EXTRa「あなたと歩んだ人生」
【2063年】
『その年にもなってそれはちょっと痛々しいぞ』
「知りませんそんなの。先輩がかわいいって思ってくれるまで止めません」
『だからそれが』
「それで何がありましたか」
先輩は目を伏せる。
昔ならわからなかっただろうけど、何十年も‥‥‥いや、大きく言うなら何万何億年も一緒に生きてきたのだから、先輩が何を考えているかぐらいはわかるようになった。
『”β” ”α” そしてその間に4つの応答を確認した』
「さっすが私の先輩ですね」
『茶化すな』
そう言って、先輩は悲しそうな辛そうな顔をする。
『本当に良いんだな』
まるで、行かないでと止めるかのような懸命さで。
「今更ですよ。いったい誰が何十年もお世話したと思ってるんですか」
『そうだな』
「ほんっと大変だったんですよ。
先輩ったら口も開けないし無表情だし無感情だし‥‥‥そのくせ堅物だし、意識なんてないはずなのに手を握ったら、ぎゅーって放してくれなかったし」
『う‥‥‥その話はそれくらいにしてくれ』
「えー‥‥‥言ってないだけでこれよりやばいとっておき‥‥‥いくらでもありますよ」
先輩はこほんと咳払いをし、背筋を整える。
『時間だ』
「‥‥‥」
「いつでも行けます。先輩」
ああ―――本当に惜しい。
一言発せば、まだ留まれるのに。
あなたが望んだ、自身の幸せを優先する誰かになれるのに。
『何も心配などしていない。お前は‥‥‥結愛はやる時はやる女だって知ってるからな』
でも―――
こんな人に、ここまで背中を押してもらえるのなら―――
「はいっ、先輩!
わたしは‥‥‥私たちは何も間違えてなどいませんでした!」
「大好きです。先輩」




