図書室のスティーブ
「わーーーあ!」
また上から落ちる。
そして真下にあったアンティークの椅子にお尻から着地してみせた。
「あたたたた……」
太一がお尻をさすっていると、目の前の机にコーヒーカップが置かれた。気が付いた頃には周りが本棚でいっぱいの部屋だ。
顔をあげると青い瞳で茶色いウェーブの髪の毛をした青年がペンを片手に座っている。
すると紙を取り出し、
「君は、どこから来たんだ?」
「いったい誰だ……」
「いいから答えなって」
「え、なんか花があって丸い机があるところから……」
「違う、出身だよ」
「東の都です……」
「はい、0ポイント」
「なんで?」
目の前の人間がコーデルの言っていたスティーブであることには間違いなさそうだ。彼は続ける。
「前の職業は?」
「こ、公務員です」
「うーん、こ。はい次」
「いま、うんこつったか?」
スティーブはどんどん手元の紙に何かを書き込んでいる。
「よし、最終問題です。これが解ければあなたには一千万の獲得権を差し上げましょう」
「クイズ番組か何かですか?」
「今日のマリ様のパンツの色はなんでしょうか? 1、白。2、黒。3、赤。4、黄色。5、水色。6紺色——」
「一体、幾つ言うつもりだ?」
「では、彼女のパンツは白か黒かどっちでしょうか? それが私の今晩のおかずになります」
「はっ倒すぞお前」
すると、太一は少し迷ったが真剣に。
「黒、ファイナルアンサーだ」
「はーい、それはお前の好みでしたぁ〜」
「ぶっ殺すぞ!」
思わず机を手で叩く。
すると、スティーブはにやけた。
「へへへ、それで契約完了です」
太一が叩きつけた手元を見てみると契約書が。手のひらを返すと赤いインクがべっとり。
スティーブは薄ら笑って、
「さて、契約の確認ですが、1、『この仕事は命だけです。責任は各自負担です』。2、『この仕事で怪我をしても責任は追いません』。3、『この仕事は弱いものを必要としません。それでもいいですか?』。以上、三項目にご承諾いただきありがとうございました。ちなみに、あなたの国では違法な契約でもここではそうではありません。では、手続きは終了ですお引取りを」
「そうは行くかよ!」
「はいどーん!」
声とともにスティーブは手元のボタンを握りこぶしで押した。
次の瞬間には太一が椅子と一緒に床に開いた穴から下へと落ちていってしまった。
「わーーーあ!」
そしてドスンと着地。椅子に腰をぶつけて少し痛そうだ。
「これで何回めだ!? いい加減にしろ」
● オチだけに落ちる。
「知ったことかぁ!」
太一は宙に向けて叫ぶが誰もいない。
するとそこへ声が。
「よし、お疲れさん。じゃあ、今から授業をしようか」
キシヨが正面を見ると銀髪でもじゃもじゃ頭の青年の姿が。格好がコーデルの姿にそっくりで、全てぶかぶかだった衣服を全て着こなしている。ズボンもきちんと裾に足を通していた。眼鏡も彼が掛けている方がおしゃれだ。
キシヨは思わず尋ねる。
「誰、ですか?」
「コーデルだよ」
「え? 嘘ですよね?」
「ほんとさ、ほら銀髪だし」
どちらかというと問題は身長の方だ。
コーデルの声はもっとあどけなかった。しかし今の声は熟成して、少し妖艶だ。しかし、彼はそのことを一旦置いて、白のチョークを手に黒板を使い授業を始めた。
「いいかい? これから30分でこの世界について色々と教えるから。きちんとついてきてね」
「は、はい」




