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1-①人生何が起こるか分かりません

 異世界転生。

 私が好んで読んでいたネット小説では比較的メジャーなパターンで、異世界召還モノや転移モノと並んで、人気の高い小説が多かったと思うジャンルです。

 その中に出てくる主人公は、性別や年齢はまちまちですが大抵が現代日本出身。転生前から幸運体質…なんていう主人公も偶には居るようだけど、大半の主人公は転生前は平凡な人が殆どです。そんな元平凡な庶民派主人公たちは、転生後も黒髪黒目であることが多い傾向があります。あくまでも傾向ですけど。

 異世界では黒髪黒目が珍しかったり、強い力を持つものが黒色を持つとされていたりします。異世界転生モノでは、そうした主人公たちが魔法や戦闘系のチートスキルを持って無双したり、幸運チートや現代知識・技術をフル活用して成り上がったり、はたまたハーレムルートで盛り上がったり、ゲーム世界に転生した自分の死亡フラグを回収したりと大活躍していたものです。

 

 主人公と言うのは、夢と理想が詰まったものなんじゃないでしょうか。

 様々なパターンがありますが、昨今こういった転生モノのようなジャンルの小説は読み手も書き手も日本人が多いです。異世界と言う非日常的な世界パラレルワールドに入れ込みやすいように、主人公を同じ日本人にしたんだろうなとよく思ったものです。

 人は、無意識に相手と自分の似通った部分を探し、同じものがあると安心したり、仲間意識や共感を持ちやすいのだと誰かに聞いたことが在ります。それは物語であっても同じことが言えるのではないでしょうか?

 だから、物語に出てくる主人公が同郷出身だと親近感がわきやすいわけですし、似たような部分があるとそれだけで感情移入がしやすく、物語に入り込んだかのような手に汗握る臨場感を得られたりするわけです。

 つまりは、自分がこうだったらと空想したり、共感したり、楽しませてもらえる存在、それが主人公なんだと思います。

 たまに入る日本あるあるネタに笑わせてもらったりすれば、そうなんだよねぇって主人公に頷いていたり、日本では平凡の象徴のような黒髪黒目が強い力を持つとされる異世界だったりするとなんとなくですが嬉しいですし。

 逆に共通項もない完璧超人だときっと、書いていても読んでいても楽しくもないし、物語に入り込めないでしょうから、主人公ってやっぱり重要だと思います。


 さて。娯楽の少ないド田舎に生まれ育った私にとって、通学時間に電車に揺られながらお気に入りのネット小説の最新話をチェックしたり、畑や家畜や弟妹たちの世話が終わった夜に夜更かしして読みふける時間はとても楽しいひと時でした。

 平凡な日本人が異世界で活躍する話はワクワクしながら読んだものですし、続きを次回に期待させるような展開の時には早く次の更新日になればいいのにと待ちわびたり、異世界にトリップした女の子たちが繰り広げる恋のお話しにはドキドキしたりして。自分がもし主人公たちと同じ立場だったら、どんな風になるのかなぁと空想しては羨ましく思ったりしたものです。

 私の住んでいた田舎には本屋さんなんてなかったので、手軽に本を買って読む事がなかなか出来ませんでした。その点、ネットに繋げれば何処でも読めるネット小説って本当にすばらしくて、よく重宝させて貰いました。基本無料でしたし。

 もっとも、通学時と市街地に出ているとき以外にはド田舎故に携帯が圏外になることも多く、読むのはスローペースだったんですけど。

 どんな作者さんが書いたものでも色々な世界観や価値観、好きなものに溢れているのが感じられて、下手に立ち読みを出来ない本屋でタイトルだけに惹かれて本を購入するよりも当たりが多かったですしね。

 空き時間にお気に入り小説の最新話まで読破しては、安心して別の新しい作品にも手を伸ばせられて、本当に楽しかったです。

 作者の皆さん、いつも心躍る時間を提供してくださり本当にありがとうございます。一読者として、草葉の陰から皆さんの今後の活動を応援していますね。

 本当は、続きが読みたくて読みたくて仕方が無いのですが、それはもう叶わないので空想で続きを補っておこうと思います。

 何故かと聞かれたら、なんというか…。私も、ネット小説の主人公たちと同じく、異世界に転生してしまっているからとしか言いようが無いのですが。

 本当にこういうことが起こってしまうものなんですね、ビックリです。


 ああ、でも。転生したからといって、私が小説の主人公のようにチートだったとかそういうことは今まで無かったです。前世も現世も身体能力は人並み、これといって頭が良い訳でもなく、異性にモテてしょうがないなんてことも無かった――そもそも出逢いも皆無――ですし。何をしたって人並み以上に抜きん出るようなずば抜けた才能があるわけでもないし、ぶっちゃけなくとも正真正銘の凡人といった感じですね。

 こちらに転生してからもう十六年経っているのに、チートが開花するでもなく、良くも悪くも平凡な私は、転生者でもモブだったということでしょう。

 ただ、この世界は私が好んで読んでいた中世風ファンタジー系小説のような世界なので未練と言うか、残念加減は半端ないんですけど。

 まあ、こればっかりはどうにもなりませんよね。


 さて。私は現在、馬車に乗って移動中なのですが、目的地にはまだまだ遠い様子。同乗者も居なくて暇なので此処まで物思いに耽って居たわけですが、もうかなり長いこと移動しているのでそろそろ考えるネタも尽きてしまいました。

 なので、馬車が止まるまで、自分の過去でも振り返ってみようと思います。

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