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望むはただ平穏なる日々  作者: 素人Lv1
学院 編
21/90

21 メリオラはKY(空気は読まない)

 俺たちが地下20階に辿り着いたのは、日が沈みきる頃だった。

 

 17階にてメリオラの連れて来たモンスターの大群を、俺とアリシアが入口で足止めし、ナタリアとマシウスの魔法によるクロスファイヤーで圧倒し、メリオラの爆炎で殲滅した。


「ボク等の敵じゃないね!」

 っとドヤ顔で決めた馬鹿メリオラを皆でしばいたのは言うまでも無い。


 その後も『モンスター発生』の罠にかかったり『時限爆弾つきパズル』を持ってきたり、っと大活躍の問題児メリオラ

「パーティメンバーの再考が必要か?」

「武芸科にはまともで腕の立つ人は居ないんですか?」

「おい、コイツを武芸科の標準にするな」

「しょうがないよ。体鍛えすぎて脳まで筋肉になちゃったんでしょ?」

 自身どころか、武芸科全般の評価まで下落していく。

 

「なんかキミ達のボクの扱いひどくない!?」 


 そんな緊張感の欠片も無いまま20階まで到達してしまった。

 

 こんなんで良いのか?地下迷宮。

 これじゃあ、地下50階まで楽勝だなっと楽観視するメンバーに

「こんなレベルが続くはず無いじゃないですか。19階までは学生の為の初心者モードですよ」

 迷宮マニアでもあるマシウスが嗜める。

 

 20階までは単なる肩慣らしの様でモンスターも大物は出てこないらしい。


 本番は明日以降。

 

 無理して先に進んでも良かったのだが、明日の授業も有る、「お腹が空いた」と喚く馬鹿もいる。

 今日は帰ろうっと満場一致で可決する。

 

 20階の転移陣から迷宮入口へと戻ると、既に日は沈んでいた。


「本日の反省会」

 そう題した夕食で、最初に口火を切ったのは意外にもナタリアだった。


「このメンバーだとバランスが悪いんじゃないかな?」

「そうですね。前衛が3人とも近接攻撃型で壁役がいないですからね」

「それと後衛の火力もね。私自身補助がメインだし、マシウス君も火力としては普通だし」

「火力ならボクに任せれば良いよ!」

「となると、必要なのは壁役と火力を担う人材か?」

「僕たちがその技量を身につけるという選択肢も有りますがね」

「なぁ、火力担当はボクがいるよ。ねぇ?」

「新しい人員の募集をしながら、今のメンバーで行ってみるしかないんじゃないか?」

「だとしても、メンバーの役割分担は、はっきりさせなければいけませんね」

「はい、はい、ボク火力担当!」

「「「うるさい」」」

 せめて遠距離攻撃が出来るようになってから言え。



 騒がしい、炎大好きボクっ娘を黙らせると、パーティの構成、役割分担、フォーメーション等、今後の方針を話し込んだ。


 結論

 増員は必要。特に壁役。

 それぞれの得意距離、得意分野を理解すること。

 問題児メリオラが暴走しないように見張ること。


 その辺が重要だという事になった。


 

「また明日ねー」

「20階以降は別世界だと思っておいて下さいね」

「朝稽古はいつもの所だからな」


 挨拶を交わし、それぞれの寮へと向かう。


 俺とメリオラは同じ第3寮の為、寮までは一緒だ。


 夕食の途中からうつむいたままのメリオラに、さすがに言い過ぎたかっと心配になる。


「メリオラ、お前の実力は皆分かってるけど、迷宮ではちょっとのミスが命取りになるからな?慎重になって欲しいんだよ。お前が大怪我をしない為にも」


 無難な言葉を選んで、フォローを入れる。


「なぁ、ヒロ、ボクさずっと悩んでたんだけど・・・」


 なんだ?「パーティを抜ける」か?困るぞ。なんのかんので戦力としては破格だし、それとも、「皆と上手くやって行けそうに無い」か?皆に優しくしてやる様に言うか。

 しかたない、何とかフォローしてやるか。


「なんだ?言ってみろよ」





「『邪王炎殺拳』とかカッコ良くない?」


 お前は、何を悩んでたんだいったい。 

 しかも、どっかで聞いた技名だし。


「なぁ、お前もしかして、『元・日本人』じゃないのか?」


「ん?モトニホン人?違うよ。両親ともにミスラ人だよ」


 きっと記憶が無いだけで、前世は日本人だな。しかも生粋の漫画好きだったんだろうな。


「まぁいいさ。んで?最終奥儀は『炎殺黒龍波』か?」


「ああ、いいねー。黒炎の龍かー。カッコいいねー」


「ただし、使用すると代償に腕一本を黒龍に食われるけどな」


「おー、四肢を代償にする技か、1つは欲しいよね?そういうの」

 キラキラした目で見つめてくる。


「いや、いらね~から。そんな危険な技」

 苦笑いしながらツッコミをいれる。


「えーやっぱり、強力な技には犠牲が無いと燃えないよー」


「燃えなくて良いんだよ」


「じゃあさー・・・


 馬鹿な自爆技を考えながらメリオラと寮に帰った。


 この時の会話がヒントになって遠距離攻撃『龍王炎殺覇』を彼女が編み出したのは、後の話。


 


「やっぱり目から怪光線ぐらいは欲しいよね」

 

 なんの為に?

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