ちょ、ちょ、何?え?
「これで、おふくろ元気になってくれるかなぁ……」
やーめーてー、ぽつんとそういう単語つぶやくの!
何、病気なの?元気にって何?もし、ここで、友達になんてならないなんて言ったら、私、鬼畜、鬼畜だよね!
「よろしく。マージ、フレッド。ボク、その、出来損ないだけど、えっと……」
足手まといだから一緒に行動できないとか思ってくれないかなー。
しまった。またもや握手しそうになって手を差し出しちゃった。この世界、握手なんてないんだよっ。ないんだよっ!
「ほいっ」
マージが両手を頭の上にあげた。
ん?
「遠慮するなよ、これ、やりたいよなー!」
フレッドが笑う。
「マージは騎士志望?リザークも?」
笑いながら、マージが高く上げた手の平に自分の手のひらをパンっと当てた。
ホームラン打った後とかにチームメイトの出迎えの手を叩くみたいなあれ……。
たしか、チーム戦を戦って勝利した騎士たちもやるんだっけ?
いつか兄3が手のひらが真っ赤になった。やりすぎだと怒っていたっけ。
「ほら、遠慮すんなよ。友達になった記念だ!」
……遠慮したい。
「これから、クラス対抗でいろいろな行事が待ってますからね。クラスメイトはチームメイトみたいなものですよ」
フレッドの言葉に、私たち3人の行動を注視していたクラスメートがピクリと動いた。
マージの隣でフレッドが手を上げ、私の顔を見た。
はーい。分かりました。クラスのみんなと敵対する気はないです。悪役にはなりません。はい。
パンッ!
パンッ!
マージと手をならし、次にフレッドと手を合わせ、その隣に両手を上げて並ぶ。
どうしようと、クラスメイトが戸惑い顔を見合わせている。そりゃそうだ。
普通に考えたら、王子だよ。初対面の王子に、なれなれしくなんてできないさ……。マージがおかしい。
いや、よく考えたらマージは王家と並び立つような辺境伯なんだから王子ごときにへこへこする必要もないのか。
とすると、その辺境伯子息と王子になれなれしくできる人なんていないよ。
私は巻き込まれたんだよっ!だれかー、私を助け出して!みんな一緒になろうよっ!って、助けを求めるようにクラスメイトの顔を見たら、そっと視線をそらされた。
うぐっ、よく考えたら、私も王家に次ぐ公爵家の子息じゃんっ。ぼんくら八男とはいえ、……おいおい、単に上から順にいい家の坊ちゃんが順当に仲良くなっただけの図じゃねーかよ。茶番?茶番なの?
涙目になりそうなころ、すくっと一人の女生徒が立ち上がった。
確か、歴史と数学満点という才女だ。
「サーシャですわ。皆さまこれからよろしくお願いいたします」
ぱっ、ぱっ、ぱっと、遠慮気味に私たちの手を叩いて並んだ。
一瞬触れたサーシャの手の平は硬かった。鍛えてる?
「あの、私も、お願いしますっ」
王子とお近づきになれる大チャンスだ。サーシャの行動をきっかけに、我も我もと女生徒たちが並んだ。
もちろん、騎士みたいでかっこいい手を鳴らす行為にあこがれのある男子生徒もレディーファーストを守った後、楽しそうに参加した。
「ふふふ、早速1週間後にはクラス対抗剣術大会がありますから。選手を決めるために今から剣術の授業です!」
ソフィア先生が嬉しそうに腕を突き上げる。
「「「おーっ!」」」
ノリがいいな、このクラス……。
「じゃ、第7訓練場に集合ね」




