どうして、友達になるとか、そんな話になったのか教えてほしいのだが
「では、次にブレッド殿下。すべての教科でまるで示し合わせたように30点。合計120点でした」
ソフィア先生が少し含みのある言い方で第二王子の名を呼ぶ。
殿下と知らなかった人たちが、驚きの顔でブレッド殿下の顔を見ている。
っていうか、何?30点になるように点数操作したの?そういうこと?
「難問からチャレンジする癖があるので、20問目から回答していったら時間切れになってしまいました」
にこりといい笑顔を見せて殿下が自己紹介を始める。
「マナー問題に関しては、陛下に会った時の対応というのが、僕には理解し辛く……なんせ父ですから」
とおどけた調子で言うと、クラスがふっと笑いに包まれた。
点数操作したわけではない?偶然30点ずつだったってだけ?
「では、次に歴史算数が30点、マナーと体力が10点で、合計80点のリザーク君」
おっと、私の番だ。
バッと立ち上がる。
「えーっと、ボンパーナ公爵家の八男のリザークです。優秀な兄たちを持っていることがボクの誇りで、いつか兄のようになりたいんですがこのように頑張っても……えっと、」
何を言おうか考えるの忘れてた~!
凡庸にひっそりと過ごすための最良の言葉、考え忘れた。
ちくしょー、赤毛め!話かけたお前のせいだ。
いや、もう一人、第二王子(発狂死)め!教室にお前がいたせいで動転してそれどころじゃなかったじゃないかぁぁぁ!
と、思わず下を向いて怒りで打ち震えている。
「な、泣くなよ。大丈夫だよ。俺が勉強教えてやるし、な?」
赤毛のマージが、僕の肩をポンと叩いた。
は?泣く?
「偉大な兄を持つ者の苦労は私も身にしみています。自分のできることを精一杯する姿を見せることが大切ですよ」
第二王子が私の震える手を握った。
え?
あれ?
ぱちぱちと拍手が巻き起こる。
「スタートはFクラスですが、他のクラスの人に負けないよう、皆さん頑張りましょうね!」
ソフィア先生がなんかいい風にまとめてる。
いや、泣いてなかったし、落ち込んでないし、えーっと、あれ?私、なんかめっちゃ同情の目を向けられてません?
「では、最後。名前の書き忘れですべてのテストが0点。体力テストでは途中リタイアで0点。合計0点のマージ君」
「はぁーーーーっ?!0点?」
名前の書き忘れ……。
トイレに行きたくて体力テスト途中リタイアとか……。
ちゃんと授業が始まる前にはトイレに行こうね?テストの名前は一番初めに書こうね?
「……辺境伯って言われてる、シャドゥ伯爵家の次男マージです」
シャドゥ辺境伯って、王家とうちに続く3番目に力のある貴族だよ。王都から馬車で2週間もかかる場所にあるため、国の力がおよびにくく、いつ国として独立してもおかしくないと言うだけの財と力と領地があるため、王家も強く何も言えないという……。っていうのが、確かシャドゥ辺境伯の立ち位置だったはず。だから、えっと、王家は怒らせないように気を付けているとかいないとか。
マージが泣いている。
「ううう、最下位とかぁ、おやじに殴られる……」
「まぁ、まぁ、その、王子より上になる不遜なことができなかったとかなんとか言えば大丈夫なんじゃないかな?」
マージがマジ泣きするもんだから、仕方なく慰めの言葉をかける。
「ふお、そうか!お前天才だな!ああ、お前じゃない、えっと、リザークだったな。おやじにはそう言うことにする!名前の書き忘れはわざと、そういうことにしとこう!」
両手を取られてぶんぶんと振られる。
えーっと、立ち直り早いね?
「僕は別に成績を抜かされたからって、不敬だとか何も思わないんだけどね?それに、この学校って立場関係ないってルールでしょ?」
おいこら、第二王子(発狂死)何気に会話に参加してくんなよっ!
関わりたくない、関わらないつもりなのにっ。
「だから、上下関係なく、何でも話せるような友達になろう!」
にっこり笑う第二王子(発狂死)。
「お、おう。フレッド殿下、よろしく」
にかっと笑うマージ。
「殿下はいらないよ。友達だろう?マージ」
第二王子(発狂死)がこちらを見た。
「もちろん、リザークもフレッドって呼んでくれるよね?」
ね?じゃないっ!じゃなーい!
あっち行け!友達になんてなるもんか!
「おおう、俺たち友達な!やった!さっそく友達出来るとかおふくろ喜ぶぜ。お前はうるさいし周りが見えないし都会の貴族様から嫌われちゃうんじゃないかねぇって言われてたけど、大丈夫だったって言うんだ」
おう……。
マージのお母さん、本当にうるさいです。んでもって、周りのこと見えてないです。
おいおいお前、殿下と友達とか大丈夫かよって、心配そうな周りの目……見えてないですからね。




