第六話 『読まれた作品』におけるジャンル別『感想の書かれやすさ/書かれにくさ』
今回はジャンル別の傾向についてより詳しく見ていきたいと思います。
<< 感想が書かれやすいジャンル/書かれにくいジャンル >>
『感想0作品』に『なぜ感想が書かれていないのか?』ということを考えた時、おそらく一番主要な要因と考えられるのは
『そもそも読まれていないから』
という理由です。
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そもそも『読まれていない作品』に対して『感想が書かれていない』のはある意味当然のことであり、それは『感想の書かれやすさ/書かれにくさ』とはまた違った次元の話となります。
なので『読まれていない作品』が多い過疎ジャンルにおいて、感想1以上割合が低かったりするのは当然の事と言えるのです。
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しかし、多くの人が知りたいと考えるのはおそらく
『読まれた上で感想が書かれやすい/書かれにくいジャンルの傾向』
についてだと思います。
そこで今回は『少なくとも誰かに読まれたと考えられる作品』を抽出して、ジャンル別の傾向を見ていきたいと思います。
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[ 『読まれた作品』かどうかの区別 ]
「作品がある程度の人数の読者に読まれたかがどうか」を見るためには、アクセス解析における『ユニーク数』のデータを用いるのが理想的であると考えられます。
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しかしユニーク数のデータはなろう小説APIには含まれていないため、今回は『pt数』や『ブックマーク数』を用いて、作品を『読まれた作品/読まれていない作品』に分類し、それぞれの感想件数について見ていきたいと思います。
[ ブクマ+評価者数が『5』以上作品における感想 ]
今回は作品が読まれたかどうかのラインを『ブックマーク数と評価者数を足した数が"5"以上』の作品という風に設定して、層別化感想件数割合を見ていきたいと思います。
〔 今回の定義 〕
読まれた作品 = ブクマ+評価者数が5以上
読まれていない作品 = ブクマ+評価者数が5未満
この定義を用いる場合、最低でも3人以上はその作品を目にし、作品に対して何らかの積極的な行動を起こしているという事になり「少なくとも複数人の目に付いている作品」と言えるだろうと考えられます。
※なおこのブクマ+評価者数が「5未満」作品の中には「評価受付停止中」になっている作品も含まれますが、全体の割合から見れば少数であると思われます。
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<< 読まれた作品/読まれていない作品における層別化感想件数の割合 >>
ではまず全体に対する『読まれた作品』『読まれていない作品』の層別化感想件数割合をみていきたいと思います。
□ 結果
□ 考察
感想0の割合は『読まれた作品』では32%、『読まれていない作品』では81%であるという結果になりました。
やはりブクマ+評価者が5未満の『読まれていない作品』においては『感想が書かれていないのが基本』と言えそうです。
次はこれをジャンル別に見ていきたいと思います。
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<< ジャンル別 読まれた作品/読まれていない作品における
層別化感想件数の割合 >>
全体においては『読まれた作品』における感想0割合は32%となっていましたが、これをジャンル別に見るとどうなっているのでしょうか?
見ていきたいと思います。
□ 結果
※感想0割合が低い順に並べ替えたもの
補足:ジャンル別 読まれた作品/読まれていない作品の割合
□ 考察
『読まれた作品』において最も感想0割合が少なかったのは『エッセイ』であることが分かりました。
『エッセイ』はブクマや評価者数を考慮しない分析でもやはり感想0割合が少なかったので今回の結果は順当と言えますが、やはり『エッセイは感想が書かれやすいジャンルである』と言えそうです。
[ 再掲:ブクマ評価者数を考慮していない場合のジャンル別層別化感想件数割合 ]
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一方でブクマ評価者数を考慮しない場合では最底辺に位置しており『感想が書かれにくいジャンル』と思われがちな『詩ジャンル』が、『読まれた作品』における割合では意外なことに二番手位置している結果となっています。
この事が何を意味するか?
そう、『詩ジャンルは、読まれれば感想が書かれるジャンルである』ということです。
※これについて『じゃあ一体誰に読まれているのか?』ということについては次回の「作者感想件数分析」で分析したいと思います
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詩ジャンルの他にも『読まれた作品』における感想件数割合では、過疎ジャンルが上位に上がってきているという結果となっています。
このことから見えてくるのは、『過疎ジャンルでも読まれれば感想が得られる』ということだと思います。
むしろ、過疎ジャンルにおいて『読まれた作品』は大手ジャンルにある作品よりも感想が書かれやすい傾向にあると言えるのです。
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<< 今回のまとめ >>
・ブクマ+評価者が5未満の『読まれていない作品』における全体の感想0割合は81%となっており、やはり読まれていない作品には感想もほとんど書かれてないのが実態と言える
・『エッセイ』はやはり感想が書かれやすいジャンルであると言える(感想が欲しい人はエッセイを書こう!)
・感想が書かれにくいと思われがちな『詩ジャンル』は、意外にも『読まれれば感想が書かれやすいジャンルである』と言えそう
・詩ジャンルの他にも『読まれた作品』における感想件数割合では、過疎ジャンルが上位に位置しており、このことから『過疎ジャンルでも読まれれば感想が書かれる』ということがうかがえる
・むしろ、過疎ジャンルにおいて『読まれた作品』は大手ジャンルにある作品よりも感想が書かれやすい傾向にあると言える
以上、ジャンル別感想件数分析でした。
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<< 次回 最終話 >>
『なろう”作者”感想件数分析』
『なろうにおいて”得難いもの”……の実態っ!』