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Prelude「前兆」
彼女があそこまで顔色を悪くした姿を見たのは初めてだったから心配で仕方なかった。
本当は家まで送りたかったのだが、彼女は笑顔でそれを拒否した。経験上、こういう時には俺は関わるべきではないと理解していた。
ふと、スマホの通知音が鳴る。手に取り、画面を見やる。
「明日の卒業式が終わった後、時間ある?」
「ちょっと話したいことがあって」
差出人は美鮮想乃華。
いつだっただろう。中学の時にも一度、彼女から似たようなメッセージを送られたことがあるような気がする。記憶は曖昧だが、その時に何か大事な変化があったような―――
ただ、何となく『何か』が終わるのではないかと、そう感じた。




