元騎士、鋼鉄の少女に助けられる
読めないとか言うのやめて!!!!
殺意に満ちている暴力の嵐をなんとか躱し、逸らし、命を繋ぐ、油断した瞬間、肉塊に変わる事実に途方も無いめまいを感じるエクティス。
たったの一撃で大地に棍棒剣を埋め込ませ、乱暴に引き抜き再度振りかぶってくる、本当に小鬼の上位種なのか、疑わしくなってくるほどの猛攻。
直撃を受けずにいるエクティスに鋼鉄大鬼は焦れて大上段から獲物を全力で振り下ろす。
(………所詮はゴブリンと似たり寄ったりの頭、これを躱して隙をつく!)
以前ゴブリンと戦った時のデジャヴを感じながら、前と同じように躱しながら最高の位置に着こうとするエクティス。
しかし、それは魔物の上位種と戦う時絶対にしてはいけない愚行、下位種との経験を参考にしながら戦う、彼はその甘さの代償を身を以て思い知る。
(よし、躱し、ッッッッッッッッッッ)
彼は完全に躱したはずなのに目にめえない力で体が宙に投げ出される、この事実に驚愕し目を見開きながら惨めに地に堕ちる。
遅れて理解する、攻撃の風圧で吹っ飛ばされたのだ。
態勢を立て直そうとするが、そんな隙を敵が待ってくれるわけもなく、自身が肉塊になることを恐怖する彼に必滅の一撃を遠慮容赦なく叩き込む鋼鉄大鬼、響く轟音。
愚かな人間をミンチにしたという確信に表情を歪め喜びを表す鋼鉄大鬼、しかし、予想に反して鋼鉄大鬼の方が吹っ飛んでいた。
『ナ、ナンダ、ナゼワレガ………』
土煙が晴れ、中心に小柄な少女が見えてくる、その人物は拳を地面に突き立てながら鋼鉄大鬼の方を無感情な瞳で貫く。
さっきの轟音は少女が大鬼を殴り飛ばした音だった。
その事実に気づく鋼鉄大鬼は少女に憤怒を宿した囁きをぶつける。
『キサマ、ナニモノダ』
少女は無機質、無感情、無表情、全ての感情を殺した顔を浮かべつつ、声色には自身の激怒を隠さずに殺意を込めて返答する。
「………………友達だ…………」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ア、アイ………なのか?」
鉱石か機械部品かどっちか一目でわからない黒く、歪なものを体の所々から飛び出ているアイに呼びかけるエクティス
「衛兵さんに止められて遅くなった………ごめんなさいエクス………」
「そ、そんなことどうでもいいから早く逃げろ!そいつはヤバイ………」
奇しくも初対面の時と同じような台詞を吐くエクティス。
「………大丈夫、私、結構強いんだよ………」
自身の醜い姿を目にしながらも態度を変えないエクスに微笑みを向けた後、前に飛び出していくアイ。
『ナメルナ、コムスメ!』
「発疹皮膚砲身展開、魔力放出準備完了、反動加速砲」
アイは不可解な呟きをすると迎えつ鋼鉄大鬼の一撃を爆音を轟かせ理解不能な挙動で避ける。
『ナッ!?』
驚愕に表情を歪めながら、少女をよく観察する。
いつのまにか出していた砲身から魔力を噴射しその反動で移動したと理解するが、時すでに遅い。
「発疹皮膚砲身展開、砲身魔硬化工程完了、砲身鉄拳制裁」
拳の先から大砲を出し、冷たい殺意を込めながら鉄拳、いや、砲身とかした拳で大鬼を殴りつけるアイ。
『グゥゥゥゥッッッッッ!!?」
大鬼は予想外の攻撃に驚きながらも筋肉を隆起させ、踏みとどまる。
『………ツギハワレノ………』
底冷えする殺意を込めながら反撃をしようとする鋼鉄大鬼に対して無感情に呟き返すアイ。
「………砲身鉄拳追射撃」
瞬間、殴りつけた砲身から落雷のような爆音、鋼鉄大鬼を吹っ飛ばすアイ。
「………私の友達に………手は出させない………」
冷たく囁きながら大鬼の方を飛ばした方を睨む彼女、見る人が見れば鋼鉄の鬼に見えたことだろう。
アイつおスギィィィィィィ!!!!!




