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「もうこんな時間だ。どうやら少し長く引き留めてしまったようだね。」
本を閉じた男性は、少し申し訳なさそうな表情でこちらを見てきた。
私はいつの間にかカップの中身を飲もうとして、いつの間にか空になっていることに気が付いた。
「どうやら気に入って貰えたようだね。お代わりをどうぞ。まだ大丈夫だからゆっくり飲みなさい。」
男性は、何処からか取り出したポットからお茶をカップへと注いだ後、本を本棚へと戻しに行く。
私は新しく注がれたハーブティーに口を付けた。
口に広がる酸味の後味が心地良い。
カップの中身を味わい飲み干す頃、男性は私の横へ移動してきた。
「さぁ名残惜しいが、そろそろ時間だね。大丈夫。君の探し人は見つかるさ。お帰りはこちらからどうぞ。」
ソファーを立ち上がり、扉へと誘導される中、私は目を見開いた。
どうしてそう言えるのかと問おうと男性の方を見る。
「またのお越しをお待ちしております。」
男性は笑顔で一歩下がると、胸に片手を当て頭を深々と下げた。
いつの間にか私は扉を超えていたらしい。
男性が頭を下げる姿は、閉まる扉によって見えなくなっていた。




