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一月からどんどんと日が暮れる時間が遅くなり、三月は随分と日が伸びてきたと実感する。
そんな三月の、桜の蕾も膨らむ頃、終業式と共にアリーシャは春休みへと入った。
次、四月にこの学校に来る時には、この教室ではなく二年生の教室を使うことになる。
一年お世話になった三組の教室。
放課後、誰もいなくなった時を見計らって、アリーシャはがらんどうの教室の写真を一枚だけ撮った。
二年の教室も、内装だけ見ればこことそこまで変わらないのだろうけれど、初めて過ごした“教室”というものは、アリーシャにとってここであり、そしてそれは言葉では言い表せないくらいには、特別なものだった。
「来年、うちらクラスどうなるんだろうねー」
「ねー、一緒だといいねー」
「そっか、クラス変わっちゃうんだ。私大丈夫かな、一人になっちゃったらどうしよう」
終業式があった今日は、部活動がないのになんとなしに集まってしまった四人は、終業式で早上がりになったため、制服のままマクドナルドに寄り道してポテトやジュースを摘まみながらそんな話をしていた。
アリーシャはクラス替えの認識がほぼ皆無だったため、急に美緒莉や冴と違うクラスになる可能性に気づいて震えた。
「いや、私進学クラス希望したし、期末良い点だったから多分進学クラス組だよ」
進学クラスとは、一年の成績上位の希望者が入ることが出来るクラスで、進学のために一般クラスより難しい範囲の授業が行われ、クラスは四組か五組かのどちらかになる。
だが別に進学クラスに入っていないからといって、進学クラス以外の全員が就職希望というわけではない。
あくまで受験に備えて勉強を頑張る人のクラスという扱いになっている。
アリーシャは高校卒業と共にアメリカに戻り、大学に行くならアメリカの学校となる予定なので、進学クラスは希望していなかった。
「つまり冴とは確実に違うクラスになるってことじゃん。どうしよう、演劇部の誰かか、絵里とかと一緒になれたらいいけど、一人だと辛いよ!」
一年生の入学したての頃、アリーシャに友達がいない一人ぼっちの時、すぐに話しかけてくれたのが美緒莉だった。
おかげでアリーシャは一年間、とても充実した高校生活を送れたし、非常に感謝している。
だからこそ、その一年間で友達になれたみんなと別のクラスになってしまったらなんて考えると、心細すぎてどうにかなってしまいそうだ。
「大丈夫だよアリちゃん。クラスが違っても演劇部で会えるし、お昼は一緒に食べよ。りんちゃんみたいに別のクラスになっても仲良くできるんだから平気だよー」
「そうだよ、逆にあたしと同じクラスになれるかもしれないじゃん」
「そうそう、それに知らない奴らばっかりでも、球技大会とか終わったくらいで仲良くなってるから大丈夫だって」
「そう? そうかなあ」
皆はそんなに心配していないようだし、そんなものなのだろうか。
まだ不安が拭えたわけではなかったが、騒いでも仕方ない。
逆に美緒莉も凛子も一緒のクラスになる可能性だってあるのだと考え、アリーシャは心細い気持ちを、ポテトと一緒に飲み込んだ。




