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突然の爆風

「担イシ者タチ」第八話です。

よろしくお願いします。

「おお、ハツキじゃないか。久しぶりだな」

「お久しぶりです、刀地とうじさん」

 質屋を入ると、そこには外観とは大違いのかなり明るい雰囲気があった。

 明るい照明、そこら中に置いてある色々な種類の動物のぬいぐるみと店内に流れる陽気な音楽が相まって、それらが外観の不気味さをすべて消し去ってしまうような期待さえしてしまうほどだ。

 唯一怖いと言えるのは、店主と思われる男の顔である。

 瀬川せがわ刀地とうじ。創業から約二十年経つこの質屋の二代目店主である。

 刀地はカウンターからそさくさと出てきて、ハツキの横にいる梓の前に来た。

 梓が刀地のいかつさのあまり、咄嗟にハツキの後ろに隠れると、刀地は少し悲しそうな顔をして口を開いた。

「ハツキ、この小さいのはお前の彼女か? ちょいと怖がられちまったみたいだが……」

「彼女じゃないよ。僕の妹の過崎かざきあずさだ。刀地さんを初めて見たら誰だって怖がるさ」

「フォローになってないぜ……」

 いかつい顔のファンシー店主はまた少し悲しそうな顔をして言った。

「で、今日は何しに来たんだ? 稼ぎたくなってきたのか?」

「まあ、ね。ちょっと食料が必要でさ」

「そうなのか……。まあ、人の事情を詮索せんさくしないのはこの店のモットーだ。これ以上は何も聴かねーよ。まあ、稼ぎたいってんなら、何を賭けるのか聴こうか」

 刀地は少し険しい表情になり、それでも少し笑っているように見える表情でそう聴いてきた。

「じゃあ、そうだな……賭けられるものは今は持っていないんだよな……」

「なんだと? 賭け事ってのはなー、賭ける事って書くんだよ。何も賭けられないならここに入れられねーなー」

 刀地はそう言いながら親指でカウンターの後ろにある扉を親指で指した。

「まあ、これがあるっちゃあるんだけどさ」

 ハツキはポケットの中から携帯電話を取り出し、刀地の前に差し出した。

「ほう、携帯か。まあ、いいだろう。入れ」

 そう言うと刀地はハツキ達にカウンターの中に入るよう勧めた。

 ハツキはカウンターの中に入り、カウンターの後ろにある扉の前に立った。そこで、梓が自分についてきていないことに気づき、梓がどこにいるか確認した。

 梓は店の入り口から見て右側にあった猫のぬいぐるみにくぎ付けになっていた。

「おーい、梓、行くぞー」

「あ、うん、ごめん、お兄ちゃん」

 梓はそう言うと兄がいる方へ急いで歩いて行った。


「うう……ハツキ、出ないよー……」

 ハツキと梓が質屋に入店してから約三十五分後のこと。

 祈と鈴は電気屋のテレビで偶然ぐうぜん報道ほうどうされていた魔術師についての情報について、ハツキに報告しようと思っていた。

 しかし、ハツキに何度電話しても留守番電話をうながす声が聞こえるだけで、肝心かんじんのハツキ自身が電話に出ることはなかった。

「私の携帯もだめだ……電源切ってるのかなー……? 梓ちゃんは携帯もってないし……」

「そうだね……とりあえずは私と祈で考えて行動するしかないか……」

「うん、ネットとかで私たちの顔が公表されている可能性も高いし……顔を見られないようにした方がいいかも……。!!!」

 祈と鈴がそんな風に会話していると、二人の正面の建物……ショッピングモールであろう建物から轟音ごうおんと共に爆風が吹き荒れた。

「な! 爆発!?」

 鈴がそう叫ぶ。

 二人は必死に爆風に耐えていた。

 数秒後、爆風はおさまり、二人はやっと普通に行動できるようになった。

「今のは……何?」

「……多分、魔術だと思う。あのビルから魔力みたいな……何か、異質な空気を感じる……」

 鈴はそう言うと、建物の方へ走って行った。

「あ、鈴!」

(鈴が行っちゃった……。けど、こんなとこで考えててもしょうがない……。他人事ひとごとじゃないんだから、私も行かないとだめだよね!)

 祈は心の中でそう思うと、鈴を追いかけて建物の方へ走って行った。

読んでくださり、ありがとうございました。

今回は少し短かったですが、そのことも相まって展開が早いように感じましたね。ハツキが謎の質屋で謎のカウンター奥に行き、鈴と祈が謎の爆風に襲われる。二組がほぼ同時に謎の何かに干渉する、という内容でした。

感想や文章の指摘などがありましたら、送っていただけると嬉しいです。

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