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お披露目会が終わった後は、親父がなんか総評みたいなことを述べていた。
そして、その後についに明かされる。
神聖エルドランド帝国王位継承戦の全貌が。
そもそも王位継承戦とは、今代の様に公爵家由来の王子が複数人生まれた際に執り行われる祭事で、前例も何度かある。力の強い公爵家が八家もある、超大国エルドランドならではの祭事と言えよう。
この祭事は、力ある公爵家同士が全面的に争うことがないようにと作られた。
当然、より優れた王を立てるための意味もある。
これは法により細かい規定もなさた、列記とした国事なのだ。
王位継承戦の内容は、時節や王候補の人数によって大きく変わるが、武力と知力と求心力の三点を見極めることが主旨であるのは変わらない。
今代の継承戦の内容は以下の通りとなった。
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壱、十歳時点から、特定の領地の統治を任ずる。
なお領地は運営側が選ぶものとする。
任命に際し、既存の配下の同行は不可とする。
監督者の発言には絶対に従うものとし、また監督者からの定期連絡が途絶えた場合、継承戦失格とする。
弐、十五歳時点から、エルドリア都立学園に入学すること。なお現役合格が不可の場合は継承戦失格とする。
参、十八歳時点で行われる、エルドランド国際武闘大会の「全解禁」の部に出場すること。なお予選敗退の場合は継承戦失格とする。
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以上だ。
なんと足掛け8年に渡る継承戦とは恐れいった。
過去の継承戦を見ると長くて1年ほどであったが、まぁ、確かにこの状況で1年というの難しいだろう。
そもそも過去の継承戦は二人か三人なのだ。
今回のように全公爵家が参加で、しかも全員同い年などと言うケースは後にも先にもないだろう。
加えて、現王はまだ三十五歳と若く、しかも死にそうにないほど強い。
つまり急いで決めなくて良いのだ。
要するに、次の王は誰が良いのか、後草れなくとことんじっくり決めようぜ、と言うことだ。
なるほど、上等である。
継承戦の内容も、長期スパンをテーマに良く練られている。
まず壱についてだが、これは要するに10歳に領地任してなんとかしてみろと言う無茶振りである。
これからの5年間でどれだけ勉強できるか、幼いながらに人を動かすことが出来るのか、状況に即した判断が出来るのか、先を見据えた判断が出来るのか。
など、評価すべきポイントは多岐にわたる。
10歳には明らかに酷だと思うが、この超大国の王になるのなら、これくらいはやれと言うことなのだろう。
ちなみに、監督者は明らかヤベェ判断をしない限り口出しはしないらしい。
次に弐についてだが、これはシンプルに知力を比較されるのだろう。
王都立の学園だけあって受験難易度も結構高い。
同学年と言う環境下で知を競う。同い年ならではの評価方法だろう。
また、学生活動を通して「求心力」なども見ることが出来る。おそらくだが、場所がエルドランドの最高学府であるエルドランド国立大学校でないのはその為だ。
あそこは学力がガチすぎて生徒数が少なく、求心力を図るには向いていない。
ちなみにだが、この学園生活は壱を継続しながらやるので地味に難易度が高い。
最後に参についてだが、これはそのまんま「武力」の評価だろう。
十年に一度の祭典である国際武闘大会を利用するとは流石だ。しかも、魔法も武器もなんでもありの「全解禁」の部とはな。この年の大会は相当に荒れそうである。
ちなみに本戦に出さえすれば、例え一回戦負けでも他の評価点で挽回できうるらしい。
ただ、モンスター蔓延るこの世界で、「武力」は最も尊ばれるものの一つだ。
その評価比重は決して低くはないだろう。
まとめてみれば、こんな感じだ。
面白い。
面白いが、さて、どうするか。