第十六話 異次元の人
予定通り、投稿することができました。
何とか間に合ってホッとしています。
また、楽しんで読んでいただければと思います。
次の日の朝、そわそわと落ち着かない気分で出掛ける用意を済ませ、アパートの前で尚哉を待った。
五分ほど経った頃、尚哉が自分の車を運転して迎えに来てくれた。
私を見つけた尚哉が運転席から降り立った姿を見て、私は発作的に約束をキャンセルして自分の部屋へ駆け込みたくなった。
前夜のクリスマスパーティにはスーツを着て参加していた尚哉だったが、今日はラフな格好をしていた。
だけど、服装はラフでも、改めて明るいお日様の下で見た尚哉の容姿は異次元のそれだった。
整っているというよりは、整いすぎていることが欠点とでもいうような芸術品の域に達し、作り物のようにも見え、自分の意思で動いて話していることが不思議に思えるほどだった。
これから向かうテーマパークの人込みの中で尚哉の姿が人目に付くことは間違いなく、そんな尚哉と二人きりで歩く自分の姿を想像し、私は出掛ける前から軽い疲労感に襲われていた。
けれど、尚哉は私に対して細やかな気遣いをしてくれ、私のことをとても大切に思ってくれていることが伝わり、尚哉の運転でテーマパークに着いた時には尚哉との距離が近くなったように感じられた。
「俺たち、このまま付き合っても、上手くやっていけると思わないか」
丸一日、テーマパークを満喫してアパートの前まで送ってもらい、お礼を言った私に尚哉が告げた。
テーマパークでは私の予想通り、目立っていた尚哉は人目を引き、尚哉自身そのことに気付いていたはずなのにまるきり意に介する素振りさえ見せず、それまでの態度と何一つ変わることなく過ごしていた。
そんな尚哉の様子に、最初は周りの目が気になっていた私も楽しまなくては損だと思い始め、いつしか人目が気にならなくなり、帰る頃には心が尚哉の色に染まることを望んでいた。
「大事にする。約束する。だから、『はい』と言ってくれないか」
シートベルトを外し、助手席に座っていた私の右手に尚哉が手を重ね、指を絡ませながら言葉を繋ぎ私の方へ身を乗り出して目を合わせた。
しっかりと合わせられた尚哉の瞳は、私が怯みそうになるほど真剣なものだった。
私には、『はい』と応える以外に選択肢はないように思え、小さく『はい』と応じると尚哉は顔を寄せて私の唇に口付けた。




