友達。
「参ったと言うか、剣を落とすか、手足以外に剣を触れさせると負けだよ」
うんうん、それはさすがに分かってるよ。兄に言われた。
「リザはパワーはないから剣を落とさせるのは難しいだろうなぁ」
「リザは優しいから相手が参ったというまで痛めつけるなんてできないだろう」
「リザなら、相手の懐にしゅっと飛び込んで2,3回切り刻めるよ」
「リザなら相手の背中に回ってすぱーんでしょう」
「リザなら、相手の喉元に剣を突きつけて終わりじゃないのかな」
「リザなら、相手の足元狙ってひっくり返してからお腹に剣を立てるんじゃないかな」
……とか、なぜか私の勝ち方論争が夕飯の話のタネになっていました。
兄たちの意見に、お父様が口を開く。
「リザなら、かっこよく勝つよ」
それからお母様が
「リザなら、優雅に勝つと思うわ」
……はい。優雅にかっこよく勝てるように頑張ります……。期待を裏切らないように……。
でも、どんなに無様な姿を見せようと、クラスのみんなのために頑張るから。もし、何度もみっともなく地面に倒れても、負けが決定するまでは立ち上がるし。
どれほど膝をつこうとも……そして、剣を手から取り落としそうになっても……諦めずに戦って見せるから。優雅でもなくて、かっこよくもなくて、汚くてみじめでみっともなくて、挙句に最後は負けちゃったとしても。
1回戦だけは勝ちたい。
絶対に勝つ。
初めは、フレッドを怒らせないように1回戦は勝たなくちゃって思ってたけど……。
今は、ただ、ただ、純粋に勝ちたい。
「一人は……」
ふと口をついて出た言葉。
それに、クラスメイトが気が付いて声を合わせる。
「「みんなのために」」
「「「「みんなは」」」」
「「「「「「「一人のために!」」」」」」
こんなちょっとしたことが嬉しい。
ああ、そうだ。私は、小学部で友達らしい友達も仲間らしい仲間もいなかった。
友達……そう、小学部入学まではマルヴェルっていう友達がいた。それからは、兄たちが仲良くはしてくれたけど、友達はいなかった。
隣に並ぶフレッドの顔を見る。
攻略対象の第二王子で、発狂死フラグが付いて回る黒い王子だけど……。
それから、マージの顔を見る。
粗雑で人の皿に勝手に唐揚げ積み上げるうるさい男だけど……。
「友達になれてよかった」
ん?って顔でフレッドとマージが私の顔を見た。
で、なぜか、サーシャが悔しそうにこっちを見る。
「と、友達なのは、その二人だけじゃないと、思いますわ!」
あ?
そうか。うん。そうだ。
「サーシャも友達。みんな、大事な友達だっ!」
「あったりまえだろう!だから、お前のことを心配してるんだ。頑張れよ、だけど怪我をするところは見たくないからな!行ってこい!」
マージが私の背中をバシンと叩いた。
いってぇー。
「ちょ、出場前に怪我するだろっ」
「あ、わりぃわりぃ、」
「あはははは。緊張感がないね。いつものことだけど」
フレッドが笑うと、クラスメイトも笑う。
競技場には、テニスコートくらいの大きさの対戦場所が4か所用意されていた。
トーナメントの初戦から3回戦までは4か所に分かれて行う。4回戦目、つまり準決勝から1か所で行う。
……あれ?ってことは、2回戦勝つと、もう次は準々決勝なのか。ベストエイトなのか。そりゃ、1年生が2回戦突破は難しいはずだよ。
で、私は第二コート……じゃなくて、対戦場所の、第1試合ね。
いつもありがとう。
な?恋愛要素ふっとんで、友情物だろう?
(´・ω・`)ジャンル詐欺じゃないよ、ずぅーーーーーーーーーーっと遠いところに待ってるよ。←先は長いので、気長にお付き合いください……げふんげふん




