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112 鮮血航路 (改訂-5)

【鮮血航路】をお送りします。


宜しくお願いします!

 走り続けるのは好きだった。


 幼少期は鞍馬寺に預けてられ、


 軟禁状態で過ごした反動かもしれない。


 奥州平泉に行ってからは、乗馬に魅了された。


 初めて世界の広さを感じた。


「……あれか?! 」



 九郎はかすかに見える敵軍の動きを捉えた。妖魔軍の一番端に位置する場所だ。戦術的にはあまり意味を持たない場所である筈が、強い赤点を感知した為、九郎は何かがあると言う直感に従った。大量の鳥達の死骸が点在する。毒でも散布したのか?



「……何か、小屋みたいな物があるな? 」



 ウィリアムも鳥肌がたつ自身の直感を無視出来なかった。背中の大剣を抜き、臨戦態勢を整える。経験的に警報が頭の中で鳴り響く。



「抜刀!! 敵軍団の側面から切り込む!! 」



 五千騎に及ぶ怒涛の進軍に、敵も混乱をきたした。敵の妖魔は約三千ほどの為、包囲殲滅を九郎は選択する。



「……弱兵とは言え、油断はするな! 各個撃破しろ! 」



 だがその中に、一体変な物がいた。巨大な食虫植物の様な化け物だ、腹に牙のある口を備え、触手で騎士を捕まえようとする。赤点の正体はこれか。

 ウィリアムが神霊力を込めて一気に切り裂く! 



「波動剣!! 」

 


 刀身から放たれた金色の波動が、触手の化け物を真っ二つに切り裂いた!



 ものの数分で、敵を殲滅した九郎は、こちらの動きを察知させない為に、敵の逃走を許さなかった。



「……何だ? この建物は? 」



 ジレが建物の裏側へまわる。丸太を組んだ簡単な四角い建物、扉などは付いていない。そのかわり中から、真下に穴が掘られ、梯子がかけられている。部下から松明を受け取り、穴の底に落としてみた。



「……およそ10メルデぐらいか……そこから南西に……」



 騎士の中から数人が地下に降りて、確認したところ、底はかなり広く、三人が両手を広げて歩けるほどの横幅があった。そのまま南西の方角に掘り穴は続いている。何処まで続いているのか? その壁面を植物の根がびっしりと覆っていた。




「……ちぃ! いや〜な予感が当たったな……奴らヴァイアの街の方角に穴を掘ってやがる! 」

九郎は親指の爪を噛む。いつから? この感じはかなり前から準備していた筈だ……いや、そんな事を考えても意味は無い。



「……直ぐにヴァイアとカルーナに知らせを出せ! 俺たちはこのまま、西に向かって、敵の拠点を潰して回るぞ! 」

 いち早く、肩に乗っていたマーリンの使い魔がヴァイアに向かって飛び立った。




「ジレ! そういえば、ウィリアムのおっさんが、さっき波動剣って叫んでたよな? あれってカッコいいのか? 」



「だから、私に振らないで下さい……」




◆◇◆




 九郎が敵の拠点を東から順に五つ落として回った。その位置からヒロトは、地下道がどれくらいの規模で広がっているかを推測し、戦略モニターマップに重ねてみた。



「……不味いな……このままだと、ヴァイアの街付近にまで到達していてもおかしく無い……」



 ヒロトは大地精霊の大規模集団魔法を用いて、魔法の地震を起こす策を発令した。だが予想では二、三日ぐらいしか時間は無いだろう。



「街の中を、しらみ潰しに調査する。調査隊の編成をお願いします。あと、城壁の外側に幾つか竪穴を掘って、敵の横穴が到達しているかを確認する」

 反抗作戦前に、敵から攻め込まれるとは……情けない! 四年前にファイヤーグランドラインのレイドイベントで、同じ様な状況が発生した事を思い出した。あの時はパーティには入らずにソロで行動していて、状況判断が遅れた経験がある。だが今は九郎が前線を疾走して情報を流してくれているおかげで負担がかなり減っていると感じた。




◆◇◆



「彼奴等が気づいたか……だが計画は止まらんぞ……風魔小太郎!! ラスプーチン!! わかっているな! 」



「ははあ!! 彼奴等の首を取って参ります! 」

 風魔小太郎とラスプーチンは転送魔法陣によって姿を消した。



「……陛下、道満が異界に閉じ込められた為に、生贄が減ってしまいました。 その分、転生者の補充が必要です」

 銀髪の青年が、クレイン皇帝の耳元で語りかける。



「……ならば我が左手の小指を持って儀式を執り行え! 」

 皇帝は懐から小刀を取り出して、自ら小指を切り落とした。玉座が血塗れになっても意に介さず、呻き声もあげない。恭しくその小指を布に巻いて、男は頭を下げる。



「蘭丸……魔神はどうだ? 」



「ははあ! 八部ほどかと……あとは宝珠さえ来れば問題ありません」



「金髪の小僧が、賢しくも古代の魔道具を発掘している。それを使ってここに来る気だ、そして黒騎士もな……彼奴め、本来の力を取り戻しつつある……だが」



「はい。魔神が甦れば問題ありません。魔神に彼奴等を始末させて、その後で宝珠にて制御すれば良いのですから……」



 蘭丸と呼ばれた男の瞳の濁りは、尋常ではなかった。




【鮮血航路】をお送りしました。

蜘蛛の巣の様に張り巡らされた地下坑道。

人界は最大の危機を迎えます。

(映画 北北西に進路を取れを観ながら)



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