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113 砂塵攻防 壱 (改訂-5)

【砂塵攻防 壱】をお送りします。


宜しくお願いします!

 暗い闇の中を、


 行軍する妖魔の瞳は、


 その闇よりも更に仄暗い……


 紅い瞳だけが蠢く世界…………


 総出で街中の捜索を行っているが、範囲が広すぎる為に中々進まない。城壁の外側に竪穴を複数堀進めて、状況確認も行なっている。九郎の特別遊撃連隊も更に複数の拠点を潰して回っているが、幾つの坑道があるのかは不明だった。

 上下水道、地下室などのインフラ地図を戦術モニターマップに重ねていく。その中で重要拠点を中心に警備の兵を配置するしか方法がない。あとは城塞都市の中に敵を侵入させないように確認を、急いでいる。



「城壁外苑の掘削作業は進めているが、散発的とは言え、敵の攻撃を防ぎながらの作業の為、なかなか進まん」



 シリウス団長は頭を抱えていた。未だに敵の坑道がどこまで到達しているかを、把握出来ていなかった。それでもヒロトは可能な限りの会敵予想を考えていた。



「此処と、此処と、此処。 このポイントを重点的に作業させて下さい。また護衛の兵士も増やす必要があります」



 この三点のうち、どれかが、又は全てかが本命だと予想した。だが半分は賭けみたいな物だ。



「地下だけとは限らないしな……」



◆◇◆




 その日は霧が濃く広がっていた。

物見櫓で当直を行なっていた少年兵は真ん中に穴を開けたブランケットをすっぽり被って寒さに耐えている。到着だった兵士が死に、人手不足で駆り出されてもう一月がたった。

 霧の海の向こうで、何かが動いた様な気がした。双眼鏡が役に立たない。



「…… 何だろ? 」

 目を凝らして注視する……もやの中で何かが動いた気がした。



「敵襲だ!! 真下に居るぞ!! 」

 真っ黒な鎧を着たゴブリンの集団が城壁のすぐ側まで来ていた。



「探知出来なかった? 」

 戦略モニターマップで、いきなりアラートが発生した! こんな近くまで探知が出来なかった。



「探知を妨害する何かが働いている。ビリー! 」

 ビリーに思念を飛ばして、伝達する。即銃士隊が城壁から攻撃を開始した。



「何処から湧いて来たんだ?? 」



 メイデルも自らライフルで応戦を始める。総司隊と黒豹騎士団も臨戦態勢に移行した。



「…….来るな……坑道からも来る筈だ! 晴明! 」



「わかりました! 壱星、弐星、参星、四星、五星……我の灯火、ユラセ ユラセ ……」



 晴明が祝詞をあげ始める。すると光の線が地面に引かれて陰陽道の太極図が描き出される。



「北斗七星爆鎖陣!!! 」



 晴明の術が発動する! ヴァイアの街の周囲に巨大な五芒星が浮かび上がり、街に結界が引かれる。

 すると、ヒロトが予想した三つの内、二つの掘削ポイントが炸裂した! 敵が地下の坑道で晴明の結界に触れて炸裂したのだ。



「その二箇所だ! ライアット第二軍を投入! 」



 晴明の結界もあまり持ちそうに無い。次々に坑道で炸裂音が鳴り、掘削した竪穴から煙が噴き出す。妖魔は死しても結界に穴を穿とうとする。呪いに強制されているのだ。城壁の内側に軍が集結し、固唾を飲んで見守っている。



「結界がもちませんよ〜」

 晴明が泣き言を言う。



「何とか踏ん張れ!! ビリー! 」

 マーリンが叫ぶ!


「あいよ! 」



 そう言ってビリーが合図すると、竪穴にタルと松明を一緒に放り込む。直ぐに大爆発を起こして、凄じい振動が伝わり、竪穴から黒煙が上がる。火薬を放り込んだのだ。それでも結界を破ろうと体当たりを繰り返す。



「崩壊します!! 」



 遂に結界が崩壊した! 雪崩の様に竪穴からも妖魔が湧き出てくる。更に深く坑道も堀進められた!

 その瞬間、更に街を覆うように、別の魔法陣が現れた。大規模集団魔法が発動したのだ。マーリンが最後の詠唱を行う!



「……カルラ カルロッサ 原初の魔神よ、大地の魔王よ、我は大地精霊の代行者……」



「ぶっ飛べ!! 地礼振撃滅波(マグナヴァイブレーション)!!!! 」



 魔法陣の外側へ向かって、爆発的な振動が津波の如く発生した!!

 全方位に向かって大地震の波が襲いかかる! 多くの坑道が崩壊し、地面が陥没しはじめた。

 辺りは粉塵が舞い上がり、視界は完全に遮られた。すると何かが蠢く。



「サンド・ワーム!! 」



 地中から巨大な化け物が姿を現す! 体長は七十メルデはあろうか? 無数の牙が生えた口で土を掘り進む!東側の城壁は目の前だ。それが三体!



「城壁に近づけるな! 」



 ビリーが叫ぶと同時に、M2重機関銃の一斉射撃が始まった。東側の城壁に近い位置にいたウィリアムが、サンド・ワームの前に飛び降り、立ち塞がる!



「巨大なミミズ如きに、やらせんよ! 」



 肩に担いだ大剣の白刃が発光する。神霊力を練り込み続ける。一気に左足を踏み込み、足の先から力を腰に、胸に、腕にと伝達させ、内包した力を爆発させた!



「波動剣!!!! 」



 振り抜いた白刃から金色の閃光が発せられ神速の剣先が、サンド・ワームを二つに引き裂いた!!

 そのまま胴体の上に乗り、サンド・ワームに剣を突き刺して、尻尾の先まで切り裂いて行く!! そのまま次のサンド・ワームに飛び移る。



「城壁の下を堀進める坑道は潰したが、敵は何らかの方法で探知を難しくしている! 再度、街中を探索! 入り込んでいる可能性がある! 」



 言ってるそばから、戦術モニターにアラートが発生する。街の西側……教会か? 教団の本部が狙われた!


 ヒロトは魔剣を掴んで走り出した!


 





【砂塵攻防 壱】をお送りしました。

 怒涛の攻撃に晒されるヴァイアの街。 

召喚者チームは耐えられるのか。

(映画 戦国自衛隊を観ながら)



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