タチの悪い美女
感想お願いします
その頃には彼の戦闘が全て終わっていた。
「そろそろ終わったかい、ユー・ユー? こっちは片付いたよ」
青年姿の彼は新調した丸いテーブルの上に立ってカメラを前に会話していた。
ユー・ユーからの返答が帰ってくる。
*****************************************
「ふふふ、私も今終わったわ。あっけなかったわね、異世界稼業も」
「すごいっす、本当に全員倒しちゃったっす……」
ミーティアが唖然とする。
目の前の忍びたちは瞬く間になぎ倒され、吹き飛ばされ、叩きつけられた。本堂の木の床に、ユー・ユーを中心として扇状に黒装束の忍者たちが、皆のされていた。
その拍子か、本堂から外壁までを打ち抜く大きな穴が空く。先ほど、外の忍びが目撃したの斬撃のあとであった。月の明かりで明るくなった空が、また少しだけ薄暗くなっていた。
ミーティアは、ユー・ユーが攻撃の立ち振る舞い、原理、回数、全てが目に追いきれなかった。だが、ユー・ユーが強すぎることだけはわかった。
見た目だけで言うならば、西洋貴族の中で選りすぐりの最も美しい女性。他に例えるなら江戸時代の吉原の中で最も美しいとされた花魁。だが、その二つの戦闘力は鷹が知れており、無敵、と呼べるのかユー・ユーにおいて他ならなかった。
一方その頃、ユー・ユーが本堂の入り口を向いているのに対して、後ろにはアカリが大きな息を吐いていた。
アカリのそばには新たな人影が見える。その人物は女性で、白衣を身にまとった、いかにも気のつよい姿だ。
どうやら、アカリの処置を行っているように見える。
彼女の他にも、白衣を着た人間が数名見受けられる。男女数名の彼らは、アカリ以外の敵忍者を手当てしていた。もちろん、ユー・ユーはあまりに強かったため、忍者たちの安否も気になるところだ。
だが、その診察にあたってた彼らのうちの一人が、思わず口を開く。
「あれ? これは寝てるのか?」
ユー・ユーのなぎ倒した忍びたちは、特に大きな外傷もないようだ。白衣の彼らがライトで忍者のひと身を照らして確認をするが、脳震盪らしきものすらなかった。
まるで眠っているようだ。
その話を聞くと、アカリを治療していた女性は、にエクレツェアの医療班が駆けつけ、紺色で凛々しい長髪の女医が医療器具と手のひらの魔法陣を駆使して、アカリの処置を素早く終えた。
「おい、処置を終えたぞ、ユー・ユー」
「ありがとう、アリーア」
アリーア。エクレツェアの医療班リーダーだ。僕は彼女とあまりおしゃべりをしたことがないのだが、語り部のこの僕が語りかけるのを見送るほど彼女の気は強い。
一言で言うなら、仕事ができるすぎる人間だ。
一方、ユー・ユーも仕事はできるのであるが、印象はその真逆であると言える。遊郭の中で男を引きつける魅力あふれる女性。それが彼女である。
そんな相反する二人にも、やはり一つの信念があるようで、その共通点から互いのことを一目置いていたのだった。
アリーアがユー・ユーの戦い方に思わず深いため息をつく。
「私だけが駆けつけてもよかったな。忍者は誰もほとんどダメージを負っていない。お前の活殺術というのは本当に便利なものだな」
「ふふふ、アリーアちゃんもできるわよ。今度教えてあげるわね。手取り足取り」
「弄ぶのは人体模型だけにしろ」
「イケズゥ」
そこへ誰かが走ってくる音が聞こえる。次の瞬間には血だらけのお鷹の胸が現れる。
「アカリ様ご無事でしたか!」
お鷹の胸から滴る血からかなりの深手が窺えた。紺色で冷淡な着物が少しだけ黒色にしまっている。胸元から左の腹にかけて流れるようだった。
「ええ、無事よ」
ユー・ユーが日本刀を手で弄びながらそう答える。
日本刀はお鷹の胸から見ても狂いのない一級品であることがわかった。刀身は鋼、刃が結合する場所がうねるような模様だ。柄も古風で金色。
だが、持ち手が古風というよりは古であった。刀身がそのまま伸びたような鋼色である。
その視線はユー・ユーに次の行動を促した。観察されることを戦力の攻略と感じていたのだ。
ユー・ユー刃あたりを手で指し示して、敵の全滅を知らせる。
お鷹の胸は一息ついた。
「やはり、あなたがたにお願いして良かったです」
だが、ユー・ユーはわかっていた。アカリが気絶しているのを確認して、お鷹の胸に告げる。
「うふふ、ですがまだ終わっていませんよ。このままでは帝位を取られてしまいます」
「はぁ……はぁ……一体なんの話ですか?」
すると、ユー・ユーはにっこり笑って、
「ふふ、いいですか? よく聞いてください。実は初代女皇帝にはもう一人子孫がいたんですよ」




