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平和を望んだ少女は、戦争へ進む。 〜敗戦国の再建を目指した少女の誤算〜  作者:


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港を見よ

世界市場について話し合ってから数日後。

ベレ達は共和国最大の港を訪れていた。

潮風が吹き抜け、埠頭では大型船が荷物を積み降ろしている。


「すごい……」


私は思わず辺りを見渡した。


「これが共和国最大の港なのね」


港の責任者が笑顔で迎える。


「ようこそ、お越しくださいました。今日は港をご案内いたします」


ヘルムは腕を組みながら呟いた。


「ここは国の玄関口だ。世界と共和国をつなぐ場所でもある」


私は頷いた。


「ぜひ、勉強させてください」


まず案内されたのは、大きな倉庫だった。

天井まで積み上げられた木箱や樽。

穀物、鉄鋼、機械部品などが種類ごとに整理されている。


「これ全部、輸出や輸入の荷物ですか?」


港の責任者は頷く。


「はい。船は毎日来るわけではありません。だから倉庫で保管し、必要な時に運びます」


私はメモを取りながら呟く。


「倉庫も物流には欠かせないのね」


次に案内されたのは、大きなクレーンだった。

巨大なアームが木箱を軽々と持ち上げ、船へ積み込んでいく。

私は目を丸くする。


「人力だけじゃないのね」


「このクレーンがあるだけで、積み込み時間は大きく短縮されます」


工業学校の先生も興味深そうに見つめていた。


「将来はもっと性能を上げられるかもしれませんね」


私は嬉しそうに頷く。


「改良の余地はありそうね」


その後、一行は税関へ向かった。

役人たちが書類を確認し、一つ一つ荷物を検査している。


「ここでは何をしているんですか?」


「密輸の防止や関税の徴収です。危険な品物が入っていないかも確認しています」


私は感心したように息をつく。


「輸出するだけじゃなく、入ってくる物も管理しているのね」


最後に案内されたのは造船所だった。

巨大な船体が建造され、多くの職人たちが忙しく働いている。

鉄を打つ音が港中に響いていた。

私はその迫力に圧倒される。


「大きい……」


造船所の親方が笑う。


「船がなければ、どんな良い商品も海外へは届けられません。港と船は、共和国の命綱なんです」


その言葉に、私は静かに頷いた。

港を一通り見学し終えると、防波堤の上から港全体を見渡した。


出入りする船。

忙しく働く港湾労働者。

積み上げられた荷物。

その光景を見つめながら、私は小さく呟く。


「港は国の玄関口……」


ルマルが隣で微笑む。


「何か気付きましたか?」


私はゆっくり答えた。


「工場で作るだけじゃ駄目。港があって、船があって、倉庫があって、税関があって全部がつながって初めて、世界へ届けられる」


ヘルムは満足そうに笑った。


「ようやく見えてきたな」


私は力強く頷いた。


「ええ。共和国製を世界へ広げるなら、港も一緒に育てなきゃ」


帰りの馬車の中。

私は手帳に新しい項目を書き加えた。


『港湾整備計画』


『造船技術の育成』


『物流の効率化』


工場だけでは国は豊かにならない。

港だけでも国は豊かにならない。

すべてがつながって初めて、共和国は世界と肩を並べる国になれる。


ベレは、その大きな流れを少しずつ理解し始めていた。

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