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プロローグ

 色々な作品を読ませていただいているうちに、自分でも異世界転生物が書きたくなったので書いてみました。

 文章的にいたらない所や読みにくいところも在るかと思いますが、生温い目で見ていただけると嬉しいです。

五月の良く晴れた日曜日。

「今日は天麩羅よ!」

 そう母が決定するや否や、我が山田家の面々からわぁっと歓声が上がりました。

 天麩羅は家族全員の大好物。その為、育ち盛りの三男三女の子供たちを抱える大家族の我が家では、よくメニューに困ったときや家計に困ったときなどに食卓に上がります。

 自分たちで集めてきた材料を使って調理した天麩羅は、それ故に食費も浮くし、季節ごとに違う色々な種類を楽しむことが出来る優れもの。美味しいことも勿論ですが、衣でガサも増えてお腹も一杯になるし、種類も豊富で飽きが来ないので心も満足させてくれる、とても優秀な食卓の味方だと思います。

 名実共に、見た目にも懐にも嬉しいピンチヒッター的な定番メニューというやつです。つまり、このメニューが出るということは家計のやりくりがちょっとアレだということでもありますが、皆大好物に目が眩んでその事実についてはスルーしてしまいます。

「柘榴姉ちゃん、畑に今お豆ちゃんってあるかな?!」

「うーんと…スナップエンドウとかソラマメとかサヤエンドウがちょろっと取れそうだったと思うよ」

「じゃあ樹、みづきと取ってくる!他にはあるかな?」

「裏のしいたけとかどう?」

「なら、撫子も双子と一緒に行くね。その方がいっぱい取れるもの」

「そうだね、じゃあお願いするとして…私は山菜採りかな」

「柘榴、山菜採りに行くならコシアブラ忘れんなよ」

「ふきのとう、まだあるかな?!」

「コゴミも!」

「たらぼちゃんもお願い!」

「そんなに見つかるかなぁ?まあ探してみるよ」

 あれが食べたいこれが食べたい、この季節ならアレも食べられるよねと話し合いながら、私たち兄妹は、ワイワイガヤガヤ誰が何処に何を採りに行くかを分担を決めていきます。

 今回は、畑で採れるものや春物のしいたけなど、難易度の低いものは幼い弟妹たちに任せ、私は山菜を求めて山に向うことにしました。

「チビたちが野菜で柘榴姉が山菜か。なら俺たちは魚だな、兄貴」

「よし、楓。どっちが沢山釣れるか勝負だな」

「いいぜ、その勝負受けて立つ!今回も兄貴には負けねぇよ!」

「言ったな?後で泣き顔さらすんじゃねぇぞ」

「兄貴こそ。俺のが二回勝ち越してんだ、三度目の正直になればいいけどな?」

 どうやら兄と直ぐ下の弟はヤマメやイワナを釣りに行くらしく、どちらが多く釣れるか勝負すると言って盛り上がっている様です。

 川魚の旬はもう少し後な気もしますが、私もイワナの天麩羅は好きなので期待しておこうと思います。勝負する云々はともかく、折角なので家族全員に行き渡る分の魚くらいは確保して貰いたいところですね。

 さて、各々が採りに行く分担が決まった後は、お昼に食べるおにぎりを皆で準備しながら、決まったことを母に報告します。母はそれを聞いて、足りないものを町に買出しに行く役割を担っているからです。

 皆、天麩羅をお供にするなら素麺が良いとかうどんが良いとかリクエストするし、他にもイカや鶏肉などを買ってくると、意外と大荷物になるから大変だったりするんですよね。

 さて、弁当も出来たし水筒に御茶も入れ終わると、私たちは玄関に集まります。

 幼い頃から慣れ親しんだ場所なので遭難するようなことにはならないと思っているけど、家を出る前にも一応、夕方には帰ることやどこに行くのかを家族に伝えてあうのが我が家のルール。

 私も山のどのあたりに入るかを伝え、背負い籠を装備し準備万端です。

「各自自分の担当したものを集めてくること。怪我はないように気をつけろよ。よし、んじゃあいくか!」

 兄の掛け声に続き、いってきます!という元気な声をあげて、私たち兄妹は思い思いの材料を手に入れるべく畑や野山に飛び出していきます。


 それがまさか、あんな事態になろうとは。そのときは想像もしていなかったのでした。

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