転生
眠っていた意識がゆっくりと浮上する。
私は、そっと目を開けた。
窓から差し込む陽射しは暖かく、外から聞こえる小鳥のさえずりは心地良い。
なんとも穏やかな空気に、自然と心が安らぐ。
それにしても、今は何時だろう?
とても長い間寝ていた気がする。
私は時間を確認するために身体を起こそうとして、ふと違和感を感じた。
身体が自由に動かせない。
指先や腕は多少動かせるし身体の感覚はある。
でも、周りの状況を確認しようと上半身や首を動かそうとしても、全く動かない。
一体、私の身体はどうしてしまったのだろう。
それに、ここはどこだろうか。
目に映るのは、見覚えのない天井。
明らかにここは、自分の部屋では無い。
私は自分の身に起こったことを、必死に思い出そうとする。
そしてーーー
大きな衝突音。
軋む身体。
赤く染まる視界。
響く悲鳴。
真っ先に脳裏を駆け巡ったのはそれ。
ああ、そうだ。
私は事故に遭ったのだ。
あれはたしか仕事帰りの出来事だった。
私の目の前を歩いていた妊婦さんが、信号無視をしたトラックに轢かれそうになったのだ。
それを見た私は、咄嗟に彼女の腕を掴んでーーー
代わりにトラックに轢かれたんだ。
ーーーーゾクッ
生々しい記憶に、今更ながら身体が震えてくる。
その後、私は病院にでも運ばれたのだろうか。
それなら、''身体の自由がきかない状態で、見知らぬ部屋にいる''という この状況も説明がつく。
それにしても、 私よく生きてたなぁ。
結構なスピードで、トラックと衝突したような気がするのだが。
実は私、結構な重症なんじゃ無いだろうか。
でも身体が動かない割には、どこにも痛みを感じないし・・・。
誰か私の現状について説明プリーズ!