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第二百十六話 再会

今週もよろしくお願いします。

「せめて、今夜だけでもお願いできないでしょうか。目覚めた時、誰もいないのでは、梨奈が不安に思うかも知れませんし……」


今夜だけでも梨奈に付いていてやりたいと言った俺の言葉に、梨奈の父親が言葉を重ねた。




「分かりました。ただし、お一方だけということにさせていただきます。目覚めてすぐに、何人もでは梨奈さんも落ち着かないと思いますので……」


少し間を空け、考える素振りを見せた後、井川医師が付き添いの許可を出した。


だが、一人だけと言われて、俺は複雑な心境でその後の話に耳を傾けていた。




梨奈が病室で過ごす際の注意事項をいくつか告げられた後、梨奈の両親と俺は井川医師の下を辞して病室へ戻った。




 既に梨奈が居ると聞かされていた俺は、逸る気持ちを抑えて梨奈の両親に続き病室の中に入ると、出て行く時にはなかった器械が持ち込まれているのに目が行った。


『ピッ、ピッ』

と規則正しく鳴り続ける機械音が響く中、俺たちを井川医師の下へ案内してくれた看護師とは別の看護師が一人、ベッドの脇に立ち器械の調整をしていた。




俺たちの姿に気が付いたその看護師が梨奈の担当になった花木だと名乗り、持ち込まれていた器械について簡単に説明をしてくれた。


説明を聞きながら器械についていたモニターに目をやると、『ピッ、ピッ』という音に合わせて綺麗な波線を描いていく。


医療機器についての知識は殆どなかったが、器械が規則正しい音を刻み、綺麗な波線が描かれていれば梨奈は落ち着いた状態にあるのだと教えられ、俺は一頻ひとしきりモニターに見入っていた。




看護師の花木さんがベッドの側から離れると、病室から出て行く間も待ち切れないという風に梨奈の母親がベッドへ近寄った。


「……りな……」


花木さんを見送っていた俺は、梨奈に呼び掛ける母親の声に意識を持って行かれた。




「梨奈。辛いよね。でも、頑張って……」


ベッドの上へ身体を乗り出すようにして梨奈に話し掛ける母親のすぐ後ろには梨奈の父親が立ち、俺のいた位置からは梨奈の顔が見えなかった。




梨奈の両親からベッドをなぞるように視線を動かすと、白いカバーが掛けられた掛け布団が梨奈の身体を包み込んで膨らんでいた。


梨奈は、確かに目の前に居た。




梨奈の両親を押し退けたい衝動を堪えてベッドの上の膨らみに視線を止めていたが、薬がよく効いているのか、梨奈の身体は微動だにしなかった。


動かない梨奈に不安を覚え、焦りを感じ始めた時、梨奈の両親が場所をあけてくれた。




梨奈の枕元に立ち、顔を覗きこんだ俺は思わず息を呑んだ。


いつもは血色が良く、健康そのものだった梨奈の顔色は色が抜け落ちて真っ白になっていた。


ぷっくりとピンク色をして艶々していた唇も紫がかった色に変色し、固く閉じられた瞼の長い睫毛は『ピクリ』とも震えず、その長さを知らしめるだけだった。


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