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勇者36番  作者: ハムリンゴ
第四幕:拾ったモノが、全てトラブルだった件について。
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74) 弱点は突いてみるモノなのね。

「なぁ、知ってるか?亀って裏返る事は、死活問題になるんだってさ。」


 オイラ達の前には、最後に壁を崩しながら出てきた5メートル級の亀の魔物が、下から突き出た土によって仰向けの状態になり手足や首をバタバタしている。

 もちろん、口から放射されるブレスを避けるために安全な尻尾側に居る。

 倒した魔物の群れは、まだ放置されており焦げた匂いや散乱する部位が酷い事になっている。


「ナナシノさん!有難う御座います!!」

「ナナシノ殿、なんというか……感謝します。」

「おお?何故に?」


「ナナシノ……ホントに何してんのよ。」

「あ……ゴメン。沢山出てきたから加減出来なかった。ちょっとは残した方が良かったよね?」


「馬鹿!呆れてるのよ!?何も言わずに前に出て、何をするかと思ったら……全部倒しちゃうし!」

「あれ?全部じゃないよ?ひっくり返したこの亀……残ってるし?」


 相変わらず、亀の魔物は背中を中心に持ち上げられて、地面に届かない手足をバタつかせている。


「そんな事言ってるんじゃないの!やるなら前もって言ってよ!ナナシノが囮になって、逃げろとか言うのかと思ったじゃない!」

「あ、そういう事か……ゴメン。数が多すぎて混乱してた。ホントごめん。」


「ナナシノさん、混乱しててアレですか?」

「アールス様、Cランクでココまで出来るとは思いません。手続きを踏めばBランクにはなると思います。」


「あー、そういえば受付嬢に同じ事言われた気がするなぁ。何かの制限が無ければAランクだっけかな?よく解らないけど。」

「「「!?」」」


「まぁ、面倒くさい話は置いといて、この亀はどーする?」


 この亀、実は魔法が通じない。しかも超硬い。

 投げた石は加重の魔法を無効化されて弾かれ、手足の皮は厚く刃が通り難い。正面へ向かえば噛みつかれそうになるしブレスも出す。


「どうすると言っても、倒さないと出られませんよねぇ。」

「時間が経てば、扉は開く仕組みじゃなかったっけ?」

「うん……でも、まだ開かないよ?」


 扉のロックが解除される間に、亀の攻撃が届かない範囲で魔物から討伐部位と素材となる部位、そして魔石や宝箱とドロップ品を回収する。

 回収したもの全部がオイラに押し付けられた。まぁ、精霊付き背負い袋に入れるだけなので問題は無い。“荷物持ち”を舐めるなよっ!?


「んで、まだ開かない?」

「やっぱり、倒すしかないのかな?」

「そうですねぇ、ちょっとずつ頑張って削りましょうか?」

「アールス様、削っても無意味だと思われます。回復スキル持ちの魔物のようです。」


 この亀さんは少々傷を入れても、すぐに傷が塞がるのは“回復スキル”の所為だったのか……なるほど。


「そういえば、皆で倒すんじゃなかったの?」

「皆でって、どうして?」


「だって、オイラひとりで全部倒したって言うから、この亀はオイラ以外の皆で倒すものだと思ってた。」

「ナナシノさんや?」


「なんでしょう、ミューさんや?」

「ナナシノひとりだったら、倒せるように聞こえるんですけど?」


「うん、たぶん倒せる。」

「……」


ごっ!


 ミューに無言で殴られた。思ったより痛くは無いのだが殴られた。最近、容赦無いんですが……

 疼く顎を押さえながらミューを見ると、かなり怒っている。半端無く何かが噴出しているように見える。闘気かっ!?


「倒しなさいよっ!」

「はいぃっ!」


 怖い、すんごく怖い。ミューさん……怖いです。闘気ダダ漏れです!いつの間にそんなスキルを身に付けたのですか?オイラは全然スキルを習得しないのにっ!



~~~~~~~~



「えっと、魔物と言えども“生きて”いるんですよね?」

「はい、血も流れていますし呼吸もしています。失血死や窒息死、文献によれば寿命も交配もあるようです。また、病気と思われる状態も確認されています。」


「というわけで、溺死させます。」

「え?水中の魔物なのに溺死ですか?」


「はい、恐らくこの魔物は肺呼吸だと思います。」

「肺、呼吸……ですか?」


「まぁ、実践してみないと解らないけどね。」


 火で炙ってみても、即座に回復するのは解っていたので、今度は“水責め”にしようと思う。

 どうか、オイラの知識通りの爬虫類でありますように。


「首の周囲を岩壁で覆って、水を入れる。」

すっぴょこ☆


 オイラの指示で亀の首の周囲に壁を作り、中が水で満たされる。

 甲羅と土壁の接触部分が亀の発する魔法無効化によって崩れた隙間から水が漏れ出すが、漏れる以上の水を供給する事で問題は解決する。

 また、足掻いた爪で壁を削られたりしてるが、それも削った傍から埋めている。


「うわぁ……酷いッスね。」

「やってる本人が言っても説得力無いよっ!?」


 結局、1時間くらい続いただろうか?今は亀はグッタリとなって動かなくなり、部屋の扉が開くことを確認した。

 倒された亀は回復スキルも障壁の魔法も無くなっていて、簡単に討伐部位と素材や魔石を取り出した。

 ついでに、宝箱やアイテム等も複数落としていた。


「魔石、うっかり投げ捨てないでよね?」

「お、おう。」

「ナナシノ殿……前科持ちですな?」


「そうなのよ!それで“刎兎”が出て……あっ!?」

「なるほど、“落ちていた”というのは嘘でしたか。」

「ミューさんや、内緒事を自白してどうするんだ?」


「うみゅう……」


 自爆して落ち込んでいるミューを元気づけてから、部屋から出て来た道を戻る。戻るったら戻る。



~~~~~~~~



「さぁ、護衛の人達が見えましたよ。これで戻れば認められて活動ができますね。」


 アールス一行の姿を見て、護衛の5人がこちらへ向かってくる。


「おお、お前等!全員無事に戻ってきたか。試練はどうだったかっ!」


 ガキン。


 一閃。

 アールスに放たれたリーダーの一撃はオイラの魔導具“オリハルコン粘土”によって防ぐ。勿論、アールスは攻撃される前に後ろへ吹っ飛ばしたが。

 最初から解りやすいくらい、殺気ダダ漏れなんですけど?


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