21) ビックリショーなのね。
「フガ、フフガフムガ……」
がちん。
ユウコ龍は口の中にあるモノを噛み砕いた。
続いて青い龍の人がユウコ龍の開けた口の中から、見慣れたはずの見慣れない場所にあるモノを取り出す。
取り出されたモノは噛み砕かれた割にはマトモな状態だった。あぁ、良かった……砕かれたのは腕輪だけか。
「+@ま*。&%*#」
青い龍の人は革ベルトから黒い試験管状の瓶を抜き、蓋を外して中身をオイラの切断面にかける。
液体は淡い光を発しながら血と混ざると、切断面がグズグズと蠢きだした。
そこへ切り取られたモノの切断面を当てねじ込み、向きの微調整をグリグリと行う。
やがて、繋がって血色を取り戻したモノは、オイラの腕へと変化する。同時に痺れと激痛が指の先まで伝播する。
「っ……!いってぇ!!」
「@**+#、な&K*#?」
「はい?」
そういえば、隷属の腕輪には翻訳機能が付いてたんだっけ。言葉が通じなくなってしまった。
青い龍の人はポンと手を打ち、部屋を出て行く。気不味い雰囲気の中、オイラと人型になったユウコ龍と対峙する。
ふと腕からは痺れと痛みが抜けていて、身体も自由になっている事に気付く。
恐る恐る切断面だった部分に手を当てる。何もなかったかの様にオイラの腕は元に戻っている。床の血溜りはそのままだが……
「お*@&&%6、Q@&##Kあ?M&*#て。」
「サッパリです……」
オイラは手を振って耳と口に指をあて、ユウコ龍に言葉が解りませんというジェスチャーをやってみたが、通じたかどうかは解らない。
数分後、青い龍の人が戻ってきてオイラにイヤリング?を手渡し、耳に指をあてた。やっぱり耳に装着する装飾品の様だ。
ちょっと抵抗があったが、着けてみる。そのタイミングを見計らった様にユウコ龍が喋りだした。イヤリングにも翻訳機能がついているようだ。
「これで、お主は隷属から解放されて自由の身じゃ」
「自由……?」
「残るは解呪のほうじゃが、少々時間を頂きたい」
理由の説明を長々と垂れながしたユウコ龍だが、要約すると全力で放った呪いなので解呪には1ヶ月ほど準備が必要なのだそうだ。
そして、今……オイラは大きな建物の隣にある小屋の部屋の中に居る。
「勇者様、解呪完了までお世話をさせて頂きます」
「あ、はい。よろしくお願いします」
部屋の中には先客が居て、オイラに気付くと両手を揃えてお辞儀をした。つられてオイラもお辞儀を返す。
見た感じ小柄ちゃんに雰囲気が似ているが、髪の色が淡いグリーンで光の角度により少し変わって見えた。
「髪……綺麗だね、翡翠みたいだ」
「ヒスイ……ですか?」
「あ、気分を悪くしたらごめん。」
「いいえ、それでは私の事は今後“ヒスイ”とお呼びくださいませ」
感想がするっと口から出てしまって、何だか名付け親になった様な感覚だったが……言ってしまったものは仕方が無い。
ヒスイちゃんは、オイラの身の回りの世話と監視を担当するらしい。また、部屋の隣に寝泊りするので、用があれば呼び出せば良いとのコト。
オイラはベッドに横になると、そのまま沈み込むように眠ってしまった。
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「あの、勇者様……そろそろ起きて頂かないと、体調を崩していまいますよ?」
「あ、ここどこ……?」
「悠古の森の里です」
「何時……?」
「そろそろ夕刻です。このまま寝てしまわれると、ちゃんと夜に眠れなくなります。起きてくださいませ」
「あ、了解。起きます……」
ちょっと寝ぼけていたが、昨日の出来事を思い出して意識が戻ってきた。
そういえば、ユウコ龍が1ヶ月はリハビリだって言ってたな……気になるので聞いてみる。
「リハビリ完了まで、オイラは何をすれば良いのかな?」
「“長”の話ですと、森から出る以外は自由にして良いとの事ですよ」
監禁生活の次は軟禁生活ですか……
まぁ、やることも無いので日課通りに身体強化の魔法をゴリゴリ使ってみる。
「夕食をお持ち致しました、お食べになって下さいませ」
「おお!待ってましたー!いただきまーす!」
スカスカのパン?と焼いただけの肉、草の味がする草が出てきた……辛うじて何かの果実だけが甘かった。
味が……塩気が全くない。しかし、食べないワケにもいかない。頑張って食べた。
「ご、ごちそうさまでした……」
「はい?どうかされましたか?」
オイラの地元では食前食後の掛け声だと説明してみたが、あまり理解してもらえなかったようだ。
夕食後は、やはり日課通りに魔法の練習をすることに決めた。
「ヒスイちゃん、魔法が試し打ち出来る演習場ってある?」
「ち、“ちゃん”!?子供扱いですかっ!?」
「ありゃ?ダメ?」
「ダ、ダメではありませんが、“ちゃん”付けはチョット如何なモノかと思いまして……」
「いやいやいや、オイラの半分位の歳に見えるから可愛いなと思ったんだけどな」
「ほえ?可愛い!?半分??勇者様と同じ年代の姿だと思うんですが……?」
「まぁ、気にしない気にしない。ところで、演習場はある?」
「え、あ、はい。向かわれますか?どうぞこちらへ」
ヒスイちゃんに連れて来られたのは、最初に降り立った場所だった。
魔力吸収の腕輪をONにして、☆導きの書☆で無の魔法と属性魔法を同時に放つ。
魔力が切れそうになるまで頑張ったあと、効果範囲からヒスイちゃんを離脱させて腕輪に少しだけ魔力を通してみた。
なんとなく、魔力の回復量が以前より増している。周囲に漂う魔力が多いのか魔道具の効率が上がったのかは解らない。
「人間風情が、混じり色と一緒に何してんだ?」
いきなり後ろから、なにやら敵意剥き出しの声が掛けられてきた。




