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第1章 第3節 警察……?

ニュースの映像からの爆発音に水瀬、佐竹、左良井の三人は目をとられ固まっていた。

「仕事だ、お前ら。固まってないで準備しろ」

 奥の部屋から現れた色黒な男は、固まっている三人に活を入れるように低く力強い声色で言った。三人は、男に気付くや否や勢いよく立ち上がり、背筋を正して敬礼した。

「おはようございます、柳瀬さん」

「挨拶はいいから仕事に取り掛かりな。いつも通り、水瀬がサポーター、左良井はバックアップ、佐竹は現場の援護に向かえ」

 柳瀬が言い終わると同時に通信が入ったことを伝えるアラームが鳴り響いた。

「ほら、小野寺からの通信だ。迅速に取り掛かれ」

 柳瀬の指示に三人は同時に承認の意を示し、それぞれ自分の役割を果たすべく、飲みかけのコーヒーをテーブルに残して動き出した。水瀬と左良井は柳瀬の出てきた部屋のさらに奥の部屋へ駆け込み、それぞれの席に着く。水瀬は、手元の通信と表されたボタンを押し、すぐさま小野寺との連絡を開始した。佐竹は、現場の援護に向かうため、掛けてあったジャンバーを乱暴に掴み、袖に腕を通しながら部屋を出て行った。

 小野寺からの通信で爆破テロの現状を把握した水瀬と左良井は、犯行グループの戦力確認を開始した。

「アイボットの使用を確認した。十分程度で配置されるだろう。左良井さん、衛星に座標を送ってスキャンを進めてください」

「範囲は?」

「半径五百メートルでお願いします」

 了解、と左良井は水瀬の指示を聞くと、デスクのキーボードをものすごいスピードで叩き始めた。水瀬は、左良井がキーボードを叩く音を後ろに聞きながら部屋中のモニターを起動させ、現場の映像を確認する。小野寺の横についた護送車が通信機能抑制装置を展開したことを確認し、左良井にスキャンの進行を確認する。

「完了したよ。いくつか映像出すね」

 そう言った左良井が軽快にキーボードを叩くと、先ほど起動した部屋中のモニターが一斉に光り始めた。部屋のモニターは全部で十七台。正面に九台と左右に四台ずつ設置されている。映し出された映像は、まるでビデオカメラで走りながら周囲の映像を撮っているような映像ばかりだった。

「範囲中にいる人の数は?」

「百五十人です」

「絞るか。動いている人の映像をカット。まずは狙撃手を確認する」

 水瀬の指示を聞いて、再び左良井はキーボードを叩く。そして、作業の終わりを知らせるように最後にエンターキーを力強く叩いた。

「フィルターに掛かったのは三十人です」

 結果を水瀬に報告する。そして、モニターには先ほどとは違い、ほとんど動きのない映像が映し出された。

「いた。五番と八番、それに十番だ」

 水瀬の言った番号のモニターに映っている映像にはどれもレンズ越しに新総理の乗ったワゴン車が写っていた。映像は、ワゴン車から一切動かない。狙撃者はかなり集中しているようだ。これは、相当訓練されているな。

「狙撃手の情報を小野寺さんに送る。その間に左良井さんはほかの仲間を確認してください」

 水瀬は、手元の通信ボタンを押し、小野寺の番号を打つ。小野寺の返事を聞いてから水瀬は情報を伝えた。

「小野寺さん。狙撃手の確認をしました。人数は三人。座標は今送ったファイルの個所です」

 小野寺は、ポケットからタブレットを取り出し、水瀬から届いたファイルを開く。そこには、本庁周辺の地図がのっており、三か所が赤く光っている。

「確認した。それで、相手の人数はわかったか。そろそろ動かねえと、なんだか嫌な予感がする」

「今確認中。もう少し待ってください。左良井が洗っています。とりあえず、狙撃の対策だけしておいてください。また、連絡します」

 通信を切って水瀬は左良井に結果を聞いた。

「それが、不審な動きをしている人は二、三人見つけたのですが、……」

 左良井にしては珍しく、歯切れの悪い言い回しだ。

「なんです。何か気になることでも」

「それが、確認した人たちは、みな警察官なんです」

「警察……?」


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