1.序章
ヘリコプターの中で耳にしたイヤモニから司令官の声がした。
『分かっていると思うが、今回の任務は世界の命運を分ける、お前が最後の砦だ、頼んだぞ』
俺は心の中で
「はいはい、頼まれましたよ」
とだけ返事をし、イヤモニを外した。
すると今度は操縦席から声を掛けられた
『日本の英雄さん、出番でっせ!』
操縦席から腕を伸ばした彼は親指を立ててそう言うとヘリコプターの大きな扉を開いた。
ヘリコプターから見える景色は地獄そのものだった。
戦車を始めとした重機、戦闘機、最新型のドローン兵器、地形を変えるほどの大爆発と共に推定数百人の命が一瞬で無くなる様に思える。
爆風の中、全身緑色の数mは体長のある怪物が爆発を物ともせず、戦車を持ち上げてぶん投げていた。
「はぁ、気だるいなぁ
2か国対1人だろ?どんなバカな小説家だってもっとマシなストーリーを書くと思うんだよ」
俺がため息に弱音を吐くとすかさず
『そうだな、内容はめちゃくちゃだけどこの物語は結末がハッピーエンドになると思うぜ?』
操縦士の気の良い言葉を背に俺は扉の前に立った。
「OK、エンドロールにはお兄さんの名前も載せておくよ」
俺はそう言い残すと眼下の地獄に飛び下りた。
地獄で警察ごっこをするんだ、死んだら天国に行けるに違いない。
俺は少しでも気を良くするためそう思い込むと全身で激しく風を切りながら眼下に目掛けて一直線に落ちていった。
これは後に学校の教科書で『英雄』と評される様になる、1人の男の何て事の無いただの英雄譚
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ある夏の外に出るだけで汗が身体にへばり付くような感覚になる程ムシムシと湿気た日。
世界の各地で一斉にとある超常現象が起きていた。
突然世界各国でゲームや本の中でしか存在しなかった魔法を使う者が現れ出したのだ。
世間がこれを広く認知する前に、ある者はSNSで、ある者は街頭で掌から野球ボールほどの炎を出したり、手から水をコップに注いだりと披露した。
当然瞬く間にこの現象は拡散され、世界各国のメディアがこの現象を取り扱った。
現在、一般国民に公開されているこの現象の情報は下記である。
1.夏のとある日を境におよそ1万人に1人程の割合で特異能力を発現させた者がいる。彼らをまとめてギフテットと名称する。
2.ギフテット発現者には法則性は無い。年齢性別国籍もまばらであり、幼児に発現した例もある。
3.ギフテットは2種類に分類できる。
この内炎を扱う者を火炎師、水を扱う者を水流師とする。
ギフテットの中には町で暴れる者も出た。
彼らはある日突然手に入った力にハイになり、自分が有力者である事を民衆に知らしめるため本能の限りの暴れまわった。
特に火炎師の暴走は凶悪で、町の至る所に火をつけた。
けたたましいサイレンのと共に、町は大混乱に陥っていた。
後にギフテット対策特殊部隊の創設者となる、水流師の彼女が居なければ日本は再起不能になっていたであろう。
そんな数億年続いた地球の歴史上最も大きな変革を前に世界は大きく変わろうとしていた。
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ヨコヤマリュウイチはネットで超常現象について一通り調べ終えた後、深いため息をついた。
「はぁ、これは面倒な事になったな」
そう呟くと彼は布団から身体を起こし、暗い部屋のカーテン方向に手を伸ばしてブンッと軽く腕を振った。
途端、締め切った部屋の中で突風が起こりカーテンがピシャッと開いた。
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