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100日後に死ぬ僕  作者: 変愚の人
13/125

12日目

「……よう」


部活から帰ろうとしていた僕の原チャリの横に、大型バイクが横付けられる。フルフェイスのヘルメットの中から除く三白眼は、藤木先輩だ。


「……何ですか」


「ちと、面貸せっちゃ。大事な話があるけん」


嫌な予感がした。でも、断れば……仲間を呼ばれる。

一度、それで僕は痛い目に遭っていた。文字通りの。

あの時、たまたま警察が河川敷をパトロールに来なかったら……僕はどうなっていたか分からない。


それ以来、僕はできるだけ一人で行動しないようにしていた。でも、今日に限って……油断していた。


「……どこに行くんですか」


「そこのガストたい。何、取って食いばせんけん」


妙に声色が優しい。……何を訊かれるか、予感はしていた。兄ちゃんの件だ。


#


「で、辰夫や」


パフェのクリームをすくいながら、藤木先輩が切り出した。


「……何か知っとるんじゃなかと?」


「……知らんです」


藤木先輩がにこーっと笑みを深くして身を乗り出して来た。


「……嘘はすぐばれるけん、な?」


「知らないもんは知ら……」



ベシィッ!!!



パフェ用のスプーンが、鼻先に叩き付けられた。鼻の奥から、鉄臭い何かが拡がってくる。


「嘘はすぐばれるけんなぁ!?おお!!?」


視線で助けを求めたけど、そもそも客がほとんどいない。……藤木先輩の縄張りだから、客を締め出すなんて簡単なんだ。


「ッッ……!!」


「辰夫が消えたんや。飯塚にも、田川にも、どこにもおらん。

浅尾の叔父貴が匿っとったらしいことは、最近知ったと……だから、叔父貴が死んだ今どこかに隠れとるのは間違いなか。

お前のとこ、会いに来とったんやろ??お??」


目からは涙が、鼻からは血が流れている。恐怖で震えが止まらなかった。


凄んでいた藤木先輩が、再び微笑んだ。


「正直に言えば、もう絡まんたい。だから、な?」



……兄ちゃん、ごめん。



「……一週間前、O尾で会い、ました……」


「おお、やっぱりな。……一週間前?」


僕は小さく頷いた。藤木先輩は訝しげに僕を見ている。


「はい……それで、顔を見に来たって。それだけだって……」


「なわけがなかろうもんッ!!!おいこら、何か渡されたりしたんやろ!??」


「な、何もないですっ!!本当なんですっ!!!」


「あ゛??舐めたこと言わんと、しょうちせんぞ!!?」


「ほんどうでずっ……!!しんじで、ぐだざいっ……」


胸倉を掴む先輩の手が緩んだ。


「……どこに行ったかぐらい、聞いとろうもん」


「……東に……電車で……」


「会ったのはいつと?」


「夜、でずっ……」


先輩の顔色がサッと変わった。


「……まずいっ……!!もう、九州にはおらんっ……!!!」


「え゛……!?」


何故彼がそこまで慌てているのか、僕にはまるで分からなかった。


藤木先輩はバンッと立ち上がる。


「上に連絡や……本当に、まずいことになったたい……」


そうして、お金を払わないまま、彼はどこかに去っていった。


#


それが、僕が藤木先輩を見た最後だった。

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