瞬く
作者「課題が多くて忙しいって理由で、2週間も黙休みした作者がいるらしい。イッタイダレダロ」
【桐島 剛】
「安心して、僕が終わらせるから。」
……今目の前にいるのは、本当に進なのか?
見た目は全く同じで、俺が付与した氷魔法を使っているのは確かだ。
だが、何かが違う。
勇気の仮面なしで、ちゃんとコミュニケーションが取れている進を見ると、違和感しかない。
「シャロォン!」
「くっ、進危な……」
「シャ……ロォォォ……」
「っ!?」
……何が起こったか、全く分からなかった。
モンスターの体が、一瞬にして氷漬けになっていた。
それも、逃げる場所を残さないよう全体的に。
「……進!?」
「え、一体何が……!?」
進は、攻撃する素振りすら見せていない。
手をかざす素振りも、魔法を使う構えも。
そして……進からは氷の魔力すら感じなかった。
一体どうなってるんだ……?
【主催者の男】
「っ!?まずいですよ!?進があり得ない位強くなってますよ!?」
「……Xから聞いたが、この世界のかつての神”カグラ”がそうさせたらしいな。」
「あのキメラ、清水を食べたから、紫の飴で能力を継承する可能性が……!」
「確かにまずいな。進と自我を持ったXの分身、この二人の記憶は上手い感じに消せたが、かつて麻生が持っていた”心読み”が進らに渡ったら……あいつを出すか。」
「え、もうですか!?」
【渡辺 進】
「……はぁっ!」
僕は空に浮かぶモンスターを氷漬けにして、その氷を……
「ふっ!」
大きな氷の丸太を形成して潰した。
飛び散った体は全て固体となって動かない。再生したりはしないと思う。
「ふぅ……」
渡辺 進として戦ったのは、18年ぶりになる。
体が成長に追いついてないから、全力は出せそうにない。
もっと強くならないと……
「おい、進……?」
戦いが終わった僕に真っ先に話しかけたのは剛だった。
「何というか、まぁ……まるで人が変わったようだな。別人レベルで強くなってるし。」
「……死んでから色々あったからね。」
チオニスとして異世界を生きた18年間、剛に言った方が良いのかな?
(……言わない方が良いんじゃないか?)
クロちゃんがそう言ったので、隠すことにした。
「これ、勇気の仮面だが……今のお前に必要か?」
僕が死んでから持っててくれたみたいだ。
異世界でコミュ力を鍛えたから、今は必要ないかもしれないけど……
「取っといてくれるとありがたいかな。」
「分かった……本当に何があったんだ……?」
剛はアイテムボックスに勇気の仮面を入れた。
それにしても、剛だけじゃなく井東も大西も割橋も、18年ぶりに顔を……
「……りーくん……だよね?」
……誰ぇ?
本当に記憶にない女子が、よく分からないあだ名で呼びかけてきた。
(……結じゃなかったか?豚田に洗脳されてて、お前を演じた俺と戦った。)
結……結……
確か、時間停止の人だっけ?
黒髪で、アニメから出てきた人みたいに顔が整っていて、胸が少し大きい。
……本当に、結という名前と持っていた能力。
それから僕の体を使ったクロちゃんが殺したという記憶しかない。
「えーっと……?」
「な、なぁ進?知り合いなのか?それに”りーくん”って……」
「……りいいいいいいいくうううううん!」
「うっ!?」
結がいきなり僕に抱き着いてきた。
……どういう事ぉ!?
「……へへっ、大きくなったけどこの安心する臭いは変わらないねぇー。」
「?????????」
いきなりの出来事に言葉が出ない。
どこかで会っただろうか?
「ねぇねぇ、久しぶりによしよししてぇー!」
(ムギュッ)
「……。」
胸が当たってるんだけど。
どうしたらいいか分からなかった僕は、とりあえず言われた通りに頭を撫で……
「……ねぇ、違うでしょ?」
「……え?」
「りーくん、いつも私によしよしする時、右手で撫でてるでしょ?何で左手で撫でてるの?」
「……え、何」
「もしかしてりーくんじゃないの?でも臭いはりーくん、それにその顔つきも私が想像した大人のりーくんと同じ。ねぇ、あなたはりーくんなの?それとも私の事忘れちゃったの?ねぇ、ねぇ!」
「……え」
これがヤンデレっていうものですか?
撫でる手が違っただけだよね?というかまずりーくんって何?
(カグラが言ってた”幼馴染”なんじゃないか?)
あーそういうこと?
でも僕と幼馴染って……
よく分からないので、僕は結にこう言った。
「……さっきからついてこれてないんだけど、君は誰?」
「……え?」
結の目が急に真っ黒になる。
……目のハイライトはどうやって消してるんだろうか。
「僕が未神 遼二って名前で昔生きてたのは知ってて、八歳の時に僕が死んじゃったらしいね。でもこうして生きてるんだけど、八歳までの記憶が全くないんだよね。君は幼馴染か何か?」
「……なんで」
「え?」
「なんで!!」
「……ぎぃ!?」
急に力が強くなって、僕に離れる隙を与えない。
そんなに強いなら、あのモンスターを倒せたんじゃ……?
「なんで死んだ位で私の事忘れるの!?私は死んでからもずっとりーくんの事を考えてたんだよ!?生きてた時も、ずっと、ずっとりーくんの事を愛してて、りーくんも私を愛してくれたのに!?なんでそんなあっさり忘れるの!?死んでから私の事どうでも良くなったの!?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
「……おい、進?」
抱き着かれた時は近くで頬を染めていた剛だったが、今は心配してくれている。
「ごめん、本当に覚えてな……」
(パリィン!)
「……っ!?」
急に何かが割れる音がした。
少なくとも、僕と結に関する音ではない。
音がしたのは……モンスターの死体からだ。
「な、何ですかこれ!?」
井東が見てるところに視線を合わせる。
そこには、”宙に浮かぶ10枚のクッキー”があった。
「これは何だ?」
割橋がその内の2枚を手に取ったその時。
(ビュウウウン!)
「……何だ?」
黒い光に覆われた誰かが、1枚だけ回収した。
「……これをお前たちに渡すことはできない。」
「……誰だ?」
「……ミスターZ。」
ミスターZ?
自己紹介が済んだ途端、彼はすぐに去って行った。
進(遼二)に少しヤンデレっぽさをちらつかせてる結。
その一方で、キメラが落としたのは紫の飴ではなく、クッキーだった!
そしてミスターZがその内の1枚だけを回収したが、この10枚のクッキーは一体!?
次回『分ける』
つづく!




