11年前②
運転席と助手席に座ってる人は全く知らない人。
「あの……」
「大人しくしててね。騒いだら許さないよ。」
運転している男の人は息が荒れている。
「あたしを殺すんですか?」
「え?」
「あたしをどうするんですか。」
「貴方、誘拐されてるのに何で泣かないの?」
助手席に座っている女の人に声をかけられる。
「……誘拐されたんだ、あたし。でも別にいいや。」
『え?』
2人は凄く驚いてた。
「正直今の家にあたしの居場所はないの。居なくなった方がせいせいする。」
「そうか……。」
「でも、何であたし?」
「私、実は不妊症で子供が出来ないの。でもどうしても子供が欲しかった。そんな時に貴方が居たから……。ごめんなさい……。」
「そっか。でも、何かあの家から開放されるなら嬉しいや。ありがとう、おじさん、おばさん。」
あの家から開放されるのなら、それは嬉しいこと。
あの家に居たらあたしはいつか死ぬだろう。
おじさん達の家に着いたらしく車を止めた。
表札を見る。
「ひがしぐも……?」
「"しののめ"よ。」
「"しののめ"……。何かカッコイイ!」
家の中に入ると、凄く片付いた綺麗な部屋だった。
言っていた通り、子供が居ないみたい。
子供用品が何一つない。
「お名前は…?」
「南條日和……。」
「日和ちゃん、貴方は今日から"東雲日和"よ。」
「……うん!」
それから2人はあたしのために洋服、おもちゃ、家具などを買ってくれた。
「ここが日和ちゃんのお部屋よ。」
部屋が1つ余っていたらしくそこを使っていいと言われた。
前は小春と一緒の部屋で、ほとんど小春の物で埋め尽くされていた。
「わぁ……ひろーい……」
1人でこんなに大きな部屋を使っていいなんて、凄く贅沢な気がした。
今まで色々我慢してきたからかな。
ここの家の人は凄く優しく、あたしを大事にしてくれた。
中学に入って郁哉くんにも出会えたし。
「ここに来て、良かったのかも」
小春は今も昔もどうせ甘やかされてる。
小春もあたしが居なくてせいせいしたでしょうね。
あたしは要らない子なんだから。




