表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
test  作者: AMmd
100/104

EXTRA0「発芽」

 ◯。◯◯。◯◯。◯◯。


 それは唐突にやってきた。

 何の前触れもなく私たちめがけて。


「ああ―――道理で」


 少年は微笑む。

 この時間が長い長い自分の人生の中で最も大切だったのだと理解する。


「それにしても壮大なことで」


 あの事件があったから。恋をしたから。

 ここまで来れたことに最上の感謝を。


 これはひとりではなく、彼ら彼女ら全員が最後の最後まで向き合わなければチャンスを得られない結末。


「おい、これはそういうことでいいな」


 今までに見たことのない、形容し難い表情をしている彼女たちに尋ねる。


「ま、それだけ今の時間が大事ってことじゃん?」


「そうだね。

 やりたい事とやらなくてはいけない事。

 その二つがどこの枝でも重なったのなら逃げるわけには行かないよ」


 そうして、ひとり勝ち誇ったような笑みを浮かべる彼女に嫌味全振りの表情を向ける。

 もちろん、それらしい声音を添えて。


「ていうかー。なにあれー。どういうこと???????」


「ふふん。一歩リードですね!」


「うっざ」


「ストレートすぎます!」


「そういう先輩だって最後にやりたい放題やってるじゃないですか」


 ニヤニヤと悪辣な笑みを向ける。


「うっさい。アンタよりかはマシよ」


「とは言いつつも、最後に託すのが私ってことはそういうことでいいんですよね」


「んなわけないでしょ!あれは!

 あれは‥‥‥一番効率が良かった。それだけだよ」


「はーん。まあそういうことにしておきましょう。

 妄想の中ですら私が取ったとなれば、あまりに救いがないですからね。

 何であれ、ハッピーエンドが一番です!」


「私ら、いったいどれだけこの茶番を見せられてきたんだろ」


「知るか。悪態つく癖に楽しんでんだろ」


「まあね」



 成すべきことは明確になった。

 不穏な現象すべてに説明がついた。

 向くべき場所へ向くべき誰かが歩みを揃えた。


 ならば―――今度こそ、私たちが望んだ結末を。



「確認です」



 少女はきっぱりと口にする。


「私たちに残された時間は一年。

 目的は、全ての収束及び先輩の『因』を変質させること。

 条件は、誰一人欠けないこと。

 命はもちろん、先輩が失ったのと同じものを持ち続けること。

 大団円の結末。

 それこそが私たちの未来です」


 ここまで背中を押してもらったのだ。


 あの電車の日も。あの雨の日も。

 公園で話した日も。告白した日も。

 守ってくれた日も。全てを失くした日も。


 全部全部、この日これからの日々のため。



「さあて、まずは先輩のところに行きましょう!」



 ―――これは、他の誰でもない私のための選択だ。



                    ―――0―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ