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望むはただ平穏なる日々  作者: 素人Lv1
学院 編
19/90

19 ギルドの主

6/22 誤字訂正

 何でこうなった?

 右手をつかむのは、美人女子学生剣士アリシアさん。

 左手をつかむのは、美人ギルド受付嬢リューネさん。


 男の夢である『両手に華』だ。

 しかも、簡単には手に入らない高嶺の花だ。

 

 なのに、全く嬉しくない。

 むしろ、ご遠慮させていただきたい。


「おい、用事があると言っていただろう?邪魔をするな」

「アナタと一緒に行くとは言ってい無かったですよ?」

「あの、俺を挟んでもめるの止めてもらっていい?」

「ほら、邪魔をするなと言っているぞ」

「ええ、早く帰れと言ってますね」


 視線からバチバチ火花を飛び散らせる二人に挟まれ、俺の心のHPがガシガシ減っていく。


(もう良い、今後のことは考えず、力ずくで振り切り逃げよう)


 俺が、決意を固め実行に移そうとした時。


「ギルドでイチャつくな、クソガキ共が!」


 すぐ後ろから掛けられた声に振り向くと

「あれ? 誰も居ない?」

 誰の姿も見えなかった。


「下だクソガキ」

 

 下から聞こえる声に視線を下げると、一人の男性がいた。

 小柄ながら筋骨隆々な体、豪勢な髭、右手に持った酒瓶。

 

 ドワーフだな。


「なんか文句でも有んのか?」

 右手の酒瓶に向いた視線に文句をつけられる。


「大有りです。真昼間から何をまたお酒飲もうとしてるんですか!?」

 リューネさんが、口を尖らせ注意する。


「別に大した事じゃねーよ、いつもの事だろ」

 どうやら、よくある事の様だ。


「支部長がそんなんじゃ他の職員に示しがつきません!」

「いいんだよ。示しなんざつけなくても。お前ぇ等がやりてー様にやりゃぁ良いんだよ」

 ずいぶん豪快なオッサンだな。


「支部長?」

「おうよ。フェルディール支部、支部長のエルドラ・グラハムだ。テメーは?」

「今日登録した、ヒロです」

「新入りか?年は?」

「15ですけど」

「よし、なら付き合え。そっちの嬢ちゃんは?」

 そういうと俺たちに向けて酒瓶を突き出してくる。

 

「いいだろ。飲んだことは無いが、付き合ってやろう」

 なんで上から目線なんだアリシア?

 

「15歳で酒精解禁となるとは言え、学生なんだが?」

「馬鹿言ってんじゃねぇ、冒険者になったんなら酒を呑めんのが最低条件だ」

「良いじゃないか、どうせ明日も休みだ、私の稽古に付き合う以外の予定は無いだろ?」

「そんな予定も無いけどな」

 まぁ、実家で祖父じいさんの晩酌に付き合ったことは有るから飲めるけど。


「支部長、まだ仕事中なんですけど?」

「あ?俺はギルドに居る事が仕事なんだよ。呑んでんのか、書類書いてんのかは関係ねぇんだよ」

「そんな事言ってると、副支部長に言いつけますよ?」

「ハッ!マリーは来週末まで戻ってこねぇよ」

 

「私が居なかったら、何だって言うんですか?」

 

 ビシッ

 それまで、陽気に笑っていたエルドラの顔が固まり、大量の汗が流れ落ちる。

 

「お、おう、マリーどうしたんだ?確か王都に行ってる筈じゃあ?」

「ええ行きますよ。明日から、ね。

 で?支部長その右手の物は?」

「お、おう、これは」

「これは?」

「その・・・」

「その?」

「・・・」

「・・・・」

「スマン、気を付ける」

「お願いします」


 どうやらこの支部は、問題ありの支部長を副支部長が操って切り盛りしている様だ。


「よしガキ共、今日はお前らの親睦会だ。飲みに行くぞ、お前ぇ等」

 気を取り直したエルドラが再び、飲むぞ宣言をした。

「親睦会ですか?結構ですね。その前に確認なんですが、支部長?

 判子を押すだけで、完了する所まで進めてある仕事を山ほどお渡しした筈ですが?

 もう終わったのですか?素晴らしいですね。流石です」

「な、何も今日全部片付け無ぇでもいいだろぅが?」

「そうですね。毎日少しずつ片付けてくれれば結構です。毎日・・ね」


「分ーたよ。今日の分終わらせりゃあ良いんだろ」

「分かって頂けて幸いです」


 ドスドスと戻っていく支部長エルドラ

 ヤレヤレと嘆息する副支部長マリー


 エルドラを見送っていたマリーが、こちらを向き告げる。

「リューネ、あなたも仕事に戻りなさい」

「はーい」

「来週末まで、あの支部長のんだくれをお願いしますね?」

「いや、それはちょっと無理じゃないですかね?」

 苦笑いをしながらカウンターに戻っていく。


「大変ですね?」

 苦労していそうな副支部長に労いの声を掛ける。

 

「もう慣れましたよ。

 申し送れましたね、副支部長のマリアベル・リーンハイムです」

「新人のヒロです」

「同じくアリシア・レイアスだ」

「フェルディールは学生の町です。若い冒険者は沢山いますよ。負けないように頑張って下さい」

 そう言うと真の『ギルドの主』も奥へと戻っていった。


「は~、俺達も帰るか」

 イロイロ疲れたので今日はもう帰ろう。

 出口へと向かうと、アリシアがボソっと呟いた。


「飲んでみたかったのに」


 飲みたかったのかよ。

毎日投稿がこんなに難しいとは・・・


これからもがんばって更新しますので


お付き合い下さい



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