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断罪の旅人  作者: 玖月 瑠羽
四章 情報収集と犯人逮捕
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17話 火災の真相

皆様、どうもお久しぶりです。

季節の変わり目はキツイです、私です。

何とか9月投稿分が書けました。

10月から仕事場の環境が変わる為、遅れる可能性もあります。

でも、私は頑張って書きます( ;A;)


次話で会いましょう ノシ

 ゲーディオ邸を離れ、冒険者たちと共にシーボルト邸へと戻った。冒険者たちはそのままギルドに戻り、騎士団たちはゲーディオ邸の従者達と共に傷の手当や護衛の任務に就いていた。竜仙たちには屋敷に到着と同時に、異空間の中で発見した犯人の死体を司法解剖を頼んでいる。死因は毒物の服用による自殺だとは思うが、念の為に確認はしておくべきだ。その為、竜仙たちにはオルディアさん達と一緒に病院へ向かってもらっている。この世界には法医学教室のような物がない為、専門の病院で行なわれる。この世界の医療技術の向上も、異世界召喚された医者たちのおかげでもある。

 では、俺は何をしているかと言うと、放火された屋敷の調査を行なっている。今回の放火事件はトーチャ君が起こしたとは思えず、火災の原因となった火元となる場所がどこなのかを確認する為に屋敷に戻っている。すぐにゴム手袋を付けてから屋敷の中に入るのだが、火消しをしていたはずの執事やメイドたちが見当たらなかった。近くを通った調査員と消火班に聞くと、今は警備隊の方々が事情聴取をとっているらしく、屋敷の中庭に集まってもらい一人一人話を聞いているらしい。また、怪我をした者もいるらしく、同時に治療の方も行なっているらしい。それを聞いて安心すると、調査班の一人が何か無線らしきもので通話し始め、すぐに通話を切ると「イスズ様、火災現場と思われる場所を発見したらしいので、これから案内いたします」と、現場まで案内をしてくれた。


「かなり酷い状態だな。早めに気が付けたから良かったが、それでも所々が黒焦げしているな」


「はい、今回の火災は前例がなく。どこから出火したのか、現場の特定が難しいです。何せ、今まで放火と言えば屋敷の外か厨房が一般的でしたので、この様に厨房や中庭などから放火された物が見つから無かったもので」


「なるほどな。だから、消火班たちも屋敷の中を駆け巡っているわけか」


 屋敷の中を駆け巡るオレンジ色の防火服を着た消火班たちを見ながら、まだ火種がないか探しているのだろうと判断した。火は消し終えているだろうとは言え、今回の火災の原因となる火元や消火漏れがないか屋敷内を駆け巡りながら探しているようだ。


「此方になります。カルディオ隊長、イスズ様をお連れしました」


「あぁ、ご苦労。持ち場に戻って良いぞ」


「了解です!! では、イスズ様。仕事に戻ります」


 そう告げると、案内をしてくれた調査員は元の場所へと戻って行った。目の前に立つ消火班と同じ服を着た青髪の青年が、敬礼をして挨拶をする。


「初めまして。私はゲーディオ消火班および調査班リーダーを務める『カルディオ・シュトロハイム』と言います。よろしくお願いいたします」


「あぁ、よろしくカルディオさん。私の名前は、まぁ、知っているだろうが、改めて名乗らせてもらう。イスズ・ミココロだ。早速だが此処が『火元の可能性が高い場所』だと認識で良いのか」


「はい、現場を調査した中で、今回の発火事件の火元は、この『一階の左奥にある食品倉庫』だと思われます。どうぞ、中へ」


 火元の可能性が高いとされる倉庫に入ると、消火班と調査班が共に現場を調査している。カルディオさんが、放火の証拠が置かれている簡易テーブルのある方へと案内する。其方へと向かうと、消火班の方たちが回収した物が銀色のトレイの上に置かれていた。


「此方を見て頂けば分かる通り、この部屋の隅にあった石炭の箱が火元ではないかと思われます。箱の近くにあったこの装置ですが、どうやら時限式の発火装置のようでして。専門家がもうそろそろ来られると思うので、其方に調査してもらおうかと」


「時限式の発火装置ですか。時限式タイプの爆弾については、確か炭鉱夫たちが邪魔な岩石を撤去するために使用しているとか。この前の新聞で、その内容があったことは記憶していますが、まさか時限式の発火装置を利用するとは」 


「えぇ、時限式は採掘現場などで使用頻度が高い事から、お手軽な値段で購入が可能なんです。だが、その結果この様な犯罪に利用されるので、警備隊も困っているんですよ。ただ、今回発見したこの装置ですが、市販のモノではない可能性があります」


 そう言うとカルディオさんは、市販で使用されている時限式発火装置を取り出した。実際に比較して分かるのだが、屋敷で発見した物よりも小さかった。どうやらレプリカのようで、発火そのものは行えないらしい。実際に手に触れて見て分かるが、ダイナマイトなどの爆弾を発火させるだけの為、そこまで大がかりな使用は必要ない。その為、時間が来たら発火を行なう様にタイマーが付いており、タイマーのメモリの中には発火の魔法陣が描かれており、時間が来たら魔法陣が発動する仕組みとなっている。だが、屋敷で見つかった物はどう見ても大きい。軍隊で使用するC4爆弾のような大きさの外装が施されており、その中には複数の魔法陣が描かれている。発火した事で、装置内に描かれている魔法陣が溶けている。


「かなり溶けている様だが、魔法陣は読める箇所はいくつかあるな。内容は、発火の火力up系列のようだな。よくもまぁ、こんな手の込んだ装置を作ったもんだな」


「えぇ、イスズ様の仰る通り、かなり手の込んだ装置のようでして。この発火装置は、市販で販売されているものではありません。特注品である可能性がある為、魔法班と化学班が此方に向っている状況です。警備隊の方は、屋敷のメイドたちへの聞き取りを行なっています。特に、この装置がいつ設置されたのか、どのタイミングで発火したのか。出所を調査してもらってます」


「なるほど、確かに市販品には見えないですね。業務用で使用するにしては、殺傷能力が低い気がしますね。ただ、時限式にしてはこの様な面倒な対応が必要な理由が分からないですね」


 使用された時限式の装置を見ながら、装置以外にも置かれている物へと目線を向ける。木箱の留め金部分に溶結してしまった金属片や、溶けてしまった長剣などが置かれている。それらを確認し終えた後、周囲を軽く見回ると部屋の片隅に綺麗な正方形の木箱が置かれているのに目がいった。何やら見覚えのある『三本の剣が描かれた家紋』の焼き印が付けられているが、火災の現場だったのに焦げ跡一つない綺麗な状態でその場に置いてあった。箱の大きさは成人男性が体育座りをして、やっと入れるくらいの大きさだと想定した。一人しか入らない大きさとは言え、その箱だけが新品な状態なのが余計に不気味さを際立たせている。


「これは、確かアストリア家の家紋だな。そう言えば、シャルドゥーイ商会から商品を購入していると聞いたな。その中に王都から商品を取り寄せている場合もあり得る。済まない、この箱を確認したいのだが、ずっとこの場所に置かれていたのか? 箱を開けて確認したいんだが、良いだろうか」


「えぇ、当主様からイスズ様ならば構わないと御聞きしています。我々もその箱だけが燃えることなく残っているのは不自然で、気味が悪かったのでそのままにしていたんです。一体何が入っているのでしょうか」


「それは、開けてみなければ分からないだろうな。よし、開けるぞ――って、流石に拳で破壊するわけにはいかないか。誰かバールを持ってないか」


 この箱を開ける為の物がなかったこともあり、作業をしている調査員たちに声をかけるた。すると皆がバールを持っている物を探し始めた。焼け焦げた木箱などの現場証拠を保存したり、現場の状況を撮影している。この世界にもカメラがある事に驚きながらも、バールを持っているものを探してくれる優しさに感謝する。すると、一人の赤髪の青年がそう告げると、バールを手に持って歩いて来る。現場で走る行為は、証拠を消してしまう恐れを理解しているのだろう。慎重に足元を確認しながら俺の近くへと来ると、バールを両手で握り手渡してくれた。


「はい、此方にあります。必要かなと思いまして、取りに行ってきました」


「ありがとう、助かるよ。何があるか分からないから、皆さんは壁際まで離れてください。証拠品の保護と同様に、皆さんの命も大切なので遮蔽物で身を守ってください。では、箱を開けるぞ」


 そう告げると、皆が証拠品などを守りながら遮蔽物の角へと隠れた。皆が準備を終えたのを確認したので、箱へと向けてバールを箱の蓋の隙間へと差し込み丁寧に箱の蓋を開ける。メリメリと言う音と共に蓋が開き、両手で慎重に蓋を持ち上げ地面に置いた。蓋の裏側には『結界の魔法陣』が描かれており、これにより火災から守られていたと判断した。蓋に描かれた魔法陣を確認していると、箱の中から何やらオルゴールのような音が聴こえて来た。何かと思いすぐに中身を覗くと、そこにはベージュ色の毛布のようなものが入っており、その中央に『魔法陣が刻まれた長方形の黒い箱』が入っていた。音はその箱の中から聴こえ、すぐに結界を張り、長方形の黒い箱を取り出して確認する。箱の周りを確認してみたが、宝石のような煌びやかな装飾はなかった。黒い箱で留め金が一つだけ付いている箱だった。箱の側面は何も書かれていないのだが、指で軽く擦った感じでは『何か彫られている』ような感触があった。目を凝らしてみれば、ようやく彫られている事が分かる。何か絵のような物であることは分かるのだが、これについては後で確認することにした。


(この留め金を外せば、中が見えるのか)


 未だに音が鳴っている箱の留め金を外し、そっと箱の蓋を開けて中を覗いてみた。そこには、オルゴールの装置と魔石が入っていた。ただ、魔石にはヒビが入っており、少しでも触れれば砕けてしまいそうだった。オルゴールの付いている箱の底を軽く叩いてみた。本来なら箱の底を掴んでいる俺の手に叩いている感触が伝わるはずなのだが、その感触が全くなかった。


「これ、二重底か? そうなると、底の部分に隠したいモノがあると言う事か。開けてみれば分かるか」


 オルゴールを掴み引っ張ると、そのままそこも抜けた。そこには二つに割れてしまっている魔石と箱の底に白線で『幻覚催眠』と『風魔法』の魔法陣が書かれていた。魔石には、何やら魔法陣が書かれていたらしく、真っ二つに割かれた事で魔法陣も半分に分かれていた。どうやら、三つの魔法陣を順番に発動させるたのだと判断した。オルゴールが付いている蓋の裏側にも、まさかの白線で魔法陣が描かれていた。オルゴールがなり始めると同時に『魔法転送』を意味するこの魔法陣が発動して、風魔法と幻覚催眠と魔石の魔法陣を発動させたのかもしれない。


「なるほど、これがトーチャ君の暴走を引き起こす起爆装置か。風魔法と転移魔法、幻覚催眠魔法、そして魔石内部に描かれているこの魔法陣。あくまで可能性でしかないが、これしかないか」


 オルゴールを元の位置に戻してから箱を閉じ、念の為に収納指輪から『時止めの護符』を取り出した。これは、シャトゥルートゥ集落で作ったモノで、試練のダンジョンなどに挑む際に支給している。護符を箱に付けてから箱の蓋の上に置き、箱の中を再度確認する。箱の中を確認してみると、防御の魔法陣が書かれていた。また、箱の中から微かに香るリリーカの匂いがした。トーチャ君の意識が無くなる瞬間に感じた匂いと同じだ。すぐに、収納指輪から『手のひらサイズの長方形の板』を取り出した。これは『アルコール検知器』と同じ機能を持っており、その場の匂いを回収して近しい物を結果として文字で表示してくれる。検索する際に『アカシックレコード』に接続され、使用された年月を基準に過去未来含めて五年の範囲内で検索し、最終的な結論を出してくれる装置である。


(浮気の証拠を見つける名目で使用されることが多いんだよな。なんせ、コートなんかに付いている匂いから、浮気相手と何回あったかすら表示するわけだし。いつ頃に付いた匂いかまで表示されるから、メッチャ性の良いでしょって製作者の無月隊長がにこやかに笑ってたっけか)


 作成者の隊長の事を思い出して溜め息が出そうになるのを飲み込み、箱の中へと装置を入れて起動する。装置の結果が出るまで遅くても十秒なので、すぐに結果を見る事が出来る。結果が表示したのを確認すると、画面上の一番上に『香水:リリーカ 確証率:100%』と表示されていた。二番目については『果実:リリーカ 確証率:85%』と表示されており、どちらもリリーカの香りであるという結論を提示してくれた。


「微かに残っているこの匂いは、リリーカの香水のようだ」


「そうなのですか。その装置、便利ですね」


 背後からカルディオさんの声が聞こえ振り返ると、頭を掻きながら装置を覗いているカルディオさんが居た。さらに、その後ろではブルーシートらしきものを床に広げる調査員の光景が見えた。どうやら箱の中のモノを確認するために、すぐに用意してくれたのだろうと判断した。


「便利なのはそうなのだが、いろんな使い道があるのでね。悪用される恐れもある事から、使用する際に国家資格を取らなければならない。更に言えば、毎月契約書の更新と利用した年月日と時刻、使用理由と使用の正当理由、装置使用時の情報との整合性などなどの報告書を記載しなければならないんだ」


「物は使いようですからね。悪用されない様に対策をしての事でしょう」


「全くもってその通りですね。さて、箱の中のモノを取り出しましょうか」


 箱の中に入っている毛布らしき物を一枚ずつ取り出していく。それを受け取ったオルディアさん達は、一枚ずつ丁寧に広げると、火災に関するものがないか確認を始めた。毛布らしきものは、本当に毛布だったらしく、調査員が広げて行き「これ、確か貴族御用達の」や「これ、バルド王国の一部の貴族が」等々と声が聞こえてくる。だが、カルディオさんはその事よりも何か気になることがあったのか、チラッと腰に付けている装置へと目線を向けていた。少しだけ気になったが、取りあえず彼らの声を聴きながら、箱の中に入っていた毛布を全部渡し終えた。毛布は全部で五枚あり、広げられた毛布には綺麗な絵が描かれていた。なんも変哲もない毛布なのだが、毛布を手に触った時に、微かにだが魔素を吸収しているような気配を感じ取った。そこにカルディオさんも気が付いたのか「済まないが、至急魔法化学班を呼んでくれ」と指示を出した。


「これは、かなり高価なものじゃないのか。一般の店では取り扱っている物に見えるが、ただ、一つだけ茶色い汚れが付いているな。大きさからして、先ほどの発火装置と同系統に見えるが」


「えぇ、この辺りでは取り扱ってないでしょうね。それに、この茶色い痕跡。そして、毛布事態にも何か加工されているように思えます。先ほどから、この毛布に向って空気中を漂っている魔素が吸収しているようです。此方の魔素計測器も、毛布に反応しているので」


 そう告げると、カルディオさんは腰に下げている『トランシーバーと同じ大きさの装置』を手に取り、毛布の方へと近づけた。すると、魔素計測器に付いている赤色のランプが一定の間隔で点滅を始めた。どうやら魔素計測器が反応したから、目線がそっちへと行ったようだ。


「魔素計測器の三つのランプがあるのですが、左から『青・黄色・赤』に点灯します。青色は『魔素の放出』で、黄色は『魔素が密集』を、赤色は『魔素の吸収』を示しています。そして、現在はこの様に装置が赤いランプを点滅しています」


「なるほど、便利な装置ですね。確かに、あの毛布から微かに魔素を吸収している気配を感じます。だが、人体には影響を与えない程度の魔素を吸収しているように思いますね」


「その様ですね。私が最初に触れた際は特に問題は起きていなかったので、部下たちに安心して渡せました。ところで、箱の中にはこれだけしか入っていなかったのでしょうか」


 カルディオさんも箱の中が気になっているようだったので、もう一度箱の中を覗いて中を確認すると、何やら紙のようなものが三枚入っていた。どうやら、毛布を入れる際に誤って下敷きにしてしまったのだろう。箱の底にあった紙を手に取って内容を確認すると、トーチャに関する暴走を引き起こす方法などが書かれていた。どうやらこれは『指示書』のようで、先ほどのオルゴールのような装置の説明や、どのタイミングで発動するのかなどが書かれていた。


(これは、指示書と説明書だな。どうしてこんなものが入っているんだ)


 指示書などを黙読し終え、今回のトーチャ君の暴走は意図的に引き起こされたと確定した。説明書には、この装置が対象への幻覚作用を発動させる機能があったようだ。彼自身の身体に仕掛けられたスイッチを強制的に切り替え、暴走を引き起こしてディアラさんとオルディアさんを抹殺する内容も書かれている。まぁ、未然に阻止させていただいたが、此処まで用意周到なのも流石だなと称賛してしまった。


(今回の事件の主犯は、アストリア家が関与しているのだろう。この書類にアストリア家の家紋が入っているのだから、言い逃れは出来ないだろう。だが、何故アストリア家は狂いの力を理解できたのだろうか。トーチャ君のスイッチのオンオフ方法について、体内の『未知のエネルギーに反応を起こして切り替える』と書いてある。つまり、狂いの力を理解しているという事だろう。そうなると、やはりミョルニルが関与しているのか? そこについての調査を行う必要があるか)


 カルディオさんにも、紙を渡して中身を確認してもらった。内容を見ながら顎に手を当てて何かを考え、毛布の方へと目線を向けると俺に紙を返してくれた。どうやら同じ考えらしく、すぐに紙を収納指輪に入れると、もう一度箱の中を確認する。箱の中にはもう入っていないことを確認し、先ほどの長方形の箱を手に持った状態で今考えられる事件の詳細を告げる。


「発見された発火装置について、この箱だけが燃えなかったこと。更に、門番であるトーチャ君の暴走を引き起こした理由。やはり、全てが計画されていた事だったか。発火装置は、トーチャ君が仕掛けたんだろう。先ほどの書類らしき物に書かれていた幻覚作用の魔法で、トーチャ君を操って設置した可能性がある」


「なるほど、確かにあの書類には暗殺計画についても書かれていましたね。火災で使用人たちを誘導する目的ならば、現場を熟知しているものが一番良い。確かに、その可能性が高いですね。そうなると門番のトーチャさんに話を伺う必要がありますね。ちなみにトーチャさんはどちらに」


 当然の質問に、現状トーチャ君を尋問した時に得た情報を伝えた。


「あぁ、私の部下である竜仙と九条と共にオルディアさんの元へ向かっている。ただ、今回の事件について、彼は全く記憶がない状態だ。暴走状態になる前、門番として仕事をしていたらしい。門を叩く音が聞こえ、覗き穴を覗いた際にリリーカの香水の匂いがし、そこから意識がブラックアウトしたらしい。火災についても全く知らない状態だったからな。証言中の彼の行動のすべてを見ていたが、嘘をついている素振りは無かった。俺には嘘を見破る能力があるからな。彼については、間違いなく本当の事を話していた」


「火災についての記憶がない、ですか。イスズ様が言うのなら、そうなのかもしれませんね。ただ、我々にも尋問の立ち合いをしたいですね。今回見つかった装置などの情報について、トーチャさんに確認したい。ちなみに彼はどうして意識が無くなったのでしょうか」


「あくまで予想だが、このオルゴールが入っている装置が原因だと思われる。あの木箱の中からリリーカの匂いがした。つまり、この長方形の箱型装置が起動した際に『軽いノックレベルの魔法』を直接、門へと攻撃を与えたのだろう。彼がやって来て覗き窓を開けるまで『リリーカの香り』をその座標に送り嗅がせることで、意識を一時的に其方へとシフトさせた。最後は、強制的に暴走させるスイッチを起動させたのだろう」


 現状で考えられる内容を説明すると、少し考えるかのように顎に手を当ていた。何か気になることもあるらしいが、その予想は俺でも想定できている。それについて、答えることにした。


「トーチャ君の暴走の件だろ。それについては、俺たちがもう対応した。もう暴走が起こる心配はないが、何かあれば竜仙たちで止めることも可能だからな。万全の警備をしているから安心してくれて構わない」


「そうですか、竜仙様の事は警備隊の方々から聞いておりますので、問題はないでしょう。取りあえず、オルディア様に現状の報告をしなくてはならないので、もし宜しければ一緒に向かっても宜しいですか」


「えぇ、構いませんよ。私もこの情報を報告した方がいいと思いますし、トーチャ君についても判明している事は伝えた方がいいと思いますので。彼もまた被害者であるのですから」


 オルディアさんの元へに報告をしに行く事で決定すると同時に、魔法化学班などが来たのを確認した。それに気が付いたカルディオさんは、すぐに対応して欲しい内容を指示を伝えた。彼らは優秀なのか、指示の内容を確認後すぐに対応に動いた。対応に入ったのを確認したので、俺たちは、オルディアさんのいる離れの屋敷へと至急向かうのだった。

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