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7-8

次に眷属化するのは大豆だ。

大豆は植物でありながらタンパク質が豊富にとれるスーパーフードだ。

栄養素で言うところの「体を作るもの」に該当する食材である。

では早速やってみる。


「ふんぬっ」


魔力を力任せに打ち込む。さっきの小松菜もそうだったが、この力任せ眷属化は基本的に原型をとどめない場合が多く、元の姿をベースとした別物になってしまう。だけど、この大豆くんも民に食わせる様の奴なので味より栄養素重視だ。原型などとどめていなくとも構わんのだ。


「でーきた」


かなりデカイ。オリーブ大の真っ黒な豆だ。一つ一つが眼球の様な見た目で気色悪い。まるで死神の食べ物であるかのような不吉さを感じる。

おいおい、マジで原型とどめてねーぞ。別にいいけど。

では早速実食だ。


「おぇ、まっず」


今度はストレートにまずい。

さっきの禍津菜はあくまで「食えなくはない」くらいのまずさだ。なんというか禍津菜は苦酸っぱい……

コーヒーにオレンジジュース入れた感じだろうか。

まずいんだけど、食えなくは、ない。


だが、この魔改造大豆は本気でまずい。

淡白で油っこくて、それでいて何故か炭臭い。結構最悪な味だ。

なんというか、豆乳に結構な量のエクストラバージンオリーブオイルをいれて、そこに墨汁をぶち込んでミキサーした感じだ。


控えめに言って、無理。


だけど栄養素的にはすっごい。

プロテインくらい高タンパクだし、植物性の体にいい系な油も潤沢、イソブラボンも豊富で女性にも優しい。その他諸々、禍津菜で補えなかった分の栄養をおおよそ補っている。とにかくすごい奴ができた。とんでもなく不味いけど。


「これは、そうだな…… 冥府のように不吉なオーラを放ってるから冥豆(めいず)にしよう」


さって、次、次。


ーーーー


とりあえず、禍津菜と冥豆さえあれば必要な栄養素は足りる。不味いけど。

残る栄養素は糖質。つまりデンプン質だ。


そして北国でデンプン質で育てやすいといえばもちろんこれ。じゃがいもだ。


「さっそく眷属化するよ」


はい魔力込めました。

ああ、これはまた邪悪な感じに仕上がりましたね。真っ黒い芋に赤い血管が生えてるような見た目だ。

こんなのは人の食い物ではない。

では、実食。


「うん、不味い」


この芋はとにかく飢えをしのぐことと、育てやすさを重視して魔改造した。

禍津菜と冥豆は「栄養素豊富」って気持ちで魔力込めたが、これは「飢えを絶対しのげる」って気持ちを込めて作った。

結果、どんな悪状況でも驚きのしぶとさで生き残り、バチクソ大量に収穫できるけどやっぱり不味い、栄養素的にはじゃがいもとほぼ同じで主にデンプン。そういう作物になった。

不味さレベルで言えば禍津菜と同じくらいの「食えなくはない」レベルだ。じゃがいもから味を抜き去っってボソボソにしたような味がする。なんというか、固めのスポンジでもしゃぶっているかのような不味さである。


「うん。邪悪な見た目だけど飢えはしのげるということで、邪餓芋にしよう」


さぁ、とりあえずの最後で、後一つ作るぞ。


ーーーー


最後は麦だ。

これは先の三つとは違う。この麦は商業用に作る。


禍津菜と冥豆は栄養のため、邪餓芋は主食、そして麦は売りに出す。そういう感じだ。

そして、売り出し方は酒だ。

異世界転生ではよくある酒作りに着手する。

作るのはもちろん、ウィスキーだ。

この世界はワインやビール、果ては日本的な酒も何故かあるが、どうやら度数の高い酒はないようなのだ。

だからこそ、そこに商機をかけようと思う。


ただ……

麦を発酵させて蒸留して木樽で寝かせるってのはわかるんだけど、どうやって発酵させればいいのかとか、どうやって蒸留すればいいのかはわからない。

あと、一口に麦と言っても何の麦がいいのだろうか?ここにあるのはライ麦らしいのだけど、これでいいのだろうか?


まぁ……

よくわからんが、こまけぇことは魔法でなんとかなるだろう。


「よし、やるぞ」


ライ麦の眷属化だ。

これは味を損なう訳にはいかないのである程度慎重にやる。

じっくり、だけど適度に適当に、やる。


「むぅ…………」


とりあえず、まぁ三時間はかかった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新楽しみに待ってます!
[一言] 冥豆は誰が食うんだ… いやまあ飢饉とか起きたら食うんだろうけど
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