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望むはただ平穏なる日々  作者: 素人Lv1
学院 編
33/90

33 賢き森の民

4/19 文章表現に御指摘ありましたので修正しました

 「判決、強制労働10年」


 ちょっと待て、何も変わって無いじゃねえか。


 「どう言う事よ、この里を救った恩人に対して」

 傍聴席のメリオラから異議の声が上がる。


 そうだ、もっと言ってやれ。


 「命がけで魔獣の封印に尽力してくれた事には感謝している

  だが、罪ある者を罰しないという前例を作ることは出来ない」

 

 「その通り、信賞必罰は世の慣わし、ソレはソレ、コレはコレっだ」


 冗談じゃないぜ。


 



 魔獣の再封印に成功した俺達は、まず治療と回復に努めた。


 ヴァルヘイムの全身火傷をはじめ、俺もアリシアもキズだらけだった。

 

 最後に美味しいところを攫っていったメリオラも、ファーストコンタクトで肋骨をやられていたらしい。


 「出番待ちだった訳じゃないのか?」

 「ホントにキミとは一度キチッリ話を着けなければダメだよね」

 そんな冗談を言いながら笑い合う。


 

 「どうした?何か心配事でも有るのか?」


 皆が笑顔の中、アーシェだけが難しそうな顔をしている。


 「心配事というか、ちょっと解せない事が合ってね」

 「ん?」

 「弱すぎる」

 「え?」

 「伝説にある魔獣は、この戦力でどうにかなる相手じゃないなのよ」

 「復活直後だったからじゃないのか?」

 「かもしれないわね、まあ、ちょっと気になっただけよ」

 「気にしないで」と笑顔を向けてくるアーシェスだが、確かにその点は俺も気になった


 かつて上位精霊エアルから聞いた、『大陸を滅ぼしかけた魔獣』というのが奴の事なら、俺達だけでどうにか出来る筈は無い。


 考えれば考えるほど、不安が湧き上がってくる。


 だが、今は根拠の無い不安に振り回されるより、皆で勝利を祝おう。

 

 そう決めると、笑い合う皆の輪の中に戻り、封印された『核』を落として踏んづけるメリオラを蹴り飛ばした。


 「おまっ!封印が解けたらどうすんだよ!もう、暫くは戦いたくないぞ」

 「ご、ごめん。気を付けるから、気を付けるからもう一回見せてよ」


 取り上げられた『核』を取り戻そうとするメリオラを

 「ダメだ、お前はイマイチ信用ならん」

 アリシアが羽交締めにする。


 「「拘束バインド」」

 ナタリアとマシウスの拘束魔法で身動きの取れなくなったメリオラを芋虫の様に転がし、エルフの増援部隊の到着を待った。



 


 エルフの集落に戻った俺達を待っていたのは集落総出の歓待だった。

 

 前回がお縄になった犯罪者だった為、まさしく雲泥の差というやつだろう。


 「調子の良い連中だ」

 そう、嘯きながらもヴァルヘイムも満更では無さそうだった。


 

 その晩は、祝宴となった。


 先発隊として派遣した10人が犠牲となっている為、派手なものでは無かったが、参加者は皆明るい顔をしていた。


 尊敬と感謝の念の殆どが、ハイエルフのアーシェに向いているようだった。


 俺達に対しては「よく分からんが、お前らも良くやったよ。知らんけど」という感じだったが、何人ものエルフがお酌に来てくれた。


 「今日は飲んでも良いんだよな?」そんな視線のアリシアに「程々にな」と視線を返す。

 

 「あまりお酒は得意じゃないんで」とカマトトぶるナタリアに「ホントに(スイッチ入ると)大変な事になるんで」と俺からも断りを入れる。


 皆が楽しそうに杯を重ねていく。


 美形揃いのエルフにお酌をしてもらうのは悪くない。

 

 ただ、問題は

 「顔の見分けがつかん」


 何人ものエルフが名乗っていくが、誰が誰なのかがサッパリだった。



 その後、『核』については、エルフの本拠地とも言える『大森林』にて厳重に封印される事となった。


 大森林まではアーシェが運ぶ、という事になり

 「大森林でしっかりと封印してきたら、すぐ戻ってくるから、そしたらゆっくり話をしましょう」

 と、デートのお誘いがあった。


 はい、喜んで。

 超絶美人でナイスバディーのアルシェイラスさん。

 薄着が好きなのか、昔はいつも胸元がザックリ開いていて大好きでした。


 何故かジト目で見てくる女性陣の視線を受け流し、与えられた部屋に戻り、その日は眠りについた。




 翌日、エルフの長老より昨日、アーシェ預かりとなった裁判をやり直すとの通達が合った。


 細かな内容は既に話されている為、開口一番で判決となり、話は冒頭に戻る。


 


 「判決の強制労働10年には変わりは無い」


 おいおい、暴れちゃうよ俺、良いだな?


 そんな事を思っていると、悪戯っぽく笑うアーシェが視界に入った。

 何か企んでるな。


 「だが、しかし」


 ん?しかし、なんだ?


 「彼らに悪意が無かったことは十分に理解が出来た。

  そこで、刑の執行を暫く延期とする」


 延期?中止にしろよ。


 「延期の期間は百年とする」


 「ハア?え~と100年?って事は・・・」

 実質的には刑の執行はしないって事ね。


 「こんな所でどうかな?愚かで傲慢な、素晴らしき人間よ」

 手放しで褒めてはくれないんだな。


 「ああ、まぁまぁな判決かな。偏屈で、誇り高きエルフの長老」

 

 議場が拍手と喝采に包まれる。


 なにを「よっ!名裁き」なんて囃し立ててんだメリオラ。

 基本お前の責任なんだからな、分かってんのか?


 そんな馬鹿メリオラに呆れながら視線を前に向けると、ニヤリと笑う長老衆と目が合った。


 俺も静かに頷くと拍手を送った。


 なかなかやってくれるじゃないか『賢き森の民』。

 

一応、魔獣騒動終了です


次回はサイドキャラ主役の話になる予定です


感想・御指摘等ありましたら

宜しくお願い致します

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