第49層 迷死森ヘシタテス
この作品は、文章表現レベルが1/1000Lvの作者の書いた作品です。
キャラ名が被ったりしますが、作者はオリジナルだと思っています。
様々な表現が含まれますが、話の内容と、作者の成長を見守ってください。
森の中。
入ってみて、その中の雰囲気を一言で表すと『闇』だろうか。
森の上の上空からは光が差しているが、地面までは届いてない。
地面からの景色は、太い幹たちと、広がる苔と、少しのシダ植物だけ。
空気も、そこまでおいしく感じない。
そんな森の中、ミライたちは・・・・・・モンスターたちから逃げていた。
「ちょっとー何なのよ、この数!」
ミチは全力で先頭を走る。
「しるかよ!いいから走れ!」
ユミルも言葉を吐き捨てながら、ミチの後ろを進んでいく。
「はぁ、もう魔力なくなっちゃうよ!」
ミライは最後尾で、走りながらバリアを後ろに放っている。
どうしてこんな事になったのかと言うと、さかのぼる事数分前。
「うわっ、迷い死に行くの森、ヘシタテス・・・だって」
ミチは、目の前の苔だらけの看板を見ながら言った。
「だれがこんな所に看板建てるんだ・・・」
ミライがぼそっと呟いた。
「たしかにね。で、迷うで思ったんだけどさ。このまま、まっすぐ行ったら、あの大樹に着くよね」
「そうだけど、それがどうした?」
ユミルがミチに聞き返した。
「どうにかして、この森をまっすぐ抜け出せないかなーってね」
ミチは、恐らく大樹のあるだろう方向を向く。
「たとえばー…この森の上までミライのバリアで上って、そこから、あの大樹に向かってバリアの上を歩いていくとか」
ミチは右人差し指をピンと上に立てながら、2人に対して言った。
「それいいかもな!」
ユミルも賛成の様で、ミライを見つめる。
「たぶん、無理だと思うよ・・・」
「何で?」
ミライの声に、すかさずミチが言葉を返してくる。
「だって…ほら」
そうミライは言って、目の前に細く高いバリアを作り出した。
そこに出来たバリアは、大樹と一直線につなぐ道筋に塞がる木の半分までしか、高さが届いていなかった。
10m位が限界のようだ。
「これが、僕の限界っぽいよ」
ミライは、バリアを見上げる2人に対して言って、バリアを消した。
「だめか・・・じゃあ、この木たちを全部伐っていくとか!」
ミチはそう言うと、目の前の木の幹に、跳び蹴りをくらわした。
蹴られた木は大きく揺れて、上から何かがドサッドサッと落ちてきた。
「え・・・」
ユミルは驚いた表情で、一言いった。
落ちてきたのは、蜂のようなモンスターが2匹。
モンスターの体は、人の顔位の大きさがあるだろうか・・・。
それよりも、その体と比例する位の大きさの針って・・・。
しばらくしないうちに、落ちてきた2匹も起き上がって飛び、その周りには、お仲間さんが沢山集まっていた。
「…ねえ、これ…まずくない?」
「良くはないと思うよ・・・」
ミチに対してユミルは言葉を返す。
モンスターの軍勢と3人はにらめ合いをしていたが、ついに向こうの軍勢は、こちらとの距離を素早く縮めてきた。
「逃げるわよ!」
ミチは叫び、走り出した。
2人もミチを追いかけて走り出す。
ユミルが走りながら後ろを振り向く。
振り向いた瞬間、顔を強張らせ前を向き言葉を吐く。
「やばい、やばいって!これ!」
こうして、3人の逃走劇は始まったのだった。
だいぶ道を右や左にぐねぐね曲がって、長い直線の道をだいぶ走った辺り。
ミライのバリアのおかげで、数は半分に減って、距離も離れたものの、まだまだモンスターは沢山追いかけて来る。
バリアを置いても回り込まれる。
どうすれば当たる・・・・・・よし!
ミライは一つの案を浮かべる。
そして、しばらく走ってから、最後尾にいたミライは、突然足を止め振り返った。
「バリア!…発射!」
ミライは目の前にバリアを張り、強くモンスターの方へと飛ばした。
道幅ギリギリの、高さと重さ最大のバリアだ。
バリアを飛ばしてから、ミライはミチたちの方へと全力で走り出す。
ミチたちに追いついてから、ふっと後ろを向いた。
振り向いた先にモンスターの姿は無かった。
どうやら、作戦は成功したようだ。
「ねえ、もう追いかけて来ないよ!」
ミライは、少し先を走る2人に対して叫ぶように言った。
2人はこちらに振り向き、足を止めた。
しばらく3人の呼吸の乱れる音が鳴り響く。
「どうにか逃げ切ったみたいね」
「だな」
ミチとユミルは、呼吸を整えてから言った。
「あんな針反則よ。間違いなく刺さったら毒無くても貫通して死んでたわ!」
「まあ、飛ばしてこないだけ、いいんじゃない?」
ユミルは、ミチに言葉を返して笑った。
ミチも釣られて笑う。
ミライも笑うが、すぐ表情を戻し一言疑問を言う。
「ねえ、どっちが大樹の方だろう?」
ミライの質問に、2人の笑顔は苦笑いへと形を変える。
360度、どこを見てもほぼ同じ景色。
こうして3人は、完全に森の中で迷子になるのだった。