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Interlude「終わりの始まり」
「みんな、卒業おめでとう。とっても似合ってるよ。」
冬のとある日。
彼ら彼女らとは既に縁を切っていたはずなのに、みんなはわざわざ俺の家にまで来てくれていた。
どうして、もう既にいなくなってしまったヤツのことまで気にかけてくれるんだろうと疑問に思ったが、その思いを素直に受け取ることにした。
「あの‥‥‥あのね‥‥‥」
××が上擦ったような、少し震えているような声で話しかけてくる。
「うん。どうかした‥‥‥?」
白く降り積もる雪。
桜色に染まった頬。
視覚として認識できる白い息。
「私は‥‥‥××のことが‥‥‥」
唐突に、その先を聴いてはいけない、言わせてはいけないという衝動に襲われる。
ああ―――俺はこの光景を―――
どうして、また似たようなものを見ているんだろう。
どうして、周りのみんなは俯いてばかりなんだろう。
どうして、俺は君のことを―――
ノイズ音のようなものが鳴り響く。
その先はよく覚えていない―――