42) 御対面なのね。
次は……東にある大きな街にしよう。
商都を取り巻く三大衛星都市と呼ばれるうちのひとつ“ハルゥ市”に向かう。
この商国を建国したのは、恐らく日本人だろうな……町の名前が駄洒落っぽいわ。
ハルゥ市まで直線的に行けば1日の行程だが、岩山を越える必要がある。ただし変な怪鳥に遭遇すると厄介との事。
一旦南東に向かい、岩山を回り込むルートなら1日半から2日で到着するらしい。コチラのほうが比較的安全のようだ。
比較される安全とは、遭遇する相手が“魔物か人間か”って意味なんだけどね……
「と、いうわけで本日の宿泊も樹上となりました~」
すっぴょこ、すっぴょこ☆
いつもの様に樹上にシェルターを構築して……
「で……また毛布がグチャグチャですよ~?」
ぴょぴょこ☆
畳んでおいたはずの毛布がまた、崩れて出てきた……やっぱり中で使われているのか?
「なるほどなぁ……ちょっと試すか。」
取り出した毛布を畳み、背負袋の中へと戻す。そして魔力を消費する訓練を時間をかけて行う。
小一時間ほど経ったあと、そっと背負袋に手を突っ込んで……毛布の端を掴んだ。
「ていっ!」
ばさっ、ゴン!
素早く掴んだ毛布を“中身”ごと引っ張り出してみた。
『痛っ!何!?何よっ!?』
毛布から転がり出た“ナニカ”がシェルターの隅で叫んだ。
「あぁ、悪い……本当に出てくるとは思わなかった。すまん、原因が解ったから帰って良いぞ。」
『は?何?どこココ!?帰っていいってナニ!?原因って!?』
隅に蹲っているのは、紛う事無き“妖精”だった。さっすがファンタジー世界だ。
あぁ、“精霊”だっけ?精霊付きの背負袋って言ってたもんな。
「まぁ、なんだ……すまない。無理矢理引っ張りだして、ごめん。」
『へ?どうして?見えちゃってる?聞こえちゃってる?』
「あぁ、見えてるし聞こえてる。あとはオイラの話が通じていれば良いんだけど?」
『そりゃ聞こえてるに決まってるじゃない。』
「というわけで、確認したかっただけで他意は無い。悪いが、袋の中に戻って下さいな。」
『そ、そりゃ戻るけど……普通、人間には見えも聞こえもしないんだけど?』
もしかすると……と思って仮面を外して確認すると、不思議な事に見えなかった。しかし、装着すると見える。なるほど、仮面の機能か。
「なるほど、この魔道具の効果で見えたり聞こえたりするようだ。外すと見えないぞ?」
『あ、あらそう?良かった……てっきり普通に見られてるのかと思ったのよ?』
「まぁ、普通じゃなく見えているんだよな……とりあえず、毛布で隠せ。」
『あ、あぁ、ありがと……そうかぁ、ここ外界なんだ?』
「いや、だから毛布で隠せってば。」
目の前にいる“精霊”は、小説で読んだことのある妖精の様な風体だった。
30センチ位の背丈の女性で、背中から蜂の羽?のようなものが生えている。
髪は茶色で体は淡い緑色だ。体型は二十歳前後ってとこか?まぁ、可もなく不可も無くって感じだな……
しかし、素っ裸って……恐らく背負袋の中の世界ではデフォルトで裸族なんだろうな。小説の中でもそうだったし。
「ほら、どうでもいいから戻ってくれ。目の遣り場に困るから。な?」
『あ、そっか……んじゃ、戻る。』
精霊サンは、背負袋の口から中へゴソゴソと入って行った。
「精霊って……流石、ファンタジー世界ですな?」
ぴょこぴょこ☆
これから毛布を出す時は、袋の中で一旦振ってから取り出す事にしよう。うん、妖精と解っていてもアレは目の毒だ。
「さて……毛布取り戻したトコロで寝ますか。」
「……ん?ちょっと寒いな?」
何故か肌寒さで目を覚ますと、毛布が目の前にあった。オイラ、寝相悪くは無いんだけどな……
毛布を摘まみ上げると、僅かに抵抗感があった。引っ張っても引っ張り返される。何故に?
ふと仮面を装着して見ると、毛布の隙間からちっさい尻が飛び出した。なんじゃこりゃ??
「あぁ、お前か……」
寝ぼけた頭でも理解できた。さっきの妖精、いや精霊サンだ。
ぱちん!
『いったーい!なにするのよさ!?』
「ハウス。」
『はい?ハウスって何の魔法!?っていうか、お尻痛いよ!?』
「袋に戻ってよ?或いは服を着ろ。裸は流石に困るってば。」
叩かれた尻を摩りながら、精霊サンはオイラを睨む。
『だって、この毛布が寝心地良いんだもん!』
「袋の中に、もう一枚あるじゃん?そっち使いなよ?」
『こっちの方が良いの!魔力の残渣が気持ち良いの!!』
「なんじゃそりゃ?」
精霊サン曰く、オイラの使っている毛布に染み付いた魔力の残渣を吸っていたとの事だ。
普段は袋の中に入った装備品等から吸って生活しているらしい。
今回は、見られても捕まえる等の“相手”をしなかったので安心して出てきたそうだ。
『ということでよろしくね、ナナシノさん。私はキュー……キュー・ベイル・エイって言うの。』
「あら?何故にオイラの名前を知ってるんだ?しかも何故に自己紹介するんだ?」
『名前……?だって、聞こえたもん。袋の中までバッチリよ?』
「あぁ、盗み聞きですカー?」
『むきぃ!!違うもん!聞こえてきたんだもん!疚しくなんかないもん!!』
「あぁ、だから……服を着ろって。残渣じゃなく、直接魔力を分けてやるから……な?お願いだから。」
オイラの左右の頬を仮面の隙間から手で引っ張るキューちゃん……もちろん素っ裸なわけで、眼前にはミニサイズの乳がある。
相手が人形レベルの大きさであり、体色が淡い緑なのでムラムラする事は無いが流石に目の毒だ。
『服なんてないもん!』
「帰れ!」
オイラは毛布でキューちゃんをサッと簀巻きにして、背負袋の中に放り込んだ。
友人に「ハーレム要素が無い!」と言われました……
無理、書けません。
でも、ちょっと頑張ってみようと思う。




