目見てるかもじゃん。」
「あ、確かに!小春、郁哉のこと好きだもんね」
「今頃どうしてるのかな、鈴原くん。」
「そうね……。」
電話をかけても繋がらない。どこにいるかも分からない。
家に行っても、家の中入らせてもらっても、郁哉はいなかった。
最初はショックだったけど、今となれば……
好きって言う感情がどんなものかさえ覚えていない。
「匠」
「ん?どした?」
「"好き"って……どんな感じだっけ……」
「……。」
「……匠?」
匠の方を見ると同時にキスされた。
「……たく……み……」
舌が絡み合う。
「ちょ、匠!?」
「……もう日和が辛そうな顔するの……見たくない。」
「あたしは大丈夫だよ?」
あたしは押し倒され、キスされた。
突き飛ばそうと思っても力が強くて出来なかった。
「日和好きだよ。ずっと、好きだった。」
ずっと?ずっとっていつから……?
「異母兄妹だけど、それでも好きだよ。」
服が徐々に脱がされていく。
匠があたしを好き?
「ちょっと匠どうしたの……」
下着のホックまでも外された。
匠が首筋にキスをしてくる。
《ピーンポーン》
インターホンが鳴った。助かった。
「僕出るよ」
匠がさっと立ち上がり玄関に向かった。
あたしは慌てて布団をかけた。
玄関で少しの間話をしていたらしく、なかなか戻ってこない。
あたしが服を着終わろうとしていた時に戻ってきた。
でも、戻ってきたのは匠じゃなかった。
「……い、くや……?」
前よりも背が少し伸びていた気がした。
「郁哉……なの?」
「そうだよ。久しぶり、日和……」
郁哉に思い切り抱き締められた。
「ごめんね、日和……」
郁哉の匂い……久しぶりに嗅いだ……。
やっぱ落ち着く……。
あたし、どうしても郁哉が好きだ。




