プロローグ
ギャグっぽいのを書きたくて即興で書いてます。途中でいきなりシリアスになったら、発作が起こったなと思って温かい目で見てください。
出来るだけ頑張って続けたいと思います。頑張れ私!!!
そこは、暗く重く—————————月が照らす月光が、ほんの僅かに大地を照らす。
本来なら神々しく輝いているであろう、散りばめられた宝石のように美しい星々は、高く上り広がる暗雲に光を遮られ、僅かな存在さえも感じられない。大地をたった一つの惑星が照らそうと頼りない月光で照らす様子を俺は、少し馬鹿みたいだなと思う。
だって、幾ら考えても出来ないと分かるのに、それをしようとする。随分と滑稽な話だ。
「(まあ俺も人のことは言えないが——————)」
俺は、白い包帯が巻かれた左腕を月に向かって伸ばし、幾ら伸ばしても掴めない月に目を細める。そのどの色よりも存在感のある漆黒のローブが風で揺れ、フードが風で外される。月光のような白に近しい白銀の髪が夜に流れる静寂の風で靡き、棘の茨を持つ黒薔薇のような雰囲気を持つ華麗な美貌が露になる。
鋭く刺すような目付きに知性が垣間見える真紅の瞳。青白いと言うほどではないが白く美しい白磁の肌に、形の整った唇と鼻。どれも美しく整っているが、右目に着けている黒の眼帯が、彼の魅力を更に引き立てている。
誰かが言った。彼は、悪魔のように妖艶で、神のように神々しく、天使のように美しいと。その言われた本人は、何言ってんだコイツという目で見ていたが。
チリンと耳に付いている白銀のピアスが風で揺れて、甲高い音を鳴らす。ここは静かで心地いい。孤独は楽だ。誰よりも自由に生きれるのだから。自由は好きだ。好きなように生きれるから。
『黄昏ていルトコ悪いガ、お客様ダぞ』
「(黄昏てない。風評被害だ!)」
おどろおどろしいカタコトで僅かにノイズの入った声が、俺の頭に響いて、反射で否定してから、気配のする方向へと視線を向ける。魔力の高い芳醇な魂が—————————大体9百ぐらいだろうか。正直、たったそれだけなら来るなと言いたい。それで、俺の飢餓が治ることはないのだから。
『桁ヲ1つ間違えテイルぞ?9百ジャなくテ9千ダ』
「(そんな変わらないだろ)」
『変わるダロ』
いつものように言い合い、外れたフードを被り直して、その軍隊が俺の元へと来るのを待つ。何で俺は、ここで律儀に待ってんだろうな・・・。たったのこれだけなら逃げてもいい気がするが。まあ分かってるのに逃げたら、それこそ負けてるみたいだしいいんだが。
「見つけたぞ!!【暴食】!!」
「どっちかって言うと俺が待ってやったんだがな」
『マア、仕方ナい。コイツらニとってハ、お前ハ敵だからナ』
どの光よりも輝く金髪に正義感が籠った青の瞳の優麗な美貌を持つ男が整列された軍隊の一際前に出て、俺に向かって人差し指を指す。それを見て、俺は若干イラッとくるが、それを俺の左腕の中にいる怪物が諌める。どんなに殺しても、どんなに恐怖を植え付けても、何もなかったように俺に歯向かってくるのは、一種の馬鹿なんじゃないかと俺は思う。まあ俺にとっては都合がいいが。
「来い、【気の狂った捕食者】」
『フフフ——————サァ、楽しい楽シイ食事の時間ダ』
横に伸ばした左腕に巻かれた包帯が解かれ、左手に漆黒の大鎌が現れる。それは、俺の中に居座る飢餓の怪物。ギョロリと大鎌に付いている真紅の目が動き、気味の悪い口が糸を引きながら開く。見ただけで背筋が凍るような異形の大鎌に、見るもの全ての顔が引き攣り、一歩後退る。
「・・・これを見ただけで後退るのか。期待はしてなかったが、流石に鍛え直しきた方がいいぞ」
『ソうダナ。オレから滲ミ出ていル、威圧と狂気だケデ恐怖するナラ、オレ達にハ勝てナイ』
淡々と呆れも失望も何も滲まない透き通る声で、呟いた俺に当然だと言うように同意する。その様子が気に入らなかったのか、怒りの滲む目で金髪の男が俺を真っ直ぐに睨む。俺達を舐め過ぎだろと流石に呆れて、俺は目を細めて溜息を吐く。俺達をただ能力の高い、脳の低い馬鹿だとでも思っているのだろうか。それこそ、馬鹿な奴だろう。
「総員、魔法を放て!!我ら、正義の十字架の力を知らしめるぞ!!」
そんな掛け声と共に一斉に魔法が放たれ、俺は左手に持った大鎌を前に出して縦に回転させ、通常では弾かれるであろう様々な種類の魔法を大鎌を通して喰らって吸収し、防御する。まあ防御なんてしなくても余裕で耐えるんだが・・・痛いのは嫌だし、痛みは思考を鈍らせるからな。というか、そんなことよりも気になってることがあるんだが・・・。
「厨二病?」
「お前には言われたくないわ!」
さっきから気になっていたことを我慢出来ずに呟くと、態々この魔法が飛び交い爆音がなる中から聞き出し、相手が堪らず吼えるように叫ぶ。何で態々、この爆音の中で叫んだのか・・・。図星か?自分でも思っているから否定はしなかったのか?
「俺だってこんな厨二病チックな格好なんてしたくなかったっての・・・」
痛いところを突かれ、少しばかり疲れたような顔を見せながら溜息を大きく吐く。その間も魔法は絶え間なく撃たれ続け、俺は余裕で魔法を吸収し続ける。ワンパターン過ぎて、すぐに防ぎ続けるのに飽き、大鎌を回転させるのを止め、横に力強く振るって、一度その場にある魔法を全て吸収してから、その場から地を蹴って駆け出す。俺に着弾しそうになる魔法は、大鎌で斬り裂いて喰らい、今まで喰らった魔法の魔力を糧に能力を発動させる。
「【悲惨な手】」
何もない俺の後ろから、東京スカイツリーにも及ぶであろう大きさの白骨化した右腕が出現し、踏み潰そうと手を振り上げて軍隊のど真ん中に叩きつける。軍隊の3分の2が逃げられずに圧殺され、倒された証である青白い光——————所謂、魂が俺の元へと集まり、大鎌へと吸収されていく。
『なかナカ美味イナ。でも、満腹にハなりそウモ無イ。時間の無駄ダ。さっさト片付ケルぞ』
「分かってる。【飢餓10%】」
ルナに急かされるので、仕方なく大鎌に宿る飢餓の力を僅かに引き出して、辺り一体を枯れ地にすると同時に残りの人達の魂を一気に喰らう。辺りは一気に荒野と化し、水も木々も草花も何も生えない枯れ果てた死の大地となった。正直、毎回これをするのは好きじゃ無い。死の大地から回復するのに大分時間が掛かるし、全力で力を解放すれば、満腹にはなるだろうけど他の人間達が鬱陶しい。やるのは楽だが、後が面倒という典型的な問題だ。もう少し力に融通が効けばいいんだがな。
『こレかラどうスルんダ?』
ルナが俺に向かってそう問いかけ、俺は一度その場で熟考する。俺がここに居たのは、ただの気まぐれで、何か面白いことが起きればいいなというテンション感だった。運営からのお願いでも、ただ達成目標を指定してくるだけなので、その間の作戦は俺の好きなようにしていい。異常行動、凶悪犯罪、どんなことをしてもその元から持っている目標とは別の指定された目標を達成出来ればそれでいい。そろそろ、目標を指定されそうな時期ではある・・・近くの町に潜伏しようか。
「近くの町に潜伏する。そろそろ、[お願い]されそうな時期だからな」
『了解ダ。魔神様も人使イが荒いナ』
「まあ仕方ない。自分で動けないからな」
大鎌を左腕に一旦封印し、解けた包帯を左腕に描かれた禍々しい真紅の紋様が見えないように巻いて、魔物の証である真紅の瞳を髪と同じ白銀の色に変え、漆黒のローブをその場で脱ぐ。これで、【暴食】だと確信出来る情報は、無くなった。
「さぁ行くか」
『バレないヨウにシロよ?勘が鋭イ奴ガ時々いるカらナ』
「分かってる」
俺は、ルナからの忠告を素直に受け取り、誰にも見られないように霊体化する。霊感が高い奴にはバレることがあるが、霊感が高い奴は珍しくからそこまで警戒はしなくていい。そんなことを思考の片隅に置き、闇に紛れるように浮遊して姿を消す。
これは、最強——————いや、最凶な彼がするかもしれない一幕である。誰よりも冷酷で、誰よりもカリスマ的な彼は、魔神から[お願い]されて世界を混沌へと導いていく——————かもしれない物語である。




